アーセナルバード 脅威の科学力
※要加筆修正項目 例によって、画像挿入、文章校正は追って行う。
はじめに
突然だが、バケモノ鳥について語りたい。
バケモノ鳥、アーセナルバードとは、エルジア王国が灯台戦争必勝を願って作り出した、エルジア脅威の化学力の結晶……とか言う訳では無く、オーシアやユージア各国が共同で開発した、やたらとデカくて強くて硬い、無人機たちの親玉である。
この兵器も、やはりというか、またかというか、エルジア人伝統の戦法である「人の作ったものを奪って利用する」に組み込まれ、創造主であるオーシア=IUNに対しての多大なる戦果を挙げてきた。
灯台戦争において、アーセナルバードはその要所要所でトリガーの邪魔立てをするべく登場してきており、またオーシア軍の作戦計画そのものを阻害したりと、存在そのものが非常に鬱陶しかったりする。
エスコン7の、最も古いトレーラーから登場している事からも、アーセナルバードは作品(ゲーム)の開発の根底においても、その存在は根深く、そして抱え持った意味合いは大きいものがあると考えられる。
「7」そのものが「無人機vs有人機」をテーマとしている*1事からも、実はトリガーにとってのアーセナルバードとは、ミハイ以上に大きな意味を持つ、宿命のライバルとも言えるのかもしれない。
とにかく早い話、アーセナルバードはこの作品の鍵となる存在だ。
灯台戦争は、アーセナルバードとISEVを中心に回ってきたと言っても過言では無く、それらを巡ってオーシアとエルジアの熾烈なる争いが繰り広げられてきたのだ。
一体、アーセナルバードとは何だったのか。
本項では、アーセナルバードについて詳しく解説していきたい。
概要
アーセナルバードとは、オーシア連邦とユージアの国家群が共同で作り上げた、ISEV防衛の為の無人空中空母だ。
全幅は約1100m、重量は10万トンを超えると言う大きさを持ち、これを二基のメインプロペラと六基のサブプロペラによって飛ばしている。
また、これらのプロペラは大型モーターによる二重反転ローターの推進によるものとなっており、モーターの回転動力はISEVから送られる太陽光発電由来となっている。
アーセナルバードが守るISEVは、その巨大な構造上、テロ攻撃に対しては非常に脆弱であり、当初からその防衛は非常に困難であると指摘され続けて来た。
よって、その防衛を成し遂げる為には、旧来の技術を超越する何らかの絶対的なシステムが求められたのである。
そして、それを成し遂げるべく、オーシアやユージア各国、IUNの最新のテクノロジーを結集して開発されたのが、件の超兵器「アーセナルバード」なのだ。
2019年においては、初号機「リバティ」、二号機「ジャスティス」の二機がタイラー島にて建造され、運用されている。
以降は、ISEVを中心として半径1200kmに及ぶ行動範囲内を、二機が常時周回飛行することによって防空警戒網が形成されている。
仮にこの防空警戒網の中に敵性分子が侵入した場合、アーセナルバードは即座にそれを察知、次いで戦略AIの指示に従って、運用無人機「MQ-101」を伴った排除行動へと移るのである。
元々「ユージア宇宙開発の架け橋にして、エネルギー問題解決と大陸の経済的平等を実現する"ISEV"」、「ISEV防衛システムの要"アーセナルバード"」、「防衛システム全体の補給を司る支援基地"タイラー島"」の三つは、それらがセットとなってはじめて、ユージアにおける絶大な権力の象徴「システムとしてのISEV」を実現する。
もちろんこの三つの柱のうちの一つであり、ISEV防衛構想の中核を成し、システムを"物理的に直接保障"しているアーセナルバードは非常に重要なものとも言えよう。
灯台戦争の開戦と同時に、エルジアは上述した三つの要点の重要性を強く認識していた為、ISEVやタイラー島と共に、二機のアーセナルバードは狙われたのである。
