拝啓、ノースポイントより

エースコンバットを自由研究するブログ

ロングレンジ部隊とは何ぞや

お前ら誰やねん。

そもそもナニがロングレンジなのか。

というか、懲罰部隊はどうなったんだ。

なんでカウントだけはここにいるんだ。

こんな事PVでも聞いてねえぞ。

頼む、頼むから俺を帰してくれ。

懲罰部隊に帰らせてくれ。

 

ロングレンジ部隊とは、エスコン「7」の中盤にいきなり現れ、その後のストーリーの流れと相まって、多くのプレイヤーを困惑させた衝撃の部隊である。

劇中では、初登場時、UAVやオッサンにイジメられながら登場し、ミッション中部隊員が殉職するという散々なスタートダッシュから始まる。

そして、中盤に何の前触れも無く再び登場し、"トリガー"と"カウントを欠員補充と称して部隊に取り込んだ。

以後、終盤からクライマックスに掛けてはこの部隊がトリガー=プレイヤーの居場所となるのだが、この突然の展開には少々面食らう。

部隊員の半分くらいはTACネームを憶えられる事もなく、正直、誰が誰だかわからないまま終戦を迎えたトリガーも居たという。

個人的には、懲罰部隊には物凄い居心地の良さを感じていたがために、この異動は初見プレイ時においては残念な気持ちが強かった。

てっきり、ワイアポロから不死鳥の如くフルバンドが甦ったり、タブロイドが覚醒をして真のエース部隊になるのでは、などと今後の展開を妄想していたりしたのだ。

そうじゃなくとも、スペア隊の名無しモブ達も少しずつ団結し始めていて「俺たちでやってやろうぜ」的な良い感じになっていたのだ。

「Faithless Solider」のカッコいいテーマが流れていたあの頃は、トリガー、タブロイド、カウント、フルバンドのバカ4人で最強のエース部隊としてユージアに名を馳せるものだと、硬く信じていた。

なのにフルバンド、タブロイド、なぜ。どうして。

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LRSSGとは

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"Long Range Strategic Strike Group(LRSSG)長距離戦略打撃群"通称ロングレンジ部隊とは、"サイクロプス"、"ストライダー"なる二つの小隊によって構成される、オーシア空軍の特殊作戦チームである。

名前の通り、長距離を移動することから「渡り鳥部隊」の通称で呼ばれ、敵軍の重要地点へ電撃的に奇襲または打撃を与える事を目的とする。

ちなみに、これらは早期での灯台戦争終結を目指すためのものである。

「ACEs at WAR」によれば、部隊創設は灯台戦争開戦後、ハーリングの救出に失敗し、戦線が停滞しはじめた「オーシアが短期決戦を志向しはじめた時期」に考案された、という記述があるっぽいので、実は出来立てホヤホヤの新部隊だったりするっぽい。

ちなみに、ロングレンジ部隊のテールコードは「WW」。

WWは恐らく、ワイルドウィーゼル*1を意味し、敵防空網制圧任務(SEAD)を課せられた部隊を指す。

つまり、敵の防空網に突っ込み、それを構築する対空レーダー及び対空ミサイルを潰すことが目的の部隊である訳だが、今回のエルジアが構築した防空網は、対空ミサイルと対空レーダーから構成されるような、従来考えられていた様な「それ」ではない。

つまりは、今回エルジアが用意したのは、無人機と対空レーダーによって形作られている警戒網な訳で、それに対するワイルドウィーゼルには、対空戦闘能力が大きく求められるのだ。

この「ワイルドウィーゼルにF-15C」という一見不可解な組み合わせは「対エルジア用ワイルドウィーゼル」には理に適っていると言えなくも無い。

果たしてそれはワイルドウィーゼルなのだろうかという疑問が浮上してくるのだが、まあ広義の上では「SEAD任務」に分類されるし問題はないのだろう。知らんけど。

 

ところで、ロングレンジ部隊のワッペンのマークは、雷をモチーフとしたものである。

これは"電撃戦(Blitzkrieg)"を意識したものではないかと考えられる。

根拠としては、ロングレンジ部隊を構成する二つの部隊は、電撃(雷の精)や機動(闊歩する)を意識した部隊名や部隊マークになっている、と言う点が挙げられよう。

 

とにかく纏めると、ロングレンジ部隊とは、ワイルドウィーゼルと電撃戦という、二つの役割を遂行する事を期待されている、とんでも無くハードかつ多様な要求をされるスパルタな部隊なのだ。

