2006年ユージアの旅
オペレーション・カティーナ
我が家のプレイステーション2がついにおかしくなり始めた。
あまりにも酷使しすぎたためか、テレビに映らなくなり始めている。
我がPS2は、やってきてからの18年以上、ラチェット&クランク、クラッシュ・バンディクー、アーマード・コア、メタルギアなど数々な名ゲームを遊ばせてくれた至高の相棒である。
しかし、そんな相棒も20年近くの歳月を経て、ついには生き絶えようとしている。
これには、思わず涙がちょちょぎれそうになる。
あんな思い出やこんな思いでが思い浮かんでは消えていく。
そのどれもが大切な思い出だ。
PS2は俺の青春だった。
PS2こそが長らく我が生きがいだったのだ。
しかし、悲しいが、彼は歳だ。
天に召されるのを見送らねばならぬ。
ありがとう、ありがとうPS2。
人生最高のゲーム機だったよお前は。
いや、くたばってんじゃねえよ
ふざけんなお前今後俺にどうやって「04」や「ZERO」をプレイしろと言うねん
ほんとぶちギレそう。
PS2関連のサービスは終わっているし、生産自体もとっくの昔に終了している。
こんなことなら、中古のPS2を予備用として買っておくべきだった。
己の現状と動かないPS2に、怒りしか湧いてこない。
突然だが、筆者はここ最近「エスコン04」で遊びたくて仕方がなかった。
どうしても、「04」のニューフィールドのアンダーソンクレーターが見たかったのである。
しかしその道は、PS2が不燃ゴミへと変貌しつつあることで閉ざされようとしている。
このままでは一生、アンダーソンクレーターにはたどり着けない。
どうすればいい、どうすれば懐かしのアレンフォート飛行場で遊べるのだ。
そんな悩める俺を救う一つの救世主が現れる。
それこそ、「7」のオマケについてきた、ps4対応ソフト「エースコンバット5 The Unsung War」だ。
なんと、この「5」には「アーケードモード」という本編とは別のオマケモードがついており「04」の幾つかのステージで遊べるのである!!
これは、現状、残された唯一のニューフィールド行きの切符だった。
これをやらない手はないではないか。
ってな訳で、今回は、ニューフィルドに里帰りするついでに「オペレーションカティーナ」について解説しようと思う。
実はこの「カティーナ」、「エースコンバット7」に繋がる要素がチラホラあったりして、やってみると結構面白いんですよ。
いやぁ懐かしいぜ。
概要
「エースコンバットオペレーションカティーナ」とは、我らが英雄「メビウス1」となって敵をやっつける「5」のおまけモードである。
ボウフラの様にわらわらと現れるエルジア残党兵を千切っては投げ、千切っては投げる、とにかくスコアを稼ぎまくろうというシンプルで良い感じのシステムなのだ。
小学生時代、「5」を遊ぶ時はこのモードばかりを狂ったようにプレイしていた。
ケツを追ってくる敵AIをインメルマンターンやらシザースやらで迎撃したり、機をストールさせて敵をオーバーシュートさせたりした。
いかに効率良く敵を倒すのかを追求するのがとても楽しかった。
ただ、制限時間や弾数の管理がシビアで、迫り来る制限時間の中、機関砲で敵をやっつけなければならない場合もしばしばである。
人によってちょっとストレスフルなゲームモードだったかもしれない。
また、ミニゲームなのだがストーリーも設定もちゃんと用意されている。
が(ゲームの仕様上仕方ないのだが)あまりにも過剰な戦力がユージアの空を染め上げており、その絵ヅラはいささかシュールでもある。
プロローグ
オペレーションカティーナは、第1次大陸戦争終戦からの一年後、2006年を舞台にしたユージア大陸での動乱を描いている。
超軍事大国エルジアは激戦の末ISAF連合軍に敗北し、戦後暫定政府の下、おとなしく復興への道を模索していた…はずだった。
しかし、元々は大陸各国の無茶振りに反発して起こした戦争だったのだ。
敗戦した上、領土の約4割も奪われ、難民問題も未解決と来ている。
エルジア人からすれば不条理極めまりなく、国際社会に対してキレ続けていたのだ。
ISAFやFCU(中央ユージア連合)など各国は、外交的にエルジアを追い詰めすぎている。
追い詰め、退路を経てばそれはいつしか必ず噴き上がる。
よって、敗戦後もエルジア兵はしばしば各国境地帯などで散発的に小競り合いを起こしたり、不満を噴出させて暴走していたりしたのだった。
その中でも2006年の反乱は特にデカかった。
エルジア過激派将校達は自らを「自由エルジア」と名乗りホワイトバレーの軍事工廠を不法に占拠。
ユージア東部を中心として、残党やテロと呼ぶには余りもスケールがデカ過ぎる規模での作戦行動を開始するのであった。
いやだからと言ってメビウス1、1人かよ。
ISAFはその一個飛行隊の戦力というか練度の底上げに努めるべきである様な気がする。
ちなみにカティーナ(Katina)はヨーロッパら辺の女性の名前である。
何故この名になったのかは語られておらず、よってその未だに不明。謎である。
自由エルジアの戦力
ゲームルール上、うじゃうじゃ敵がでてくるようになっており、自由エルジアの戦力が凄まじいものになっている。
テロリスト風情が持つ軍事力にしては、質・量ともにあまりにもゴージャスなのだ。
例えば、自由エルジアのアジトであるホワイトバレーには、デカ過ぎる正規空母が一隻、悠々と漂っている。
またどうやら自由エルジアには、エルジア正規軍時代の輸送機部隊や、戦力爆撃機部隊が数多く参戦しているっぽい。
ゲーム中、これらのボーナスターゲットである大型輸送機や戦略爆撃機を撃ち落とす事になる。
というか、毎ステージ輸送機が親の仇の様にしてわらわらとポップしてくる。
これに乗ってエルジア残党共は大陸各地に空輸されていったのだろうか*1。
また、肝心の戦力の中核たる戦闘機部隊もなんかもうすごい。
最強戦闘機のF-22Aをはじめ、黄色部隊が愛用していたSu-37ターミネーターから、Mig-21、定番のF-16CやF-15Cなど、大陸戦争時代のエルジア正規軍時代と何ら変わりない勢いで色々と使っているようだ。
またその極め付けとして、第一次大陸戦争時では実用に間に合わあわなかったという、エルジアの秘密兵器「X-02 ワイバーン」がラストバトルで登場する。
前大戦時にエルジアが作り上げた秘密兵器であるこの機体、どうやらこの武装蜂起でホワイトバレーの軍師工廠から掘り返され、元の持ち主の元に戻り、暴れ回っているらしい。
エルジアには敗戦に対する反省の色など本気で無いようだ。
恐らく、彼ら自由エルジアに怖いものなどは何一つとして無く、その不屈の精神を持ってして、彼らは何度でも何度でも甦るのだろう*2。
恐らくは、エルジア人と言う民族が消滅するまで、ユージアに恒久的な平和が訪れることはない。