よって、強奪された「上記のシステムとしてのISEV」全ては、そっくりそのまま同戦争を通してエルジアに対しての利益を享受し続けてきた。
これを止める為に防空警戒網へ突入したIUN-PKFのパイロット達は、アーセナルバードによる洗礼を受ける事となり、物言わぬ無数の鉄塊となってユージアの地に堕ちていく。
アーセナルバードは灯台戦争全期間を通して、ISEVを守り続け、エルジアによるISEV支配体制を堅固たるものとしてきた。
しかしこれは逆説的に、この二機が喪われた場合には、そのままISEV支配の体制そのものが、崩れさる事をも意味している。
兵装
アーセナルバードはその名称通り、全身が火器満載の火薬庫(武器庫)となっており、それが誇る火力はとてつもないものがある。
アーセナルバードが搭載する火器は大きく大別すると、機体背面を中心として、機体各所に搭載された「自衛用装備」と、機体底面側の翼にある「格納庫」の二つに分けられる。
まず、ピンポイントディフェンス担当の自衛用火器類について解説して行きたい。
自衛用装備(SAM、PLSL、TLS、APS)
本機に搭載された自衛火器は、三つ。
まずは、機体背面に多数の「対空ミサイル(SAM)」。
次に、機体下面に据え付けられた、自分より低高度の敵を攻撃する対空(対地への対応可能かは不明だが恐らく可能)用「パルスレーザー(PLSL)」。
最後には、機首には軍艦すらも数秒で破壊可能な、強力な「Tactical Laser System(TLS)」である。
これらに加えて、本機固有の特殊な装備「Active Protection System(APS)」は、ミサイル攻撃や敵航空機から機体を守る為に用いられる防衛設備だ。
そもそも本機は、ISEVが送信する電力を機体中央のレクテナ基部より受電、稼働している。
そして、このAPSとは、その電力を瞬間的に周囲へと放射、偏向シールドとして用いる事で、絶対的な防御能力を発揮すると言うこの装備が稼働している間は本機は如何なる攻撃をも受け付けない、いわゆる無敵状態となる。
以上が自衛用装備なのであるが、敵からすればこれだけで既にとてつもない脅威だ。
実際、これら各種装備によって、IUN-PKFの航空部隊は少なくない犠牲を出しており、具体的にはAPSとSAMによって、スケルトン隊は殲滅されている。
また、TLSの掃射によって「デアデビル作戦(Operation:Dare devil)」に参加したミサイル駆逐艦を中心として編成された艦隊は、壊滅状態へと陥ってしまっている。
しかし、アーセナルバードの真骨頂は空中母艦。
即ち、機体下部の格納庫にこそ、本機のその真の価値がある。
つまり、自衛装備の説明程度では本機の真髄を見出す事は出来ない。
その搭載兵器について見て行きたい。
格納庫(搭載機、特殊兵装)
アーセナルバードは、5×4の吊り下げ式格納庫を翼に計4カ所持ち、つまり、最大5×4×4=80の約80単位にものぼる装備を搭載可能とされている。
灯台戦争中、実際に搭載され運用されたのは、無人機及び中距離巡航ミサイルであり、前者は当然MQ-101だが、後者は不明である。
恐らくはこの特殊兵器とは、「ヘリオス」なのだろうと考えられるが、これについては明言されていないが為に、その確証は無い。
本項では、後者の装備をヘリオスと「仮定」して説明を行っていくものとする。
MQ-101
まず格納庫装備である、MQ-101は、アーセナルバードを守る随伴機、制空戦闘機だ。
無人航空母機の面目躍如には必須であり、本機の戦闘能力を規定する重要な装備となっている。空母で言う、艦載機に相当する装備でもある。
これは極論ではあるのだが、格納庫にMQ-101をフル装備した状態であれば、アーセナルバードは最大80機もの制空戦闘機を伴った作戦行動も可能となる。この制空効果は凄まじいものがあると言える。
