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灯台戦争全史 3 中盤

トリガーが戦争中盤期に所属させられる羽目になる「スペア隊」では、作戦内容が不明瞭なうえに様々な事態が怒涛の勢いで発生する。

軍上層部やらマッキンゼイやらは何かを企んでいそうなのだが、しかし、彼らやバンドッグはトリガーには何も教えてくれない。

これらのせいで、スペア隊は何の為に任務をこなすのか、また、ユージア大陸では何が起きているのか、戦争はどうなっているのかがよくわからなくなってしまう。

何の目的があるんだかよくわからない事をさせられるって、結構モヤモヤするんだなあという話であった。

タブロイドがワイアポロ山脈で「俺たちは何をやらされてるんだ!」とか叫んでいたが、それとまったく同じ気分だったトリガーも少なくないだろう。

早い話、やっていたことは、エルジアを追い詰めるべく布石を打っていく行為である。

しかし、何をやってんだか、どんな成果をあげられるのか今一つ目に見えた成果としてはわからない。

「偵察部隊救出と石油備蓄施設と通信施設破壊て何と何とで繋がるんだろう」と作戦の関連性を見出せなくて、懲罰部隊にいるうちはずっーと悶々とさせられるのだ。

後からロングレンジ部隊でのブリーフィングにて、「実はこうだったのさ」みたいな感じで全容をなんとなくぼんやりと理解させてくれる説明はあったから、そこら辺で一応フォローはされているのか。

本項では、それら懲罰部隊部隊でのいくつかの作戦についての理解を深める為に、2019年7月1日から7月27日までの戦争期間についての諸作戦について、ザックリと考えてみたい。

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前回の内容はこちら

灯台戦争開始までの経緯はこちら

 

灯台戦争中盤解説

ザップランド航空基地の役割

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ユージア大陸の東の辺境の沿岸に、錆びれきった薄汚い基地が存在する。

ここザップランド航空基地は、オーシア国防軍において、不規律、脱柵、不服従、ありとあらゆる非模範的行為に及んできた兵士へと用意された牢獄である。

ユージア大陸のIUN国際停戦監視軍に留まらず、オーシア本土からの兵士も受け付けており、さながらこの場所は流刑地と化していた。

そんなザップランドだったが、灯台戦争その後の戦況悪化を受け、その立地をオーシア軍上層部に注目され、妙な形で戦略的評価が上昇する。

即ち、ザップランドの周辺地域や、ここより東のフォートグレイスなどを含めた、ユージア大陸に残されたありとあらゆるIUN-PKFの残存戦力を護るため、囮としての役割を果たす事が期待されたのだ。

集められた懲罰兵や看守達の手によって、ザップランド航空基地は見かけだけでは膨大な戦力を揃えた、巨大な基地へと変貌する。

しかし、その実態は巨大な二本の滑走路はただの絵に過ぎないし、ズラりと並ぶ航空機の大編隊は全て飛ぶ事すら出来ないという、ハリボテに過ぎないのであるが。

しかし、そんな実態の無いハリボテまみれの基地であっても、事情がわからない敵国エルジアから見れば話は変わる。

なんと、いつの間にかユージア辺境の地に、目を疑う様な数の戦闘機や戦略爆撃機が並ぶ、IUNの大反抗作戦の起点が出来上がってるではないか。

規模だけで言えば数百の制空戦闘機と数十の戦略爆撃機な訳で、これは間違いなく大変な脅威だ*1

すぐさまエルジアは対抗措置を講じた。

爆撃隊を組織しザップランドを爆撃するのだ。

基地の航空機整備に回された罪人、エイブリル曰く「毎日、毎日、毎日の空襲だ」とされており、エルジアはかなりの労力を注いでこの基地を攻撃し続けたとされている。

しかし、エルジアの爆弾で吹っ飛ぶのは、ハリボテや員数外の懲罰兵に過ぎず、オーシアやIUN停戦監視軍本隊には如何ほどのダメージも及ばない。

ザップランドは弾除けとしての機能を如何なく発揮し、IUN-PKF兵力は後方で温存され、守られ続けるのだった。

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懲罰部隊と瀬踏み任務

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連日の爆撃を浴び続けるザップランド航空基地だったが、流石にこれだけの規模の部隊が反撃もせず、ただ爆撃されるのみであるのは不自然だ。

よって、体裁を取り繕う必要性が出てきた。

基地では、スクラップやモスボール機を材料とし、数多くのハリボテが作成されてきたが、実は共喰い整備などで幾つか「飛べる」機体も存在した。

しかも、おあつらえ向きに懲罰兵にはかなりの数の熟練搭乗員が存在した。

やがてこれらを組み合わせた中隊規模の航空隊が組織され、見せかけの反撃、例えば7月1日のハイカード作戦(Operation:High card)などの欺瞞遊撃が開始されるようになる。

これが、オーシア国防軍第444航空基地飛行隊「スペア」発生の沿革と、彼らの本来の目的だ。

やがて、この懲罰兵によって編成された部隊を有効活用すべく、スペア隊には様々な作戦が与えられる様になる。

これらの作戦は、スペア隊員側に対しては、「エルジア支配地域の敵要点に対する攻撃」とブリーフィングでは説明されていた。

が、オーシア軍上層部内の胸の内にあった、それら諸作戦の真の目的は「エルジア無人機游撃システムの解析」にこそあった。

その周辺地域の目の上のたんこぶとなっていた課題の解決と同時に、敵警戒網の情報も集めようという魂胆だったのだ。

これらの瀬踏み任務に赴くスペア隊を、運が良ければ敵要点での戦闘のみ、運が悪ければそれに加えて無人機との戦闘が待っていたのだった。

結局の所、7月4から7月27日で、邀撃システム絡みの四つの作戦が立案決行されたが、その全てにおいて、スペア隊は無人機との戦闘を余儀なくされ、それによって数多くの戦死者が発生している。