嘆かわしい事である。
エピローグ
結局、我らが英雄メビウス1により、悪のエルジア人の大群は駆逐されるのであった。
この時から企んでたんかよ。
~オペレーション・カティーナ完~
まとめ「危険な国、エルジア」
はじめ、エスコン「04」の時、筆者はエルジアに対して同情的だった。
しかし、冷静になってオペレーションカティーナをプレイし、エスコン7をプレイすると、その様な気持ちが無くなってしまう事に気づく。
例えば、敗戦しても夢の秘密兵器「X-02」を取り返すべき暗躍し、一年後反乱を起こしてそのまま実戦へと投入するとか。
また例えば、2006年から2019年まで熱心に無人機の研究を続け、遂には世界に対してそれを用いて喧嘩を売りはじめるとか。
どちらも連合国やら国連によって見張られている状態にも関わらず断行し続けていた。
尋常では無い執念を感じる。
これらの度重なる馬鹿げた研究の数々、何度敗北しても懲りない不屈の精神を見るに「コイツらがユージア大陸中で嫌われるのも仕方ねえよなあ」という気にもなってくる。
おそらく歴史的にずっーと、この様な狼藉を働き続けてきたのであろう。
そりゃ、武装平和と称した冷戦の原因となったり、隕石災害の難民を一方的に押し付けられたりする訳だ。
常に訳わからん兵器を研究し続け、定期的に反乱やら軍事侵攻を起こす国である。
嫌過ぎる。なんなんだこの国。
誰かがなんとかせねばならない。
今、長い時を経て、私はエルジア擁護論者から転向し、ようやくISAF将兵やFCU国民と同じ気持ちを共有する事が出来るようになったのだ。
本当に長かった。
この境地に達するまで17年もかかった。
そうとなっては、急がなければならない。
すぐさまISAFに加わり、エルジアに正義の鉄槌を下さなければならぬ。
あのファシスト共が支配するサルサルバシオンを解放しなければならない。
ハモニカ少年がオレを待っている。
PS2を再び起動し、テイクオフするその時が、今、訪れたのだった。
しかし、俺のPS2は死んでいた。
オマケ「ニューフィールド里帰り」
ああ、懐かしき我が故郷、ニューフィールド島。
遂に長い時を経て、私はアレンフォートへと帰ってきたのだ。
しかし、よく見るとアンダーソンクレイターの様子がおかしい。
埋め立ててんじゃねえか!
「5」のニューフィールド島は、ニューフィールド島だけど、よく知っているニューフィールド島じゃなくなっていた。
2019年初秋、未だに私はニューフィールドに帰れてはいない。
~完~
FG飛行隊とは何ぞや
憶えているだろうか。
君は憶えているだろうか。
懐かしき名前の数々を。
ノッカー。
ブラウニー。
クラウン。
スカイキーパー。
フットパッド。
ボガード。
そしてファウン。
彼らはトリガーと共に戦争の序盤を戦った、硬くてアツい絆で結ばれた戦友たちだ。
数々の戦場や地獄を共に駆け抜けた僚機たち。
運命を共にした朋友。
そう、彼らは愛すべき仲間達。
忘れる筈などは無い。
当然、憶えているだろう。
いや誰やねんそいつら。憶えとらんわ。
彼らは、最初の3つだか4つだかのミッションを共に戦った、俗に言うIUN国際停戦監視軍(以下、IUN-PKF)の下っ端どもである。
実は、愛着すらわかねぇ、名前すら憶えてねぇ状態なトリガーの方が多いんじゃなかろうか。
スカイキーパーや、ブラウニーのおねいさんなんかは記憶に残ると思われるが、フットパッドとかボガードとか、まずファウンて何?いた?的な人の方が多いと思う。
とにかく、彼らはキャラが薄い。
筆者は、エスコン7を発売日に買った当初、多量の酒と極度の寝不足で判断能力が減衰した状態で初見プレイに臨んでいた。
よって、キャラがやたら被っていた(オッサン、おデコ、将来ハゲそう)"クラウン"と"イェーガー"が概念として謎の融合を開始したせいで「オメー、俺が懲罰部隊にぶち込まれている間に出世しやがって、しかも子供なんか作っていたのか」とイェーガーに対して謎の勘違いと疑念、そして極度の不信感を抱きながら灯台戦争を闘い抜き、気づけば終戦を迎えていた。
2周目に「コイツら別人じゃねえか」と気付いた時の衝撃は筆舌に尽くしがたいものがある。
この衝撃を文章で伝えられないもどかしさを感じながら本項を執筆している。
まあすごくどうでもいいけど。
流石にクラウンとイェーガー混同するアホなんてそうはいないだろうが、何人かはキャラを掴みにくかったし、名前を憶えられなかった。
彼らは、メイジ隊やゴーレム隊、それらを纏めたフォートグレイス飛行隊として一緒に戦ったものの、トリガーが懲罰部隊に飛ばされてからは以来すっかりご無沙汰になってしまった。
彼らは中盤からの重要局面には、何ら関わり合いの無いキャラである。
だがしかし、キャラとしてせっかく作られた訳だし何か調べれば深い意味があるかもしれぬと、考察を決意したのだった(しかし意味は無かった)。
よって本項では、メイジ隊並びにゴーレム隊、フォートグレイス飛行隊の面々について調べていきたいと思う。
目次
フォートグレイスとは
フォートグレイス(Fortgrays=灰色の砦)とはユージア大陸東の果て、中立国ノースポイントの真南に位置する、幾つかの島々で構成された地域の事である。
計四つの島で構成されており、その内の一つには大きな軍港施設と飛行場が存在する。
また、海域全体に巨大隕石ユリシーズの破片が衝突したと思わしき跡がそこかしこに見られる。
馬鹿でかい「ニューマン・クレーター」の他、過去フォートグレイスで最も栄えていたとされる北部の島、そしてその成れの果ての廃墟など、これらはなんとなく「04」の全ての始まりの地であるニューフィールドを想起させる。
フォートグレイスにまつわる歴史はほどほどに深く、ストレンジリアルの表舞台に名を表す最初の出来事は1994年(多分)だ。
統合軍(同盟軍)の進撃を阻止するべく、クーデター軍の空母機動部隊がうじゃうじゃと集結し、スカーフェイス隊との大激戦の舞台となっていた*1。
ちなみにこの時のフォートグレイスでは「7」において見られるような、その特徴的な島の外見を見ることは出来ず、島が無秩序に点々と広がる海にしか見えなかったりする*2。
次にその名が現れるのは、1996年の極東(ノースポイント、フォートグレイス)にて活動していたFCU*3の第六艦隊の旗艦が、この島と同名の空母である「フォートグレイス」だったというニュースである。
しかし、この空母のフォートグレイスは綴りが「Fort grace=恵の砦」なので「Usea today」の筆者が誤植したか、そうでなければフォートグレイス島と縁も所縁もない艦である可能性もあったりするのだけれども。*4。
ちなみに、残念ながら「04」においてはフォートグレイス島そのものの姿を拝むことは出来ない。が、既にこの時点でユリシーズ落着を受け、ニューマンクレイターは形作られているだろう。もし行ける事が出来たのであれば、あの特徴的な形の島を見ることが出来たものと思われる。