"灯台戦争"においてロングレンジ部隊は、エルジアに対して劣勢を強いられたオーシア軍(元IUN-PKF)の窮地を救うべく、その反攻作戦の先陣を担っている。

エルジアが大陸中央から西にかけて構築した自動邀撃システムの隙間を縫うようにして、数多の作戦を成功させ、アーセナルバードの破壊に大きく貢献しているのだ。

最終的には、敵首都への進撃ルートを構築し、ファーバンティ攻略でも活躍する。

その後の混乱期でも多くの作戦を成功させ、灯台戦争終結のきっかけを作った立役者なのだ。

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オーシア国防空軍第122戦術戦闘飛行隊"サイクロプス"

122nd TACTICAL FIGHTER SQ "CYCLOPS"

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国籍 オーシア
軍籍 空軍
任務 対空
テールコード WW
作戦機 F-15C
主な戦歴 灯台戦争

ワイズマンが率いる、ワッペンや部隊区分ではスコードロン(中隊)となっている部隊。

しかし、ワイズマン曰く、現場での扱いは小隊となっており、実際でも現場に派遣されるのはエレメントが二つのフライト(小隊)ほどの規模である。

黄色中隊だって要員自体は山ほどいたみたいだが、毎回の出撃時には5人を選定して空に上げていた。

サイクロプスストライダーも同様にして四機ずつを現場に上げているが、そもそも後方に詰めている人員がいるのか、もしくはリザーブ要員がテイラー以外にもいるのかは不明である。

とにかくここら辺についてはよくわからない。

部隊名"サイクロプスの由来は、ギリシア神話に登場する一つ目の巨人"キュクロープス"の英語読み。

キュクロープスは、天空神ウーラノスと大地母神ガイアの子供で、"雷"の精、"雷"に関する神であったと考えられている。

電撃戦の語源である「Blitzkrieg」に通じたものかもしれない。

 

オーシア国防空軍第124戦術戦闘飛行隊"ストライダー"

124th TACTICAL FIGHTER SQ "STRIDER"

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国籍 オーシア
軍籍 空軍
任務 対空
テールコード WW
作戦機 F-15C
主な戦歴 灯台戦争

サイクロプスと同じく、2機エレメント×2の計4機でスコードロンを編成。

こちらもスコードロンだが、現場での扱いは小隊(フライト)。

トリガーが一番機をつとめる部隊であり、部隊マークは槍を構えて突撃する騎兵。

ツーペア作戦時、当初サイクロプス併せてロングレンジ部隊の機数が7機だった、スペア隊との合流前に予期せぬ戦闘が発生している、ストライダー1が無線会話に一度も参加していない事などから、前任の「ストライダー 1」は強行偵察中に戦死もしくは撃墜されていた可能性があるが、その真偽の程は不明。

部隊名の由来Striderは動詞Strideに「-er(〜する人)」がくっ付いた「大股で歩くもの」「闊歩するもの」などの意味。

トールキンの"指輪物語"にも登場した某キャラクターがこの名で呼ばれており、「レンジャー(徘徊するもの、野伏)」とほぼ同義として用いられる。

要は、敵に向かって"闊歩"するだとか、"獲物を求めて徘徊"するだとか、言葉から得られるイメージは"敵に対しての機動"を行うという要素であり、これは電撃戦の肝となる機動戦に通じる名前なのかもしれない。

灯台戦争のクライマックスである"ハッシュ作戦"に出撃したのもこの部隊だった。

 

LRSSGとF-15C

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ロングレンジ部隊は、F-15C「イーグル」で統一編成された部隊だが、ゲーム中では、何故この機になったのかについての詳しい理由や経緯は語られてはいない。よってこれの選定理由は不明である。

LRSSGはF-15Cが備える長い航続能力を駆使し、そこに空中給油の補助を付け足して、敵地深くまで浸透していく戦法をとっているようだ。

制空戦闘機に、爆撃も対艦も何でもかんでもやらすのは結構無茶だと思うが、おそらくオーシア国防空軍のF-15Cはかなりの近代改修を受けていて「マルチロール化してるから対地対艦もイケるんじゃね」ってトコなのだろうか*2

オーシア軍にとって、イーグルはどんな扱いを受けているのかは不明ではある。

取り敢えず、現実世界においてもF-15Cはその設計段階からして対地戦闘を考慮して作られているフシがあるらしく、戦闘爆撃機F-15Eへの改造開発費も、同じく戦爆のF-16→F-16XLより安く達成できた(らしい(とはいえ、F-15Eを製造するにあたって、F-15から機体構造の約60%以上を再設計していたりと、その中身は結構別物になっていたりはしている。))。

