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灯台戦争全史 2 序盤

灯台戦争序盤、エルジア軍による宣戦布告と、その直後の攻撃、つまり2019年5月15日から2019年6月6日におけるオーシア元大統領ビンセント・ハーリングの死亡までの期間の戦争について本項では解説したい。

また、この期間の戦争は、宣戦布告直後のオーシアへの本土攻撃を除けば、エルジアと交戦したのはその全てがユージア大陸に駐屯していたIUN国際停戦監視軍(以下、IUN-PKF)である。

この期間における諸作戦の失敗によって、IUNは当初の目標だった軌道エレベーターの奪還をひとまず断念する運びとなる。

初戦はエルジア側の圧倒的優勢だった。

 

尚、IUN-PKFは、実質オーシアのユージア大陸における一種の海外遠征軍であり、その大部分を占めるのはオーシア軍である。

つまり、本項においてはIUN=オーシアくらいの軽い気持ちで解釈してもらっても差し支えは無い。

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灯台戦争開戦までの経緯はこちら

suddenlyonslaught.hatenablog.com

 

 

 

灯台戦争諸元

  • 定義:開戦からファーバンティ陥落まで、各々の国のHQの指揮によって遂行された戦争期間。
  • 年月日:2019年5月15日-2019年9月18日(本項での解説は2019年6月6日まで)
  • 場所:ユージア大陸全域
  • 結果:IUN-PKFとオーシア軍側の優勢(エルジアはオーシア軍に首都ファーバンティを制圧されるが、ユージア各地の残存兵力やUAV戦力は継戦。直後、大陸全土で通信網途絶)
  • 交戦勢力(戦争序盤)

    IUN(IUN-PKF)

    エルジア
    オーシア連邦共和国 エルジア王国
    その他ユージア大陸国 エルジアへの同調勢力他
    多分FCU他  

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”両面作戦”(Operation:Dual Wielder)のIUN-PKF部隊。F-16C×4機のスケルトン、F-14D×4機のガーゴイル、F/A-18F×4機のゴーレム、F-16Cを中心とした2機からなるメイジ、14機の戦闘機がチョピンブルグに投入されたが、スケルトンは全滅するなど作戦終了撤退時にはその約4割を喪失していた。


 

灯台戦争序盤解説

 

エルジア宣戦布告からの攻撃と、反撃するオーシア

2019年5月15日エルジアによって、オーシア及びそれに与するものに対しての宣戦布告がなされた。

その直後のエルジアの無人機や有人機による攻撃によって、オーシア本土のオーシア軍、ユージア大陸各地のIUN国際停戦監視軍は多数の被害を被る。

特に、IUNの海軍戦力の中核、航空母艦の被害は顕著であった。

多くのオーシア軍、IUN-PKF所属の航空母艦は沈んでいった。

例えば、建造中の空母アドラミル・アンダーセンは大破、フォートグレイス島に停泊していたIUNの空母アルバトロスは被弾のち沈没してしまう。

よって、IUN-PKF側の稼働空母は「ケストレルⅡ」、「ヴァルチャー」のみとなり、またヴァルチャーはこの時点で艦載機を全て失ってしまっている。

そんな中、2019年5月15日16時14分、フォートグレイス飛行隊は、エルジア爆撃機部隊と交戦をしている。

IUN-PKF側のエルジアに対する迎撃作戦、鹿の角作戦(Operation:Deer Horn)は、開戦直後の攻撃に対するIUNの数少ない効果的な反撃例となった。

また、エルジア軍攻撃の報復と称し、空母ケストレルⅡ及びその航空隊が、エルジア首都ファーバンティに対しての空襲を行なっている。

しかしこの攻撃は、エルジアの戦力目標に対して何らダメージを与える事なく終わっており、しかもケストレルⅡ航空隊が放ったミサイルや、撃墜したエルジア機が市街地に突っ込んでしまい、民間人に多くの被害を出してしまう。

その後、ケストレルⅡはエルジア空軍機の反撃を受け、戦果を上げることも無くスプリング海洋上に逃げ戻る羽目になるのであった。

ちなみに、この"オーシア軍の攻撃による民間への被害"は、エルジア側の無人機による、(彼ら曰く)クリーンな爆撃と比較され、以降エルジアによる宣伝戦において大いに利用される事となる。