そこから更に時を経て、2014年に自由エルジアを名乗るテロリスト集団とIUN-PKFが戦っていた時期には、メビウス隊やオメガ隊など、ノースポイント*5から派遣されていた飛行隊が、国際停戦監視を名目としてフォートグレイスに詰めていたようだ。また、空母アルバトロスを中心とした空母打撃群がこの時期には既に活動している。
2019年には、メイジ隊やゴーレム隊などのオーシアからの飛行隊や、これまた空母"アルバトロス"を中心とした空母打撃群などが、国際停戦監視を名目としてユージア大陸の平和を守るべく活動している。
また、灯台戦争(第二次大陸戦争)においては、IUN-PKFに残された数少ない戦略的要地だったらしく、「04」におけるニューフィールド島と同じく、対エルジア戦争の反撃の要としての役割を担ったようだ。
国際停戦監視軍フォートグレイス基地
エルジア勢力に埋め尽くされたユージア大陸内で、残存している数少ない軍事施設の一つ。
事あるごとに争いごとに巻き込まれたり、エルジアとの戦いの際にも深く関係していたりと、この島々はまさしくフォートの名前に相応しく、戦に縁とゆかりのある土地と言えよう。
ちなみに、2030年頃からはここら一帯は多国籍企業体ゼネラルリソース(General Resource LTD)によっての支配がなされているようだ。
フォートグレイス飛行隊
2019年には、主にオーシア国防軍の幾つかの部隊がここで活動している。
彼らはIUN指揮下の下部組織、IUN-PKFに組み込まれ、国際停戦監視の任に就いている。
そして灯台戦争では、そのまま同戦争の対エルジア作戦の尖兵として、数々の諸作戦へとあたった。
先にならって、エルジア軍の蜂起に対する即応部隊としての役目を果たしたわけである。
劇中登場する代表的な部隊としては、ゴーレムとメイジの二小隊が挙げられる。
オーシア国防空軍 第506戦闘攻撃飛行隊‟ゴーレム”
Osean Air Defence Force 506th Fighter Attack Squadron "Golem"
国籍 | オーシア |
軍籍 | おそらく空軍 |
任務 | 対地・対空攻撃 |
基地 | フォートグレイス |
テールコード | FG |
作戦機 | F/A-18F |
主な戦歴 | 灯台戦争など |
オーシア国防空軍第506戦闘攻撃飛行隊「ゴーレム」とは、オーシア国防空軍、IUN-PKFの戦闘攻撃飛行隊である。
「ACES at WAR a history」によれば、本部隊は「戦闘攻撃飛行隊」にも関わらず、何故か空軍管轄内の部隊となっているという説明が面倒な部隊でもある。
そもそも「戦闘攻撃飛行隊(=Strike Attack Squadron)」とは(オーシアのモデル国とされる、アメリカ軍の編成に習えば)海軍所属の対地・対空戦闘を行う戦闘機を主軸とした部隊名称、ようは海軍なのだ。
しかし「Fighter Attack Squadron」とは海兵隊が所持する航空部隊だ。その名が示すのは海軍では無い。
早い話、オーシア国防空軍第506戦闘攻撃飛行隊"ゴーレム" (Osean Air Defence Force 506th Fighter Attack Squadron "Golem")の一連の文字の羅列には、空軍海軍海兵隊全ての意味が内包されており、つまるところ軍所属欲張りセットとなっているのである。
これでは名前からどこの所属かを判別する事は難しい。
例えば、オーシア国防空軍第616戦闘攻撃飛行隊「ガーゴイル」(Osean Air Defence Force 616th Strike Fighter Squadron "Gargoyle")は、海軍仕様機である「F-14D」を空軍で用いる部隊である。
この法則に則れば、F/A-18Fを空軍で運用する、オーシア国防空軍第506戦闘攻撃飛行隊"ゴーレム" (Osean Air Defence Force 506th Fighter Attack Squadron "Golem")が成り立つだろう。
これは、F/A-18Fが、海兵隊仕様機として導入されたのであればの話だが。しかしそもそも、このスーパーホーネットは海兵隊の機体では無いので、よってこの法則も成り立たないのだけれども。
結論から言うと、これらオーシア国防軍の航空機部隊の編成や管轄については、どう考えても迷宮入りで終わる。
正直よくわからないとしか言いようがない。
とにかく、オーシア国防空軍第506戦闘攻撃飛行隊"ゴーレム"とは、オーシア国防空軍かつIUN停戦監視軍(IUN-PKF)所属の戦闘攻撃飛行隊であり、F/A-18Fを運用し対空対地両方に対応した部隊であると言う解釈でいれば恐らく問題はないのだろう。
これについては、公式の解答が待たれる。
いや、知らんけど。
Knocker Golem 1
ゴーレム隊の口うるさい”ママ”こと、ゴーレム1「ノッカー」おじさん。
メイジ、ゴーレム両隊を束ねる編隊長でもある。
TACネームは、他のゴーレム隊と同様にして、とある妖精*6が由来している。
ノッカーとは、鉱山に住み、鉱脈や落石の危険性を教えてくれる有益な妖精である。
それ以外にもknockerは、ノックする人、たたく人から転じて、口うるさいヤツ、悪口ばかり言ってくるヤツ、欠点ばかりあげへつらう人、disって来る人、つまりはノッカーおじさんそのまんまの意味も持つのだ。
何かと人の行いにケチばかりつけてくるようなうるさいオッサンだが、別に性格が悪い訳ではなく単純に心配性なだけ、つまりはオカン気質なのだ。
それを表す例として、ブラウニー戦死後など「俺があんな風に強くいったから…」とか「あそこで手元から手放さなければ…」みたいな感じでずっと引きずっていた。
また、トリガーが被弾すると結構心配してくれたり、ブラウニーの後任の「Faun」にもよく声掛けをしているなど、非常に面倒見の良い人でもある。
やはり、オカンじゃないか。
ちなみにKnockerとは、「女性の胸」を意味する卑猥なスラングでもある。
オカン気質とdisり屋を併せて二重の意味でKnockerなのだ。
ゲーム中では、プライドの高いブラウニー、何考えてんだかわからないフリーダムなトリガーらの新人達を抱えて、ハラハラドキドキ、苦労する中間管理職的な雰囲気を漂わせている。
とにかくノッカーは、チームプレーを好み、スタンドプレーを憎んでいる。
しかし、彼の(ある意味では)門下生であったトリガーは、結局その終戦までひたすらスタンドプレーに傾倒し続けていたりと、始末に負えない結果となった。
Brownie Golem 2
ゴーレム隊の優等生然としたルーキー。
上司に認められたくて仕方がないお年頃。