また、対空ミサイル運用が可能なので、それぞれをミサイルキャリアーとして運用も可能だ。
MQ-101は、既存の制空戦闘機に匹敵する性能を持つだけでなく、人体が受けるGの制約が無い為、下手をすればそれを超えるほどの戦闘能力を発揮する可能性すらある。
且つ、本機は無人機である。
よって、大量生産が可能で幾らでも替えが効き、膨大なコストを払って訓練を行い、日々の練度向上・維持に努める必要も無い。
また、当たり前だが、UAV固有の「スウォーム」戦法だって勿論可能だし、アーセナルバード本体の周りをMQ-101が取り囲む様にして飛行させれば、機体を防御する鉄の壁の構築もできる。
群を形作る事で、本体の防衛のみならず、単純に個々のUAVの生存力上昇にも繋がる。互いに支援し合う事だって可能だし、火力を集中、敵に対して効果的な攻撃だってでき、そしてこれに、中心を行く本体の火力が加われば、その戦闘集団の脅威は計り知れないものとなるであろう。
尚、これら搭載UAVへの弾薬及び燃料の補給は、アーセナルバード格納庫の内部機構によって行われる。
MQ-101が戦闘を終了すると、アーセナルバードに張り付く描写があるが、UAVはこの状態でそのまま弾薬や燃料などの補給を受け取るのだ。
補給の元となる、アーセナルバードに積み込まれる補給物資は、後述するサプライシップが担当している。
ちなみに、アーセナルバード本体がオーシア並びにIUNによるものである事から、当然それの運用機体であるMQ-101もオーシアやIUNによるものであると考えられる。
戦争期間中、MQ-101を開発し続けていたのは、エルジアのものとなってしまった、ISEV公社工場であった。
ヘリオス
忘れた頃に飛んでくる、空中炸裂弾頭こと"ヘリオス"。
エルジアが開発し、アーセナルバードに積み込んだらしい、謎の兵器である。
戦闘空域外から、巡航ミサイルよろしく撃ち込んでおり、それによって巨大な爆発を作り上げて攻撃し空域を制圧する*2。
灯台戦争の幾つかの局面で、エルジア軍の輜重兵は、このなんだか得体の知れない兵器を、何の脈絡も無いタイミング*3で、ユージア各地にて、せっせと運んでいる様子が見られた。
当然、トリガーはそれと知らずに攻撃し破壊する訳なのだが、よって我々はヘリオスの眩爆発に巻き込まれる、エルジア輜重兵の姿(ビークル)を拝む事ができる*4。
生身の人間(運用側)とってヘリオスは危ないし、余り関わりたいとは思えない兵器なのかもしれない。
アーセナルバードはこれを用いて、ワイアポロ山脈のスペア隊を攻撃したり、本体や随伴機MQ-101が空域に到達するその前戯として、シエラプラタ上空へと敵戦力を削る為にと放っている。
運用
アーセナルバードは、戦略AIの判断に従って動いている。
地上及び空中管制によって、友軍からある程度の要求や指示、方針決定は成されるが、現場における戦闘行動そのものや、最終的な判断はAIが独自に行うという無人運用だ。
理屈は不明なのだが、エルジアはアーセナルバードが無人運用である事を利用して、IUNから奪取を*5行っている。
以降はその設計思想通りに、ISEV周りの制空権を確保し続ける為の周回軌道、自動運用がなされていたようだ。
本機の戦闘継続の為の補給は、支援基地タイラー島より定期的にサプライシップが上げられ、そこから行っている。
このサプライシップは、無人航空母機やその搭載機のへの燃料・弾薬が満載した「ドッキングモジュール」を運んでいる。
アーセナルバード機体本体の腹部に、その接続場所が存在しており、そして、接続されたドッキングモジュールより、機体の内部機構を通じて機体各所や各搭載機へと補給が分配されるのだ。
また、この補給行程において、補給を使い切った古いドッキングモジュールを受け取る空のサプライシップと、新しいドッキングモジュールを送り届けなければならないサプライシップの二機のサプライシップが必要となる。