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「オーシア軍は無差別攻撃に対する責任があるで(つまり責任をとれ)」オーシアの民間への攻撃を報道するエルジア中央放送。英語版音声では「(エルジア軍の)容赦ねえ闘い(brutal battle)でヤツらを撃退したぜ」と続く。オーシア側のそれと比較すると、形容詞に若干のプロパガンダ的なニュアンスが含まれているような気がする。気のせいだろうか。

 

 

劣勢のIUN、反抗作戦の失敗

エルジアの攻撃により、IUNのユージアにおける支配地域は大陸東部だけに限定されてしまう。

IUNの海軍主要戦力が集っていたガンター湾及びISEVは、エルジアによる一連の攻撃と同時に侵攻を受け、完全に制圧されてしまっていた。
そこでIUNは反抗作戦第一陣として、2019年5月17日"東からの風作戦"(Operation:Eastern Wind)を実行。
オーシア軍並びにIUN国際停戦監視軍の陸上部隊は、大陸各地基地航空隊からの航空支援の下に、西へ向かっての進撃を開始する。
この時点でのIUN-PKFの戦争における目標は、大陸南西部のガンター湾及びそこにそびえ立つ軌道エレベーターの奪還とされていた。
加えて5月30日、残存する空母"ケストレルⅡ"、空母"ヴァルチャー"に加えて、多数の空軍の航空部隊を投入した大規模反抗作戦、通称"両面作戦"(Operation:Dual wielder)が発令される。
これら両作戦の目標は、片面は「空母ケストレルⅡ」によるエルジア王国首都ファーバンティへの再攻撃、もう片面は「空母ヴァルチャー」と各基地の航空部隊らによる、チョピンブルグ*1での制空権の確保にある。

特に後者のチョピンブルグでの制空権確保は、そのまま後続部隊の進路確保へつながると目されていた。

チョピンブルグは大陸中央南部に広がる広大な森林地帯と河であり、ここを突破すればガンター湾は目と鼻の先だからである。

纏めると、IUN側の構想としては、敵総司令部が存在するファーバンティへと直接攻撃、敵司令部を混乱せしめるか、あわよくば堕とし、その間にチョピンブルグを足がかりとして戦争目的である軌道エレベーターを制圧奪還しようと言う目論見だったのだ。
5月30日時点では、恐らく、IUN首脳部は国際停戦監視軍の戦力をもってすれば、戦争の早期終結は可能だと楽観的に考えていたのだろう。

つまり、この時点ではエルジアの戦力に対して、かなりの過小評価が成されていた可能性がある。

その上、エルジアに二機の無人航空母機「アーセナルバード」が鹵獲運用されている点について懸念がされていたが、これについても、これといった対策は考えられずにそのままゴーサインが成された。
結果、案の定、両面作戦の片面はアーセナルバードの迎撃により失敗に終わってしまう。
その上、もう片面のケストレルⅡ航空隊による首都攻撃も、またもや民間に被害を出すだけに終始し、挙げ句の果てにはケストレルⅡも撃沈されてしまう*2という燦々たる結末を迎えた。

この過程で、両航空部隊も多大なる損害を受ける他、目的とされていたチョピンブルグへの後続部隊派遣も実施されなかった。

"両面作戦"(Operation:Dual wielder)は、その両面が挫かれてしまうという結末に至ったのだった。

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ガンター湾から退避できた艦載機欠な空母「ヴァルチャー」。両面作戦においては、仮の艦載機として大陸各地からライノが集う。しかしながら尾翼を見る限りだとこのライノどもの所属は一機残らず不明である。一体何者なんだ貴様ら。

劣勢のIUN、元大統領救出にも失敗

しかしIUN司令部はそれでも、何としてでも軌道エレベータに辿り着きたいと考えていた。

そもそも、本戦争は軌道エレベータの所有権争いが本質にある。

即ち、ISEVの占領、制圧を達成すればそれだけで戦争の方が付くのだ。

また、軌道エレベータには、その建造を推進しオーシアが「平和輸出」に目覚めたきっかけでもある、環太平洋戦争の英雄"ハーリング元オーシア大統領"が取り残されていた、という理由もある。