一応、理由はそれだけじゃないのだが、よって米軍はF-16XLをスルーしてF-15Eを正式採用したとか言う経緯があったりする。

また、イスラエル軍F-15は、その機体ポテンシャルを買われ、しばしば爆撃任務に投入されてい?。

例えば、F-15Cの前期型かつイスラエル版のF-15A/B"バズ"による1985年10月1日の「木の脚作戦」チュニス空爆では、飛行機距離4,000km超える距離を空中給油を使って飛行し、目標を爆撃し、その上で作戦機全機が任務を達成、無事帰還している。

他にも日本のF-15Jも、旧式化を受け、近代化改修を施す、または対地任務や偵察任務に割り当てるなどが提案されていたりする。

とにかく、正確な理由こそ不明ではあるが、超スーパー万能機であるF-15Cは、前述の「対空要素強めなSEAD任務」含めて、ハードかつ多様な要求をされまくるこの部隊に正式採用されている。

また、片羽をもがれても生きて帰ってくるとか、(実戦の)空戦では未だ負けなしだとか、とにかく数々の逸話を持つF-15Cは、生存性が高くて、信頼性もスゴい戦闘機でもある。

ロングレンジ部隊がイーグルを選んだ事について、理には叶っている選択だとも言える。

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余談

余談だが、ストレンジリアルにおける1995年の「ベルカ戦争」において大活躍した飛行隊が二機のF-15Cで構成されていたことは、その界隈では余りにも有名な話である。

また、ユージア大陸における2003年「大陸戦争」の序盤、ISAF(連合軍)がエルジアにボコボコにされまくっていた時期があった。

この戦況を打開する為、ISAFはエルジアの要である、超兵器ストーンヘンジを破壊する作戦を思いつき、爆撃担当のF-15E×12、制空担当のF-15C×12という計24機にもなるイーグルの大群を投入するという、すばらしい大作戦を実行している*3

要は、ストレンジリアル世界において「イーグル」は、重要な局面や作戦に抜擢されるほどに信頼されていたり、重要視されている偉大な戦闘機なのだ。

 

LRRSGとその編成

ロングレンジ部隊はしょっちゅう再編成を繰り返している。

中隊長ことサイクロプス1"ワイズマン"の意向によるものだが、結局、この編成が何を根拠になされているものかを語られる事は無かった。

この編成替えや、部隊が変わることがプレイヤーからすると、ロングレンジ部隊員の名前とキャラづけを記憶するのに苦労させられる、という原因にもなってしまっている。

また、なぜかカウントは両部隊を行ったり来たりして、全作戦を皆勤させられている。

結果として、彼の実戦における飛行時間は他キャラと比べて相対的に伸びる。

トリガーにとっては、カウントが味方となって飛んでいる時間が他のキャラより多い為に、彼の"僚機"としてのイメージが大きくなる。

つまり、ロングレンジ部隊とは「トリガーに最後までついて来たカウント」を印象付ける為の、一種の舞台装置でもあるわけなのだ。

飛行時間が長ければその分実力も伸びるので、灯台戦争クライマックスのいわゆる「カウントンネルからの生還」や、彼の成長、実力についての説得力に繋がるのかもしれないのだ。

彼のスペア隊からの配置換えや再編成は、もしかしたらこの為にあったのかもしれない。

いや、別にそうじゃないかもしれない。

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 ロングレンジ部隊人員紹介

 ロングレンジ部隊員紹介はこちら。

 

部隊編成その変化

前述の通り、サイクロプスストライダーはしょっちゅう再編成を繰り返す。

編成の理由含めて、大雑把にまとめてみた。

8月10日、8月19日の編成
サイクロプス   ストライダ  
Cyclopus 1  Wiseman Strider 1  Trigger
Cyclopus 2  Count Strider 2  Skald
Cyclopus 3  Fencer Strider 3  Jeager
Cyclopus 4  Huxian Strider 4  Lanza

ロングレンジ部隊が「セイレーンソング作戦(Operation:Siren's Song)」「ドラゴンブレス作戦(Operation:Dragon Breath)」に従事した際の編成。

ドラゴンブレス作戦は成功したものの、スカルドやフェンサーは撃墜、フーシェンは被弾する。

これにより、機材と人材(負傷)の損害を受けて、部隊の再編成が行われる事になる。

 

9月2日、9月16日の編制
ストライダ  
Strider 1  Trigger
Strider 2  Count
Strider 3  jeager
Strider 4  Lanza