その為、サプライシップは二機一組で運用される。
一回の補給につき、二機連続してのカタパルトよりの射出はこの様な理由がある。
灯台戦争とアーセナルバード
戦争序盤にかけては、アーセナルバードを中心としたISEVの防空警戒網に対して、オーシア軍は手も足も出ない状態であった。またユージア東部の最前線におけるMQ-99を用いた自動邀撃システムの存在も相まって、オーシア側の作戦行動や戦争計画そのものに大きな制限を課した。
戦争中盤に差し掛かってくるとオーシア軍は、ISEVの直接の奪取を断念し、敵首都への攻撃へと方針を変えるのだが、これはアーセナルバードとの対決による無用な出血を避けた故の行動であると言える。
それ程までに、アーセナルバードと自動邀撃システムによる出血をオーシアは恐れていた。
しかし、LRSSGによる反撃作戦が開始されると、オーシアの戦争計画の目の上のたんこぶとなっていたこの二機の「化け物鳥」をなんとかすべく、アーセナルバード狙撃作戦こと「ドラゴンブレス作戦(Operation:Dragon breath)」が実施された。
これにより、初号機「リバティ」がS.T.N.によって破壊され、防空警戒網のその面積は大幅に縮小する次第となる。
これにより、大陸上で拮抗していた両軍のパワーバランスは崩壊、エルジアは劣勢となる。
エルジアがファーバンティを占領され、大陸全域での通信網断絶が生じた2019年9月19日頃から、依然としてエルジア支配地域であったISEV周辺には、エルジア軍残党の中でも特に過激派であるエルジア急進派(ERU RADICAL)が集い始めるようになっていた。
その中でアーセナルバード「ジャスティス」は、この地にて戦争継続を叫ぶ彼らとの守りとして、変わらずエルジア勢力によるISEV支配体制を維持し続けるのだった。
しかし、10月1日、ユージア大陸において群雄が割拠し、それぞれで争う「(所謂)グローバル内戦状態」が発生すると、この体制も遂に崩壊の兆しを見せ始める。
戦争に疲れた多くの群雄、諸勢力は、ISEVとアーセナルバード、そしてエルジア急進派こそがこの戦争の根底にあると気付き始める。
また、民間のチャンネルにて、ユージアの多くの地域へ、ISEVへの攻撃を先導するような文言が流布された事も一つのキッカケとなっている。
2019年10月、戦争終結を願った群雄達による有志連合が自然に結成されることとなり、彼らはISEVへと進軍する。
この下らない戦争を終結せんとする有志連合と、それを阻止するアーセナルバードとの最後の戦いが、ここに開始されるの事となった。
余談 過小評価されたバケモノ鳥
アーセナルバードの戦闘能力は、IUN司令部によって度々の過小評価が成されている。
例えば、両面作戦(Operation:Dual wielder)においては継戦指示という愚策を成し、撤退を渋った司令部のせいで、チョピンブルグ方面作戦の作戦機とパイロットに、無用な流血が生じてしまった。
しかし、この予測できなかった損害と、IUN、オーシアによる過小評価には些か不可解なものがあると思われる。
何故、司令部は速やかな撤退命令を行わなかったのか。
自分達が開発した兵器なのに、何故その危険性がわからなかったのか。多数の損害が出ているにもかかわらず、継戦を命じたのか。
これについての明確な理由こそ不明だが、一つ言えるとすれば、アーセナルバードがIUNによって過小評価されていた事、エルジアがMQ-101に対しての予期せぬ強化措置を成していた為だと考えられる。
当たり前な話だが、そもそも航空母艦とは、艦載機を運用する為の兵器であり、その戦闘能力は当然ながら搭載された艦載機に大きく依存する。
また、艦載機の戦闘能力は、艦載機の性能だけでなくパイロットの練度・技量によるものも大きと言える。