キャラビジュアルがプレイPV時代から大幅に変更されていて、小汚い髪を垂らした屈強そうなゴリラから、小奇麗なOL然としたおねえさんに大幅な変更が成されている。
全方位に突っ張っておりプライドがやたら高いのだが、この手のキャラとしてありがちなお約束、いわゆる噛ませ犬としての役割を忠実に実行する。
戦争序盤において、被弾して撤退しようとした途中、変なスーツを着たムキムキなオッサンに絡まれてしまい、散々尻を追いかけまわされて怖い思いをさせられた挙句、最期にはそのオッサンに飽きられて撃墜されてしまう。
哀れ、登場から3ミッションという短期間で絶命したブラウニーだったが、トリガーとしてはあまり絡みも無いし仲良くもなかったので「ミハイ許さん」とオッサンを倒す動機づけになったかどうかは結構疑問である。
TACネーム、ブラウニーの由来はお手伝い妖精のブラウニー*7。
髪の毛や来ている服や髭などから、茶色を意味するブラウニー(茶色いヤツ)と呼ばれ、家の掃除や家畜の世話などをしてくれるといわれる。
そのお礼として、部屋の片隅に「食べ物」をお供えしてさりげなくご馳走してあげるのがよいらしく、その伝承を反映してか、劇中それっぽいエピソードが無線で展開されている。
結局ブラウニーは、戦死する前に、ノッカーに行きたかったお店*8に連れて行ってもらえたのだろうか。
Boggart Golem 3
ゴーレム隊3番機。影の薄いボガート。
顔ビジュアルも無ければ、これといったエピソードもない謎に満ち溢れた不気味な男。
TACネームの由来は、いたずら好きの妖精ボガードより*9。
ブラウニーもいたずら好きな妖精だが時に家事を手伝ってくれるのに対して、ボガードは純粋に害悪な存在で、悪さばかりをするらしい。
Footpad Golem 4
ゴーレム隊4番機。影の薄いフットパッド 。
こいつも顔も無ければエピソードもない。
謎が多く、そして影が薄い男である。
TACネームは「追いはぎ」を意味する名詞である「Footpad」。
あるいは、伝承の妖精パッドフット*10。
パッドフットは、黒い犬や白い犬の姿で現れひたひたと旅人の後をつけて、鈍い足音や首に付けた鎖の音で驚かせる。
こいつもまた害悪なだけの妖精だ。
Faun Golem 2
誰やねん。
軌道エレベーター周りのミッションで突如現れた謎の男。
オーシア国防空軍 第508戦術戦闘飛行隊"メイジ"
Osean Air Difence Force 508th Tactical Fighter Squqdron "Mege"
国籍 | オーシア |
軍籍 | 空軍 |
任務 | 対空 |
基地 | フォートグレイス |
テールコード | FG |
作戦機 | F-16C |
主な戦歴 | 灯台戦争など |
オーシア国防空軍第508戦術戦闘飛行隊「メイジ」とは、オーシア国防軍所属かつIUN-PKF所属の戦術戦闘飛行隊である。
戦術戦闘飛行隊Tatical Fighter Squadronは、制空戦闘が主な役割となる。
ようはTAC Fighter SQとはオーシア空軍における便利屋的な性格が見受けられる*11部隊なのだ。
ゴーレムがルーキーとベテランで混成されていたのに対して、メイジは比較的腕の立つの二人で構成されている部隊である。
余談だが、オーシア空軍の部隊の中で、ソーサラーやらウィザードなどの「魔法使い由来の名の部隊」は大体は不祥事やら裏切りに絡んでいたりする。
結局メイジも御多分に漏れず、大統領の誤射、殺害という不祥事を引き起こした(冤罪だけど)。
元々数が少ない1エレメントのみのよくわからん部隊だったのが、最期にはついにクラウン1人だけになってしまった。その後どうなったのかは不明であり、割とマジで心配だったりする。
果たしてクラウンはこの戦争を生き残れるのだろうか。
Clown Mage 1
Trigger, time to show the other guys that we get wet, wild, and do dirty, dirty things.ーOperation:Dual Wielder M3より 初出「E3:2017」
日本語音声では単に「トリガー、俺たちの力をみせてやろうぜ」だが、Eng音声だと「トリガー、俺たちが、濡れて、野蛮で、(血に)濡れて、汚くて、汚ねえ事をするところを他の奴らに見せつけてやる時だ(意訳)。」ってな感じで、戦争屋ぽくてかっこいい。
※ちなみにwet(wet work)dirty things ともに人殺しを意味。
クラウンおじさんは比較的ベテランパイロットである。
メイジ隊の一番機として、トリガーとエレメントを組むことになった。
ただものではなさそうなセリフ、ベテラン然とした飄々した態度、また発売後明らかになった「006」という不吉な機体番号、メイジという過去作の伝統を引き継いだそのうち悪堕ちしそうな部隊名、これらをまとめて「コヤツ…ただものではないな」という雰囲気を放っていた。
間違いなくコヤツは本作におけるキーパーソンであると確信していたのだ。
しかし、結局その正体は、ただのしがない公務員であった。しかももっと酷いことに、公式HP曰く、日和見主義のなんだか、あんまり凄くないオッサンだったらしい。
最終的には相棒のトリガーにどっか行かれて1人になってしまうという、割と職務にマジメな常識人だったが故に同情してしまう、つまり、なんだか可哀想としか思えない様な顛末を迎える。
TACネームの由来は、ピエロや道化師を意味するClown。
日和見主義的なところを揶揄するようなTACネームだと思われる*12
ただものではなさそうな雰囲気の名前ではあるが、どうやらただ者に過ぎなかったらしい。
結局このおじさんは何だったのかが、よくわからない。
余談だが、クラウンとイエーガーのキャラって結構似てる気がする。
前髪が後退して今にもハゲそうなところとか。
Trigger Mage 2
着任早々、職場が空襲を受け、炎上するという不運に見舞われながら登場した我らが主人公。
オーシア空軍所属の「確かな腕」を持つとされるパイロット。
滑走路から上がりながら編成についての説明を受けている為、恐らくメイジ、ゴーレムの面々とは、(プレイヤーと同様にして)殆ど空中で「はじめまして」だったと考えられる。
メイジ隊には欠員補充として所属する事となる。
初期機体はF-16Cファイティングファルコン。
ガンター湾周辺の警戒レーダー突破の重要なミッションに選抜されたり、着任前からその技量について一目置かれていたりと、正規軍時代ではオーシア軍内での人事評価はそれなりに良かったようなフシがある。
劇中、元大統領にむけてミサイルを二発もぶち込んだの容疑(冤罪)を受け、その為に軍事法廷で裁かれてしまい懲罰部隊に島流しされるという、これまた不幸な目に遭ってしまう。