「魔法の槍作戦(Operation:Magic Spear)」「狼男作戦(Operation:Werewolf)」の際のロングレンジ部隊。

上記の損害を受けたため、ストライダーのみで幾つかの作戦を遂行する。

トリガーとカウント、イェーガーが作戦にガンガン抜擢されているが、作戦と作戦の間にはキッチリ休憩期間が設けられているので、過労死する心配は無い。

 

9月19日の編制
サイクロプス   ストライダ  
Cyclopus 1  Wiseman Strider 1  Trigger
Cyclopus 2  Count Strider 2  Skald
Cyclopus 3  Fencer Strider 3  Jaeger
Cyclopus 4  Huxian Strider 4  Lanza

戦争の大詰め、敵国首都ファーバンティでの最期の作戦が開始される。

ジャイアントステップ作戦(Operation:Giant's Step)」では機材や人員が回復したために、サイクロプスストライダー共に再びのフル出撃となった。

作戦中にワイズマンが戦死したため、短い間ではあったが、繰り上がりでカウントがサイクロプスの指揮を執っている。

 

ユージア混乱期以降の編成
ストライダ   サイクロプス  
Strider 1  Trigger Cyclopus 1  Fencer
Strider 2  Count Cyclopus 2  Skald
Strider 3  Jaeger Cyclopus 3  Tailor
Strider 4  Huxian Cyclopus 4  Lanza

ファーバンティでの激戦の後、ユージア大陸全域での通信断絶によって発生した混乱期におけるロングレンジ部隊の編制がこちら。

ワイズマンを喪ったサイクロプスは、フェンサーを繰り上げ隊長機とし、リザーブ要員のテイラーを加えて体裁を整えてある。

10月1日「Operation:Gorgon」や、10月24日「Operation: Beehive」、11月1日の最終作戦「Operation: Hush」などの極めて重要な作戦ではストライダーのみの出撃。

10月10日「Operation: Reflux」や10月31日「Operation: Daredevil 」の戦力として頭数が必要な作戦では、ストライダー、サイクロプスのフル出撃となっている。

 

 

まとめ

とにかく設立の過程から、部隊員の選抜基準など、何から何まで謎のベールにつつまれた部隊であり、結局その謎が最後まで明らかになることはなかった部隊である。

周回プレイを重ねていけば、それなりに居心地の良い部隊であると感じられるようにはなるのだが、1周目だと、どうにもなんとなく馴染めきれずにキャンペーンが終わってしまうような気がする。

今作はとにかく部隊替えが多いが、部隊再編を除けば一番長い時間をロングレンジ部隊の2つの小隊に囲まれて過ごすことになる。

のだが、しかしPV時点から余りにも懲罰部隊が目立ちすぎたのと衝撃的過ぎたので、そのせいでロングレンジは色々と割りを食っている印象がある。

最初からロングレンジ部隊にスポットを当てて広報すれば良かったのにと考えたが、そういえば、懲罰部隊自体がPV時点では今作のウリの一つではあったなと思い出す。

そうなると、尚更、なぜウリであるはずの懲罰部隊で作品を貫かなかったのかと言う疑問に戻ってきてしまうのだ。

制作側はこのような部隊替えの濫用、プレイヤーが所属する部隊への愛着や帰属意識(?)をわざわざ削るような行為に何故及ぶのか、どんな意図があってそんなことをしたのか。

どうやら制作者側には、何かしらの意図があるようではあるのだが。

しかし、その詳細は不明である。

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*1:例えば、三沢基地所属の米軍「35th Fighter Wing」隷下の「13th Fighter Squadron」「14th Fighter Squadron」はワイルドウィーゼル部隊。ワイルドウィーゼルの例にもれず、彼らのF-16のテールコードは所属基地をあらわすアルファベット二文字ではなく「WW」となっている。

*2:とはいえ、ストレンジリアルワールドのサイドワインダー(?)は、対地だろうが対艦だろうか、対空だろうが、それらを尽く吹き飛ばすという恐怖の万能ミサイルなので、航空機の攻撃機やら制空戦闘機やらと言った区分が、そもそも無意味なのかもしれない。

*3:ちなみに、残念ながらこの時の作戦は失敗に終わっている。ストーンヘンジ防衛の任についていた一個飛行隊の手によってそのイーグルは一機残らず撃墜され、ストーンヘンジに傷一つ付ける事は叶わなかったのだ。ISAFストーンヘンジを破壊するのは、そこから1年くらい後の話である。