つまり、パイロットそのものの性能が、最終的な戦闘兵器としての空母の性能を左右する面もあるのだ。
その為、様々な国の空母航空団は、それらの向上の為に毎日毎日訓練に明け暮れている*6。
またアーセナルバードも、それだけで十分脅威足りうる戦闘能力を有しているものの、既存の空母と同じく、その本質的な能力は、運用無人機のMQ-101が占めるものが大きいと言えるだろう。
そしてMQ-101の練度に相当するのが、ソフトウェア、無人機の頭脳こと戦闘AIなのである。
これを改良、性能向上させる動きとして、開戦前よりエルジアの技術研究所である「EASA」へと出向した「ノースオーシアグランダーI.G.」社員と、エルジア軍第68実験飛行隊「SOL」の搭乗員によって行われていた一連の戦闘データ採取が挙げられ、そのデータを開戦直後に、強奪したMQ-101へと反映したものであろうと考えられる。
つまり、両面作戦実施前にIUN司令部が想定していたアーセナルバード搭載UAVと、実際の現場で待ち構えていたUAVは、外面こそ同じだが、中身(戦闘A.I.)は全くの別物*7になっていた。
よって、IUN司令部がこれを予想出来なかったのは、ある種仕方ない事なのかもしれなく、両面作戦継戦を命じたのはこのような理由が考えられる。
いずれにせよ現場からすれば堪ったものでは無いが、初回の両面作戦についての意思決定の遅延は、そう批判しきれたものでも無い。
とは言え、スケルトン隊四機中二機を屠ったのはAPSだし、司令部が二回目の判断の遅延を生じさせる「デアデビル作戦」においても、オーシア海軍に甚大な打撃を与えたのはTLSであった。
要は、IUNもオーシア南部方面軍司令部も、過小評価していたのはアーセナルバード本体そのものだったとも考えられる。
なんだか、段々とIUN司令部への擁護が成り立たなくなってきたような気もするが、二回目のデアデビル作戦での南部方面軍司令部は、通常の軍ではない集団を統率せねばならなくて、てんやわんやだったから、別の意味で仕方のなかったと言えるのかもしれないが。
強引にまとめると、無人航空母機や大量の無人機が存在する戦場というのは、司令部要員こと高級士官達にとっても、想像がつかないような未知の戦場だったのだ。
結局、往々にしてそれをフォローするのは、現場の兵士たちによる流血である、という話である。
まとめ
戦場では無人機が台頭し、友人機の落日が近づいている。
エースコンバット 7 HP
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そして、10月31日、アーセナルバード・ジャスティスとの大決戦は、戦争の終結に大きく関与するばかりではなく、トリガーと二機のバケモノ鳥の因縁の対決に終止符を打つという重要な意味があった。
11月1日段階では、フギンムギン含め、有人機vs無人機の争いは「有人機代表選手」ことトリガーの勝利で推移している。
しかしその裏では、有人機の成長可能性はそろそろ頭打ち(既存機への(エアロコフィン導入や、Rタイプ戦闘機やら、一応有人機の成長発展余地はあるっちゃあるが。))になってしまっている様子すら窺える。
戦争期間中、数多の有人機パイロット達は無人機に食われてきたし、カウントを除いた数多くのパイロットは、トリガーと無人機との争いに追従すら出来なかった。
つまり、「有人機」というハードウェア、そのものの限界が見え始めたと言っても良いであろう。
それに、現段階ではトリガーは無人機に抵抗できているが、それはもしかしたら単純に彼が特異な存在であるからに過ぎないのかもしれない、と言う可能性もあるのだ。
しかし、対する無人機は、既に幾つかの局面では有人機を越えかけているし、またはるかに大きな成長余地、つまりは拡張性を持っている。