その後、彼がフォートグレイスの地に戻る事はなかった(戦後は知らん)。
まとめ
このように多数のキャラが存在するわけだが、ぶっちゃけここにいるトリガー以外は、一人も残らずストーリーにはあまり関係がないキャラでもある。
トリガーはこの後、所属部隊を転々としながら灯台戦争の全局面に直面することになる。
しかし、彼らフォートグレイス飛行隊がストーリーに姿を現す事は二度と無かった。
結局彼らはどうなったのであろうか。
ただただ謎は深まるばかりだ。
一部画像はエースコンバット7 公式ホームページより引用
https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php
*1:ちなみに恥ずかしながら、俺はこのミッションを実機でクリアした事が無い。というか実はこのミッションの解放条件を達成した事が無かったりする。いや、ホントについ先日までマジで知らんかったわこのミッション。
*2:「5」における「オペレーション・カティーナ」で広がる海洋ステージも、実は「2」準拠のフォートグレイスだったりするのだろうか。結構似ている気がする。いずれにせよ「2」時点であれだけ飛び石の様に散らばっていた島々が一掃され、2019年には綺麗な四つの島だけになっているのはそこはかとなく違和感がある。これらについて考えられる可能性は二つある。まず、一つ目としてフォートグレイスの周辺海域はめちゃくちゃ広く、そして島が沢山あり、「2」「7」ではそれぞれ別のエリアで戦闘が展開されていたということである。もしくは、ユリシーズの破片の落着によって、背の低い島々は海の中に没してしまったかが考えられる。無いとは思うが、仮に後者だった場合、かなりユリシーズはエグい事をやらかしている事になる。怖い話だ。
*3:中央ユージア連合Federation Central Useaというユージアの小国がまとまって出来た、味気ない名前の大統領性の国家。大陸戦争開戦前は、ずっとエルジアに対して張り合ったり批判したりと、かなり喧嘩を売っていたようだ。開戦直後にそのまま対エルジア戦の尖兵を担っていたのもこの国である。ちなみに灯台戦争開戦前までは、ロカロハ砂漠のハイローラーが命を落とした例のあの基地もFCUの所有物だったらしい。が、開戦後はエルジアに占領され利用されてしまっている。そのほかにも、恐らく国土全体をアーセナルバードや無人機の勢力範囲に収められてしまっていると思われる。二つの戦争を通して、割りかし酷い目に遭い続けている不幸な国ではあるが、これはエルジアに距離的に近い国の中では最も高い国力を持つ故だと考えられる。ある種の宿命なのだ仕方がない。
*4:中央ユージア関連(?)の空母の命名法則は不明だが、空母ホワイトバレーなどユージアの所縁ある地名を付けるという前例がある。よって、このフォートグレイスが本当にフォートグレイスが由来である可能性も捨てきれない。ちなみに件のこの艦、メビウス1のファントムを打ち出した艦として、最も有力な候補の一つであるともされている。仮にそうであった場合、艦に記載された番号を加味して考えると「CV-04 Fort grace」がかの艦の正式名称になるのかもしれない。
*5:大陸戦争から時を経て、例えば2019年の灯台戦争などの国家間における戦争には、原則としてノースポイントは中立のスタンスを取る。しかし、2014年の自由エルジア蜂起に対する諸作戦の名目は、対テロ紛争だったが為に参戦が可能だった様だ。尚、中立を宣言していても基地や土地などを片方の勢力に貸し出していたりする。具体的にはオーシア勢力に協力・加担しているのだが、ノースポイントなる中立国は、キナ臭い匂いを撒き散らしながら、今日も歴史の陰で暗躍をしているのだ。
*6:ノッカーの由来は、現実世界のイングランドに伝わる妖精である。ストレンジリアルでも、例えば、ガルム、ガルーダ、バジリスクなどの伝承、神話や架空の生き物などが現実世界と同じ様に言い伝えられているようだ。また、ラーズグリーズなど本来では北欧神話由来の戦女神も、伝承内容などの形を変え、一般へと広がっている。
*7:ブラウニーはスコットランドや北部イングランド民間伝承における妖精。
*8:日本語音声ではレストラン。Eng音声だと、ブラウニーはバーに連れて行って貰いたかったらしい。
*10:パッドフット、またはフッドパットはイングランドに由来する伝承の妖精。ゴーレム隊はこの様にして、イングランド由来の伝承がTACネームによく採用されている。
*11:TAC Fighter SQは現代におけるアメリカのFighter SQとほぼ同義。Tactical Fighter Squadronは、90年代のアメリカ空軍には存在したが、区分や編成などがなんか色々あって、今はあんまり使われていない名称でもある。ちなみにカナダや自衛隊などでは未だにTactical Fighter Squadronを使われている。
*12:どうでも良いけど、このクラウンという皮肉めいた名称からはスペア隊臭がプンプンするからホントに不思議だ。
灯台戦争全史 2 序盤
灯台戦争序盤、エルジア軍による宣戦布告と、その直後の攻撃、つまり2019年5月15日から2019年6月6日におけるオーシア元大統領ビンセント・ハーリングの死亡までの期間の戦争について本項では解説したい。
また、この期間の戦争は、宣戦布告直後のオーシアへの本土攻撃を除けば、エルジアと交戦したのはその全てがユージア大陸に駐屯していたIUN国際停戦監視軍(以下、IUN-PKF)である。
この期間における諸作戦の失敗によって、IUNは当初の目標だった軌道エレベーターの奪還をひとまず断念する運びとなる。
初戦はエルジア側の圧倒的優勢だった。
尚、IUN-PKFは、実質オーシアのユージア大陸における一種の海外遠征軍であり、その大部分を占めるのはオーシア軍である。
つまり、本項においてはIUN=オーシアくらいの軽い気持ちで解釈してもらっても差し支えは無い。
灯台戦争開戦までの経緯はこちら
suddenlyonslaught.hatenablog.com
灯台戦争諸元
- 定義:開戦からファーバンティ陥落まで、各々の国のHQの指揮によって遂行された戦争期間。
- 年月日:2019年5月15日-2019年9月18日(本項での解説は2019年6月6日まで)
- 場所:ユージア大陸全域
- 結果:IUN-PKFとオーシア軍側の優勢(エルジアはオーシア軍に首都ファーバンティを制圧されるが、ユージア各地の残存兵力やUAV戦力は継戦。直後、大陸全土で通信網途絶)
-
交戦勢力(戦争序盤) IUN(IUN-PKF)
エルジア オーシア連邦共和国 エルジア王国 その他ユージア大陸国 エルジアへの同調勢力他 多分FCU他
灯台戦争序盤解説
エルジア宣戦布告からの攻撃と、反撃するオーシア