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ワンペア作戦

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まず7月4日、ロカロハ砂漠にてワンペア作戦(Operation:One pair)。

当初は、基地司令官の構想では、敵大規模駐留基地に攻撃と爆撃を行う事で敵からの反撃を誘発させ、敵を消耗させる事が目的であった。

しかし、結果としてスペア隊は司令部の予想以上の成果を見せ、ロカロハ駐留基地は壊滅。

スペア隊には多数の戦死者が発生するが、作戦目標はスペア隊によって達成されたために、正規部隊員がわざわざ攻撃すると言う手間は減り、結果正規軍への被害は抑えられることとなった。

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ツーペア作戦

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次に7月12日、インシー渓谷にて、ツーペア作戦(Operation:Two pair)。敵地強行偵察を行なっていた「LRSSG(長距離戦略打撃群)」が邀撃システムに接触した為、これの帰還支援のために渓谷内の対空レーダー及び対空施設への攻撃を行う。

途中、エルジアの無人機部隊に加えて、実験部隊SOLとの戦闘が展開されるも、「LRSSG」幾人かの損耗はあったものの、数機は生還し、彼らの目標であったとされる「ストーンヘンジ」への偵察は達成されている。

しかしその引き換えとして、スペア隊には多数の戦死者が発生している。

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スリーオブカインド作戦

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三つ目は、7月22日、アルティーリョ港にてのスリーオブカインド作戦(Operation:Three of kind)。

エルジア軍へと燃料を供給するプラントへの爆撃。

作戦途中、燃料を満載したタンクローリーや、特殊兵器ヘリオスを積んだ車両が逃走を図ったり、部隊員の内の一名が邀撃システムと接触無人機との戦闘が展開されるなどのトラブルが発生するも、当初の作戦目的は達成されている。

ちなみに前二つ含めての一連の作戦成功によって、軍上層部内でのスペア隊の評価は上昇していた模様。

尚、この戦闘においても当然ながら、損失機及び戦死者が発生している。

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フラッシュ作戦

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四つ目、7月27日、ワイアポロ山脈*2フラッシュ作戦(Operation:Flush)。

無人機の弱体化を狙った、無人機関連のエルジアの重要な通信施設への攻撃及び破壊が目的とされていた。

途中、IFF偽装したエルジアの無人機化されたF/A-18Fによる航空部隊との接触、そして戦闘が展開されるも、スペア隊はこれを全機撃ち落としている。

当初の作戦目的である施設破壊に成功するも、この作戦の過程で、スペア隊は作戦に投入されたかなりの数の搭乗員を喪失してしまっている。

 

以上、四つの瀬踏み任務が展開され、そして全てが成功したわけだが、しかし、444の実働航空部隊の兵員や航空機の損害は甚大であった。

ただ、それと引き換えにして邀撃システムの解析はほぼ完了し、これにより、本命である「長距離戦略打撃群」による反撃が始まろうとしていた。

オーシアによる本物たる大反抗作戦開始の日は近かった。

 

懲罰部隊その顛末

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スペア隊は、これまでの作戦が評価され、部隊員全てに恩赦が許される。

しかし、正規軍へと組み込まれた彼らが派遣されるのは、灯台戦争屈指の地上戦が展開されたユージア南西部の「タイラー島」であった。

この激戦区で彼らに与えられた任務とは、敵格納庫から航空機やそれに関する機材を鹵獲し、整備し、元懲罰兵パイロットを乗せて飛ばすこと。

それによってタイラー島制圧を目指す陸軍への、支援を実施するのだ。

このあんまりにあんまりな作戦は、当然上手く行く筈も無く、スペア隊が島に到着した時ですらも格納庫は敵の手の内にあり、結局彼らが航空攻撃を成す事は叶わなかった。

看守、元懲罰兵問わず、一体どれだけがこの島から生還したかは不明だが、多くのオーシア人がこの島の地上戦で命を落としたとされ、彼らスペア隊もその例外では無かったと考えられる。

結局恩赦と言っても、多くの看守、整備兵やパイロットなどの元懲罰兵ら、つまり「オーシアの暗部の塊であるスペア隊」に関わった人間たちは、その殆どが(軍上層部にそのような意図はあったかは不明だが)自動的に「処理」される運命にあった*3

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まとめ

オーシア軍は灯台戦争中に、この部隊以外にも数多くの懲罰部隊を組織したと噂される。

これが戦争末期には、オーシア軍内部での反乱し、同士討ちを誘発する原因となったとゲーム中では語られているが、その真偽のほどは不明である。

ただ一つ、ハッキリしているのは

これオーシア、戦後処理絶対ヤバいでしょ。

これである。

間違い無くこれらの問題が明るみに出た時、マスコミやら、スペア隊の遺族(いるのか?)やらがめちゃくちゃ騒ぐんじゃなかろうか。

少なくとも、オーシア軍やオーシアという国家そのものに対して国民からの求心率が下がりそうな気がする。

しかし、軍上層部もよくこんなもんに許可出したもんだとも思う。

それくらいエルジアに追い詰められていたという事なのかもしれないが。

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*1:しかし、明らかにこの光景は異様で不自然ではある。

*2:ワイアポロ山脈は、後に2040年代までにはニューコムが基地を作っており、ゼネラルリソースの航空路に対する電波妨害行為を行なっていたりするという曰く付きの土地だったりする。

*3:余談だが、司令であり、懲罰部隊の活用法を提案し運用したマッキンゼイ司令も、最後には別の激戦区である最前線に送られてしまっている。