ついでに言うと、IUN-PKFの海軍戦力、つまり沈没着底した艦船と将兵が、ガンター湾に多数とり残されているという話もあった*3

結局、6月6日、上記の中でもせめて元大統領の問題だけでもなんとかしようと、海兵隊の特殊作戦チームと航空部隊による救出作戦「灯台守作戦(Operation:Lighthouse Keeper)」が決行される。
しかし、救出ヘリは破壊され、特殊作戦チームは銃撃戦でその悉くが戦死し、救出対象であるハーリングその人も、作戦区域からの脱出途中に何者かのミサイル攻撃を受けて爆死する。
また同作戦中、IUN司令部は軌道エレベータの破壊攻撃を実施しようとするも、これについても失敗する。

結局、両面作戦に続いて、この作戦も失敗に終わるのだった。
これ以降、IUN-PKFは、二機のアーセナルバードが健在な限り、軌道エレベータには一切の手出しは不可能と言う結論に至ったらしい。

以後、軌道エレベータに直接関わるような正規の作戦は、その一切が実施されなかった。

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元大統領と武官がエルジアから強奪したティルトローター機、通称”マザーグースワン”。”灯台守作戦”(Operation:Lighthouse Keeper)にて軌道エレベーターから脱出を図ったが戦闘で損傷。この直後、本機はなにものかに撃ち落とされる。


膠着する東部戦線

オーシアが東からの風作戦以後、踏んだり蹴ったりを繰り返す中、エルジア軍は制圧したユージア大陸の前線の南北に渡るラインにかけて、UAVや警戒レーダーを組み合わせた"自動游撃システム"を構築する。
これは、陸海空問わず警戒網に接触した敵軍に対して、警戒レーダーに連動した無人機による即応攻撃を実施、敵の侵攻の阻止或いはその殲滅を行うためのものである。
また、このシステムに二機のアーセナルバードとその搭載無人機群が加わることで、警戒網の完成度は増し、突破は更に困難になるのだった。
これによりIUN及びオーシア軍は、同警戒網を攻略しない限りには、西へと進軍する事が叶わなくなってしまった。つまりISEVには辿り着けないのである。
以降、約二か月半に渡って、難攻不落の危険地帯と化したこの警戒網は、IUN-PKFの西進を押し留め続け、開戦から激戦続きだった東部戦線は、これを機に完全な膠着状態へと陥っていくのだった。

 

ところで、幾らでも代替可能な"無人機を主とするエルジア軍"と、限られた人的資源を工面する"有人機主体のIUN-PKF"では、戦争期間という時間の作用の仕方は対照的なものとなる。
高い金と時間をかけて丹精込めて育てたパイロットは、実戦を経験する度にその頭数を減らし、それを回復する為には莫大なカネと時間がかかるだろう*4

対して、無人機は幾らでもその代替が可能なうえに訓練を必要としない。コストも安い上に、運用に要する時間がヒト程にはかからなく効果的だ。
つまり、戦争が長期化すればするほどに、有人機主体のIUNの勝ち目は薄くなって行き、それに反比例して、無人機主体のエルジアは勝ちに近づいていく。
その上さらに、この東部戦線には本来期待されていたオーシア本土からの応援は一切届かない*5

よって必然的な流れとして、IUNが戦争を勝利する為には短期決戦が必須条件であるという考えに至る。

この停滞状況を早急に何とかしなければ、IUNは兵の出血に耐えきれず、敗北する事になるだろう。

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エルジアは開戦から無人機の効果的な運用によってオーシア並びにIUN-PKFを苦しめ続ける。オーシアが”東からの風”作戦(Operation:Eastern Wind)を実施しているちょうどその間、エルジアは無人機と警戒レーダーで作った自動邀撃システムの構築に努めていた。