2019年5月15日エルジアによって、オーシア及びそれに与するものに対しての宣戦布告がなされた。
その直後のエルジアの無人機や有人機による攻撃によって、オーシア本土のオーシア軍、ユージア大陸各地のIUN国際停戦監視軍は多数の被害を被る。
特に、IUNの海軍戦力の中核、航空母艦の被害は顕著であった。
多くのオーシア軍、IUN-PKF所属の航空母艦は沈んでいった。
例えば、建造中の空母アドラミル・アンダーセンは大破、フォートグレイス島に停泊していたIUNの空母アルバトロスは被弾のち沈没してしまう。
よって、IUN-PKF側の稼働空母は「ケストレルⅡ」、「ヴァルチャー」のみとなり、またヴァルチャーはこの時点で艦載機を全て失ってしまっている。
そんな中、2019年5月15日16時14分、フォートグレイス飛行隊は、エルジア爆撃機部隊と交戦をしている。
IUN-PKF側のエルジアに対する迎撃作戦、鹿の角作戦(Operation:Deer Horn)は、開戦直後の攻撃に対するIUNの数少ない効果的な反撃例となった。
また、エルジア軍攻撃の報復と称し、空母ケストレルⅡ及びその航空隊が、エルジア首都ファーバンティに対しての空襲を行なっている。
しかしこの攻撃は、エルジアの戦力目標に対して何らダメージを与える事なく終わっており、しかもケストレルⅡ航空隊が放ったミサイルや、撃墜したエルジア機が市街地に突っ込んでしまい、民間人に多くの被害を出してしまう。
その後、ケストレルⅡはエルジア空軍機の反撃を受け、戦果を上げることも無くスプリング海洋上に逃げ戻る羽目になるのであった。
ちなみに、この"オーシア軍の攻撃による民間への被害"は、エルジア側の無人機による、(彼ら曰く)クリーンな爆撃と比較され、以降エルジアによる宣伝戦において大いに利用される事となる。
劣勢のIUN、反抗作戦の失敗
エルジアの攻撃により、IUNのユージアにおける支配地域は大陸東部だけに限定されてしまう。
IUNの海軍主要戦力が集っていたガンター湾及びISEVは、エルジアによる一連の攻撃と同時に侵攻を受け、完全に制圧されてしまっていた。
そこでIUNは反抗作戦第一陣として、2019年5月17日"東からの風作戦"(Operation:Eastern Wind)を実行。
オーシア軍並びにIUN国際停戦監視軍の陸上部隊は、大陸各地基地航空隊からの航空支援の下に、西へ向かっての進撃を開始する。
この時点でのIUN-PKFの戦争における目標は、大陸南西部のガンター湾及びそこにそびえ立つ軌道エレベーターの奪還とされていた。
加えて5月30日、残存する空母"ケストレルⅡ"、空母"ヴァルチャー"に加えて、多数の空軍の航空部隊を投入した大規模反抗作戦、通称"両面作戦"(Operation:Dual wielder)が発令される。
これら両作戦の目標は、片面は「空母ケストレルⅡ」によるエルジア王国首都ファーバンティへの再攻撃、もう片面は「空母ヴァルチャー」と各基地の航空部隊らによる、チョピンブルグ*1での制空権の確保にある。
特に後者のチョピンブルグでの制空権確保は、そのまま後続部隊の進路確保へつながると目されていた。
チョピンブルグは大陸中央南部に広がる広大な森林地帯と河であり、ここを突破すればガンター湾は目と鼻の先だからである。
纏めると、IUN側の構想としては、敵総司令部が存在するファーバンティへと直接攻撃、敵司令部を混乱せしめるか、あわよくば堕とし、その間にチョピンブルグを足がかりとして戦争目的である軌道エレベーターを制圧奪還しようと言う目論見だったのだ。
5月30日時点では、恐らく、IUN首脳部は国際停戦監視軍の戦力をもってすれば、戦争の早期終結は可能だと楽観的に考えていたのだろう。
つまり、この時点ではエルジアの戦力に対して、かなりの過小評価が成されていた可能性がある。
その上、エルジアに二機の無人航空母機「アーセナルバード」が鹵獲運用されている点について懸念がされていたが、これについても、これといった対策は考えられずにそのままゴーサインが成された。
結果、案の定、両面作戦の片面はアーセナルバードの迎撃により失敗に終わってしまう。
その上、もう片面のケストレルⅡ航空隊による首都攻撃も、またもや民間に被害を出すだけに終始し、挙げ句の果てにはケストレルⅡも撃沈されてしまう*2という燦々たる結末を迎えた。
この過程で、両航空部隊も多大なる損害を受ける他、目的とされていたチョピンブルグへの後続部隊派遣も実施されなかった。
"両面作戦"(Operation:Dual wielder)は、その両面が挫かれてしまうという結末に至ったのだった。
劣勢のIUN、元大統領救出にも失敗
しかしIUN司令部はそれでも、何としてでも軌道エレベータに辿り着きたいと考えていた。
そもそも、本戦争は軌道エレベータの所有権争いが本質にある。
即ち、ISEVの占領、制圧を達成すればそれだけで戦争の方が付くのだ。
また、軌道エレベータには、その建造を推進しオーシアが「平和輸出」に目覚めたきっかけでもある、環太平洋戦争の英雄"ハーリング元オーシア大統領"が取り残されていた、という理由もある。
ついでに言うと、IUN-PKFの海軍戦力、つまり沈没着底した艦船と将兵が、ガンター湾に多数とり残されているという話もあった*3。
結局、6月6日、上記の中でもせめて元大統領の問題だけでもなんとかしようと、海兵隊の特殊作戦チームと航空部隊による救出作戦「灯台守作戦(Operation:Lighthouse Keeper)」が決行される。
しかし、救出ヘリは破壊され、特殊作戦チームは銃撃戦でその悉くが戦死し、救出対象であるハーリングその人も、作戦区域からの脱出途中に何者かのミサイル攻撃を受けて爆死する。
また同作戦中、IUN司令部は軌道エレベータの破壊攻撃を実施しようとするも、これについても失敗する。
結局、両面作戦に続いて、この作戦も失敗に終わるのだった。
これ以降、IUN-PKFは、二機のアーセナルバードが健在な限り、軌道エレベータには一切の手出しは不可能と言う結論に至ったらしい。
以後、軌道エレベータに直接関わるような正規の作戦は、その一切が実施されなかった。
膠着する東部戦線
オーシアが東からの風作戦以後、踏んだり蹴ったりを繰り返す中、エルジア軍は制圧したユージア大陸の前線の南北に渡るラインにかけて、UAVや警戒レーダーを組み合わせた"自動游撃システム"を構築する。
これは、陸海空問わず警戒網に接触した敵軍に対して、警戒レーダーに連動した無人機による即応攻撃を実施、敵の侵攻の阻止或いはその殲滅を行うためのものである。
また、このシステムに二機のアーセナルバードとその搭載無人機群が加わることで、警戒網の完成度は増し、突破は更に困難になるのだった。