MQ-101をはじめとする各種無人機の戦闘A.I.に、今後新たなる戦闘データを採取・反映させ続けていく事だけでも、その戦闘能力は格段に向上していくであろう。
事実として、ミハイからより多くを学んだ「Z.O.E.(戦闘A.I.)」搭載機「ADF-11F」は、有志連合の航空機に対して、大きな戦果を挙げている。
仮にもし、あの機動を「MQ-101」の大群が真似したらと考えると、それだけで有人機側にとっては耐え難い悪夢が発生する。
つまり、このまま行くと有人機側には勝ち目などは無くなってしまう。
当然、将来的にはトリガー(などの現状の無人機と辛うじて渡り合えるパイロット)にとっても、厳しい戦場が待ち受けていると言えるであろう。
無人機には「コントロールを敵に奪われたら」という不安こそあるものの、有人機vs無人機については、いずれ無人機が勝利するというパラダイムシフト発生の瞬間は避けられないのだ。
ストレンジリアルの空が、無人機たちに埋め尽くされる日、つまり有人機の落日の日もそう遠くはないのである。
しかし、このとき、だったらどうして2040年のユージアには、有人機ばかりが飛び交っているのだという疑問も浮上してくる訳なのだが。
疑問は尽きない。
*1:「有人機の落日の日は近い」事からも近い将来、有人機へ無人機に敗北を喫すると目されているらしい。一応、本編終了の2019年11月時点では、ヒト代表こと我等のトリガーが勝利して終わったのだが、しかしその次はどうなるのか、「7」はそれで終わりなのか、個人的には興味は尽きない。
*2:これは、エストバキアが運用し、グレースメリアを恐怖の渦へと陥れた"ニンバス"に類似したミサイル兵器なのだとも考えられるが、実際のところは全く持って不明であり、その原理すらわからない。
*3:一応、ヘリオスの陰がチラつくと、次のミッションではその本体が突如襲来してきたり、それによる攻撃が実施されている。しかし、ヘリオス自体の登場は毎回なんだか唐突過ぎるタイミングなのでよくわからない。
*4:正直、アーセナルバードに積み込むよりも、エルジアの防空部隊辺りにこの兵器をばら撒いておけば、エルジア地上軍の対空戦闘能力の向上につながるのかもしれないとも考えたが、これだけ過敏に反応し、運用者やその周りを巻き込んで吹っ飛ばす恐れのある危険な兵器なのであれば、その扱いは強固な装甲を持つ、頑丈な無人機にこそ相応しいのかも知れない。
*5:エルジアによって戦略AIの論理式でも書き換えられたのだろうか。エルジアは多数のハッカーを有していたようだし、可能性は無くはないかもしれない。しかし、実際の所、アーセナルバードがどのようにしてエルジアへと下ったのかその詳細は不明だったりする。いつか答え合わせ的な設定資料集とか出してくれないだろうかエイセス。
*6:現実世界での例をあげるのであれば、アメリカ海軍"ロナルド・レーガン"所属の第五空母航空団のパイロット達なんかは、アメリカの中で選びに選ばれたとんでもないエリート集団だったりする。彼らは日々なにやらよくわからない訓練を重ねているし、また選抜テストも勉強量ももう何もかもがとんでもない。そもそも、航空機搭乗員になるハードルでさえも高いのだが、航空機を運用するパイロットはもっと大変なのだ。またこれは余談だが、特に第五空母航空団はその中でもさらに選びに選ばれし者たちであるらしい。航空基地が神奈川の市街地のど真ん中にあるので、もし着陸に失敗して街に突っ込めば、それだけで大変な政治的問題になるのを防ぐためだと思われる。だから、ダイアモンドバックスをはじめとする四つのVFAなどは、アメリカ軍のパイロットを見渡しても有数のエリート達が選抜されていたりするのだ。
*7:例えるならば「80機のフルバンド程度が襲い掛かってくると司令部は予想していたが、現場では80機のミハイみたいなのが待ち構えていた」みたいな感じ。