短期決戦計画その二つの柱と二つの部隊

IUN並びにオーシア軍首脳は、短期決戦戦略こそが戦争の勝利に必須と結論づける。

これを受けて、戦争勝利の為に二つの柱が打ち出されたのだった。
まず一本目、「短期決戦達成の為に警戒網を避け、敵首都への直接攻撃を実施する」こと。
これには敵首都への道を切り開くため、"長距離戦略打撃群"と呼ばれる特殊戦略チームが数々の作戦を充てられた。
今までの諸作戦は、軌道エレベーター本体とそれが存在するガンター湾への侵攻計画が主たるものだったが、敵首都を目標に変更することで、二機のアーセナルバードとの全面対決を避けて、早期の戦争終結を目指そうと言うのだ。

エルジア国首都ファーバンティは、アーセナルバード警戒網の円の上からは絶妙に外れていたし、また、東部戦線とは違って大陸の西端ファーバンティ攻撃であれば、スプリング海を渡ってオーシア機動艦隊(タスクフォース)が敵首都への攻撃に合流できるかもしれない*6
IUNやオーシア本土の稼働空母戦力は開戦初期の攻撃で全滅しており、空母機動艦隊は全くの機能不全に陥っていたが、揚陸艦護衛艦の多くは未だ健在である。

その為に、遠征打撃群や水上攻撃群といった機動艦隊の編成や運用の余地はまだ残されていた。
ちなみに、このオーシア海軍の活動に対して、エルジアの有する強大な海軍がその障壁となることが予想されてはいた。
巡洋戦艦主体の水上攻撃群や、特に空母打撃群を中心とする大規模艦隊「ニヨルド」などである。

これらの水上戦力がどうにかなっていなければ、ファーバンティ攻略の際、オーシア本国からの援軍は大いに血を見るか失敗に終わるかするわけだ。
後に、オーシア軍はこのニヨルドと対決するハメになるのだが、これはもしかしたら避けられぬ道だったのかもしれない。

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見ての通り、アーセナルバード警戒網にファーバンティは含まれていない。

そして、戦争戦略の柱二本目、「自動邀撃システムを突破する為にシステムの網を解析する」ことである。
二つ目のそれは、一つ目を達成する上で必須とされ、つまり上述した二本の戦略は、後者が達成される事を前提した戦略であった。
これには、ザップランド航空基地所属の戦争犯罪者らによる懲罰部隊が充てられる。
危険な瀬踏み任務を、戦争犯罪者達に課すことで、システムの網に空いた穴を見つけ、そこから本命である長距離戦略打撃群を展開するのである。

ちなみに警戒網の解析、それは即ち警戒網の接触、そのまま無人機群との戦闘を意味しており、多くの懲罰兵がこれらの作戦行動で多く命を落とすことが予想されていた。

エルジアは無人機を消耗品として扱ったが、オーシアはこれに対し、懲罰兵(ヒト)を消耗品として扱う事で対抗したのだ。

オーシア軍首脳部のなりふりの構って無さが伺えるその戦法は、軍事大国オーシア(ユージア大陸上のIUN-PKF)がそれほどまでにエルジアに追い詰められていたという事に他ならない。

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懲罰兵やスクラップが集うユージア大陸東の辺境ザップランド。突如現れた謎の女の手によって、ゴミ同然だった機体は次々に息を吹き返す。気づけば懲罰兵たちは戦闘機に押し込まれ独房以上にヤバい環境へと放り込まれるのだった。 



まとめ

第一次大陸戦争当時、大陸最強の軍事力をもっていたエルジアだったが、灯台戦争開始時点ではその規模や人員は削減されてしまっていた。

大国オーシアに対して劣勢であることは、本来覆しようがない事実だったのだ。

しかし、エルジア軍は最新テクノロジーをフル活用したり、敵の兵器を接収するなど様々な手法を繰り出して、本来覆せない筈の差を埋めようとする。

西方のオーシア本土からの援軍を遮断し、IUN-PKFが布陣する大陸東部を孤立させ、無人機を揃えることで制空権を確保、数の上での不利を完全に覆す。

この時期のエルジアは、まさしく灯台戦争における黄金期であった。

IUNの繰り出す反抗作戦をことごとく跳ね除け、その全ての行動は図にのって上手くいっていた。

 