これによりIUN及びオーシア軍は、同警戒網を攻略しない限りには、西へと進軍する事が叶わなくなってしまった。つまりISEVには辿り着けないのである。
以降、約二か月半に渡って、難攻不落の危険地帯と化したこの警戒網は、IUN-PKFの西進を押し留め続け、開戦から激戦続きだった東部戦線は、これを機に完全な膠着状態へと陥っていくのだった。
ところで、幾らでも代替可能な"無人機を主とするエルジア軍"と、限られた人的資源を工面する"有人機主体のIUN-PKF"では、戦争期間という時間の作用の仕方は対照的なものとなる。
高い金と時間をかけて丹精込めて育てたパイロットは、実戦を経験する度にその頭数を減らし、それを回復する為には莫大なカネと時間がかかるだろう*4。
対して、無人機は幾らでもその代替が可能なうえに訓練を必要としない。コストも安い上に、運用に要する時間がヒト程にはかからなく効果的だ。
つまり、戦争が長期化すればするほどに、有人機主体のIUNの勝ち目は薄くなって行き、それに反比例して、無人機主体のエルジアは勝ちに近づいていく。
その上さらに、この東部戦線には本来期待されていたオーシア本土からの応援は一切届かない*5。
よって必然的な流れとして、IUNが戦争を勝利する為には短期決戦が必須条件であるという考えに至る。
この停滞状況を早急に何とかしなければ、IUNは兵の出血に耐えきれず、敗北する事になるだろう。
短期決戦計画その二つの柱と二つの部隊
IUN並びにオーシア軍首脳は、短期決戦戦略こそが戦争の勝利に必須と結論づける。
これを受けて、戦争勝利の為に二つの柱が打ち出されたのだった。
まず一本目、「短期決戦達成の為に警戒網を避け、敵首都への直接攻撃を実施する」こと。
これには敵首都への道を切り開くため、"長距離戦略打撃群"と呼ばれる特殊戦略チームが数々の作戦を充てられた。
今までの諸作戦は、軌道エレベーター本体とそれが存在するガンター湾への侵攻計画が主たるものだったが、敵首都を目標に変更することで、二機のアーセナルバードとの全面対決を避けて、早期の戦争終結を目指そうと言うのだ。
エルジア国首都ファーバンティは、アーセナルバード警戒網の円の上からは絶妙に外れていたし、また、東部戦線とは違って大陸の西端ファーバンティ攻撃であれば、スプリング海を渡ってオーシア機動艦隊(タスクフォース)が敵首都への攻撃に合流できるかもしれない*6。
IUNやオーシア本土の稼働空母戦力は開戦初期の攻撃で全滅しており、空母機動艦隊は全くの機能不全に陥っていたが、揚陸艦や護衛艦の多くは未だ健在である。
その為に、遠征打撃群や水上攻撃群といった機動艦隊の編成や運用の余地はまだ残されていた。
ちなみに、このオーシア海軍の活動に対して、エルジアの有する強大な海軍がその障壁となることが予想されてはいた。
巡洋戦艦主体の水上攻撃群や、特に空母打撃群を中心とする大規模艦隊「ニヨルド」などである。
これらの水上戦力がどうにかなっていなければ、ファーバンティ攻略の際、オーシア本国からの援軍は大いに血を見るか失敗に終わるかするわけだ。
後に、オーシア軍はこのニヨルドと対決するハメになるのだが、これはもしかしたら避けられぬ道だったのかもしれない。
そして、戦争戦略の柱二本目、「自動邀撃システムを突破する為にシステムの網を解析する」ことである。
二つ目のそれは、一つ目を達成する上で必須とされ、つまり上述した二本の戦略は、後者が達成される事を前提した戦略であった。
これには、ザップランド航空基地所属の戦争犯罪者らによる懲罰部隊が充てられる。
危険な瀬踏み任務を、戦争犯罪者達に課すことで、システムの網に空いた穴を見つけ、そこから本命である長距離戦略打撃群を展開するのである。
ちなみに警戒網の解析、それは即ち警戒網の接触、そのまま無人機群との戦闘を意味しており、多くの懲罰兵がこれらの作戦行動で多く命を落とすことが予想されていた。
エルジアは無人機を消耗品として扱ったが、オーシアはこれに対し、懲罰兵(ヒト)を消耗品として扱う事で対抗したのだ。
オーシア軍首脳部のなりふりの構って無さが伺えるその戦法は、軍事大国オーシア(ユージア大陸上のIUN-PKF)がそれほどまでにエルジアに追い詰められていたという事に他ならない。
まとめ
第一次大陸戦争当時、大陸最強の軍事力をもっていたエルジアだったが、灯台戦争開始時点ではその規模や人員は削減されてしまっていた。
大国オーシアに対して劣勢であることは、本来覆しようがない事実だったのだ。
しかし、エルジア軍は最新テクノロジーをフル活用したり、敵の兵器を接収するなど様々な手法を繰り出して、本来覆せない筈の差を埋めようとする。
西方のオーシア本土からの援軍を遮断し、IUN-PKFが布陣する大陸東部を孤立させ、無人機を揃えることで制空権を確保、数の上での不利を完全に覆す。
この時期のエルジアは、まさしく灯台戦争における黄金期であった。
IUNの繰り出す反抗作戦をことごとく跳ね除け、その全ての行動は図にのって上手くいっていた。
対して、劣勢のIUNでは、戦争の序盤が過ぎ去って以降、いつ間にやらIUN国際停戦監視軍(IUN-PKF)の名を謳わなくなり始める。
「停戦」そのものがエルジアによって破られ、国家の英雄たる重要人物をも喪い、もはや後戻りができない致命的なまでの戦争状態に陥った6月6日以降では「国際停戦監視」そのものが成り立たなくなった為である。
最早、これは停戦監視などと言う生温い軍事行動ではない。
以降、IUN国際停戦監視軍の名称は、正しく「オーシア軍」へと切り替わる。
つまり、これは文脈上、IUN(国連)の傘を着て「世界平和のため」という建前を振りかざしていた軍隊が、「自国の利権確保のため」という剥き出しの本音の元に戦う軍隊に切り替わったという事を意味している。
つまりは大国オーシアが「形振り構わず」「遂に本気で」「エルジアを潰す」意志を固めたのだ。
灯台戦争はこの後、ますます激化していく。
それはそのまま、本気になったオーシアによって、エルジアの国土が次々に蹂躙されるであろう未来を意味しているのだが、この時点でのエルジアはそんな事を知る由も無かったのだ。
戦況はしばらくの間エルジア優勢のままに進行していく。
続きはこちら
*1:「ショパンのお城」という意味の広大な森林と川でできた地域。大陸紛争では、クーデター軍が物資をパラシュートでゲリラに配っていたり、大陸間戦争ではエルジア軍が民間機を虐めてたりして、妙な作戦が展開される事が多い場所である。今回は途中までは王道の空戦、後半は化け物鳥とその手下達から逃げ惑う羽目になる。どうでも良いけど、このミッションで流れるサウンドはトレーラー時代から大好きです。
*2:これにより、ケストレルⅡ航空隊は母艦を喪うだけに留まらず、航空隊そのものも、全損したと思われる。