対して、劣勢のIUNでは、戦争の序盤が過ぎ去って以降、いつ間にやらIUN国際停戦監視軍(IUN-PKF)の名を謳わなくなり始める。

「停戦」そのものがエルジアによって破られ、国家の英雄たる重要人物をも喪い、もはや後戻りができない致命的なまでの戦争状態に陥った6月6日以降では「国際停戦監視」そのものが成り立たなくなった為である。

最早、これは停戦監視などと言う生温い軍事行動ではない。

以降、IUN国際停戦監視軍の名称は、正しく「オーシア軍」へと切り替わる。

つまり、これは文脈上、IUN(国連)の傘を着て「世界平和のため」という建前を振りかざしていた軍隊が、「自国の利権確保のため」という剥き出しの本音の元に戦う軍隊に切り替わったという事を意味している。

つまりは大国オーシアが「形振り構わず」「遂に本気で」「エルジアを潰す」意志を固めたのだ。

灯台戦争はこの後、ますます激化していく。

それはそのまま、本気になったオーシアによって、エルジアの国土が次々に蹂躙されるであろう未来を意味しているのだが、この時点でのエルジアはそんな事を知る由も無かったのだ。

戦況はしばらくの間エルジア優勢のままに進行していく。

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ユージア大陸の空を守る”アーセナルバード”。オーシア並びにIUNにとっては軌道エレベーター攻略を妨げる大きな障害となる。

 

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*1:ショパンのお城」という意味の広大な森林と川でできた地域。大陸紛争では、クーデター軍が物資をパラシュートでゲリラに配っていたり、大陸間戦争ではエルジア軍が民間機を虐めてたりして、妙な作戦が展開される事が多い場所である。今回は途中までは王道の空戦、後半は化け物鳥とその手下達から逃げ惑う羽目になる。どうでも良いけど、このミッションで流れるサウンドはトレーラー時代から大好きです。

*2:これにより、ケストレルⅡ航空隊は母艦を喪うだけに留まらず、航空隊そのものも、全損したと思われる。

*3:しかし、これについてはその尽くが放置され、今後の作戦においてそれを解決しようとする動きは一切見られず、彼らは見捨てられたようである。ブリーフィングにおいて、IUN艦船のIDがズラズラ並んでいるが、ここから、ガンター湾内でIUN-PKFはかなりの数の艦船を喪った事が確認できる。

*4:その上に母国オーシアから離れたユージア大陸における戦争であるという、政治的問題がこれに追い打ちをかけている。国民に「先進国の兵隊(国民)」を消費するという状況を納得させ続けるのは簡単な事では無い。国土そのものが侵略を受けている、と言う状況であれば、幾らか国民と国は一体感を感じて戦争へと臨めるだろうが、本戦争は他所の国での利権争いなのだ。つまりオーシア兵が死に続ければ、本来、国民にとっては殆ど得のない戦争なのだから、オーシア本国では厭戦ムードが醸成されるかもしれなかった。IUN首脳部やオーシア司令部は、様々な縛りの中で戦争を遂行せねばならなかったのだ。

*5:極論だが、例えオーシアに空母が残ってい無くとも、大船団を組んで人海戦術でユージア大陸に押し寄せれば、エルジアを圧殺する事は可能である。しかし、この時に消費されるだろう膨大なヒトとカネに、政府は耐えられはしないだろう。国民の支持は得られない。エルジアの空母機動艦隊が健在である状況では、オーシア本国から海を渡ってユージアへと辿り着く、という選択肢は取れないのだ。

*6:しかし、ファーバンティ攻防戦「ジャイアンツステップ作戦」におけるオーシア遠征打撃群は結局の所、IUN-PKFとしてユージアに元々あった艦隊であった可能性が高い。後の作戦ブリーフィングにて、オーシアからユージアへの輸送路を確保を期待する様な議論が成されている。つまり逆説的にファーバンティにおける攻防戦の段階では、それを成し得ていなかった可能性が高いのだ。よって終戦まで、オーシア海軍はオーシア⇆ユージア間を結ぶルートを見出す事は出来なかったと考えられる。IUN-PKFからオーシアへと名前をわざわざ変えていたのだが、結局IUN-PKFvsエルジアの図式は終戦まで変わらなかった模様である。