*3:しかし、これについてはその尽くが放置され、今後の作戦においてそれを解決しようとする動きは一切見られず、彼らは見捨てられたようである。ブリーフィングにおいて、IUN艦船のIDがズラズラ並んでいるが、ここから、ガンター湾内でIUN-PKFはかなりの数の艦船を喪った事が確認できる。
*4:その上に母国オーシアから離れたユージア大陸における戦争であるという、政治的問題がこれに追い打ちをかけている。国民に「先進国の兵隊(国民)」を消費するという状況を納得させ続けるのは簡単な事では無い。国土そのものが侵略を受けている、と言う状況であれば、幾らか国民と国は一体感を感じて戦争へと臨めるだろうが、本戦争は他所の国での利権争いなのだ。つまりオーシア兵が死に続ければ、本来、国民にとっては殆ど得のない戦争なのだから、オーシア本国では厭戦ムードが醸成されるかもしれなかった。IUN首脳部やオーシア司令部は、様々な縛りの中で戦争を遂行せねばならなかったのだ。
*5:極論だが、例えオーシアに空母が残ってい無くとも、大船団を組んで人海戦術でユージア大陸に押し寄せれば、エルジアを圧殺する事は可能である。しかし、この時に消費されるだろう膨大なヒトとカネに、政府は耐えられはしないだろう。国民の支持は得られない。エルジアの空母機動艦隊が健在である状況では、オーシア本国から海を渡ってユージアへと辿り着く、という選択肢は取れないのだ。
*6:しかし、ファーバンティ攻防戦「ジャイアンツステップ作戦」におけるオーシア遠征打撃群は結局の所、IUN-PKFとしてユージアに元々あった艦隊であった可能性が高い。後の作戦ブリーフィングにて、オーシアからユージアへの輸送路を確保を期待する様な議論が成されている。つまり逆説的にファーバンティにおける攻防戦の段階では、それを成し得ていなかった可能性が高いのだ。よって終戦まで、オーシア海軍はオーシア⇆ユージア間を結ぶルートを見出す事は出来なかったと考えられる。IUN-PKFからオーシアへと名前をわざわざ変えていたのだが、結局IUN-PKFvsエルジアの図式は終戦まで変わらなかった模様である。
灯台戦争全史 1 開戦
はじめに
灯台戦争。
またの名を第二次大陸戦争。
「エースコンバット7」では、オーシア国防空軍の一介の兵士"トリガー"の目線でこの戦争を描いている。
これは初見だと、今作は誰が何をしたかった戦争なのかがイマイチ不明瞭というか、複雑怪奇過ぎて何がなんだかよくわからんってのが正直なとこだったりする。
例えば、ストレンジリアル2016年のエ・エ戦争やら2020年のオーレリア×レサス戦争だったら「首都を取り戻すぜ!愛する母国の為に頑張るぜ!」と一発で言える。
「04」だったら「打倒、悪の帝国エルジア」だし、「5」だったら「平和!PEACE!あとベルカの核兵器は許さん」みたいなもんだ。
「ZERO」だったらとにかく「俺最強傭兵だからとにかく敵エースみんな墜とす」くらいなもんで大分わかりやすい。
しかし、今作では何をモチベの元として戦うべきなのか、何を目指すべきなのかがよくわからん。
そもそも、作中に出てくる連中は、何でみんな揃いも揃って軌道エレベータを巡って血気盛んに争ってるのか。
なぜこの期に及んで、敗戦国エルジアは性懲りも無く世界に喧嘩を売ったのか。
一体トリガーは何の為に戦って何を護ったのか。そして何を得たのか。
ぶっちゃけ、十ナンボ年くらいエスコンを続けてきたファンにとっても色々と意味不明というだいぶヤバイ戦争だったりする。
てな訳で、今回は灯台戦争についての疑問点を解消するべく、無駄に長々と詳しく語りまくる事を計画してみた。
今回は開戦に至るまでの背景、開戦と同時攻撃までについて書いていきたい。
第二次大陸戦争または灯台戦争
第二次大陸戦争(Continental War Ⅱ)または灯台戦争(Light house War)とは、2019年5月15日から2019年12月1日にかけて、"IUN(International United Nation)"に対して、エルジア王国が開戦し、ユージア大陸全土を巻き込んで繰り広げられた戦争である。
本戦争は、"IUN対エルジア"という"国際連合対国家"という戦争から、戦争終盤からは"有志連合"対"エルジア一部過激派勢力"という国家ならざるものらによる争いへと移り変わっていく。
後世において本戦争は、大陸全土を巻き込んだことから「第二次大陸戦争」と呼ばれる他、軌道エレベーター”ISEV”(International Space EleVator)を巡って争ったことから「灯台戦争」とも呼ばれる。
第二次大陸戦争または灯台戦争
- 戦争:第二次大陸戦or灯台戦争(めんどくさいので灯台戦争で統一)
- 年月日:2019年5月15日-2019年12月1日
- 場所:ユージア大陸
- 結果:有志連合の勝利(IUN停戦監視軍とエルジア一部勢力による連合の勝利。エルジア急進派は敗北する。以後エルジアは北部愛国主義者と元併合国らの独立勢力に分離、紛争状態に突入。IUNはユージア各国軍を傘下に入れて再編成、今後大陸各地に派遣を予定)
開戦の背景
ユージアとエルジアの関係性
元々、ユージア大陸ではエルジア共和国/王国は嫌われ者であった。
これは、エルジアだけが大陸内でやたら突出して国力が強大である事、そして周辺各国を侵略併合(シラージ、ボスルージなど)しまくっていた歴史があるからだ。
ユージア各国はその歴史の中で、FCU(中央ユージア連合なる小国群で作られた国家)、大陸諸国間経済同盟、UTO(中央ユージア条約機構)、ISAF(独立国家連合軍)などと言った様々な繋がりを作ってきたが、そのことごとくからエルジアだけはハブられ続けて来た*1。
この事から、エルジアはユージア大陸各国からの嫌われ者だったぽいのである。
1999年、巨大隕石ユリシーズによる災害が発生すると更にそれは顕著となる。
隕石災害で発生した大量の難民を、ユージア各国は無責任にも一方的にエルジアへと押し付ける。
このイジメやら嫌がらせやらの類にも等しい無責任な難民押し付け行為に反発し、エルジアは遂にキレる。
第一次大陸戦争(2003年-2005年)を開戦してユージア大陸中の国家、その全てに喧嘩を売った訳だが、それに対して全てのユージア各国がISAFの名の下に結ばれるようになり、最終的にエルジアは打ち倒されるという結末に至った。
エルジアはそれはもうボコボコにされ、酷い目にあったのであった。
近現代のユージア大陸は、エルジアという悪者をハブにして纏まっているようなものだったのである。
エルジアの不満、オーシアによる軍事的支配体制
エルジアの国土や国民は、隕石災害やら大挙して押し寄せる難民の大群やら、トドメの敗戦やらによって、それはもうメタメタに打ちのめされていた。
そこで敗戦後、連合軍の監視下におかれたエルジアは、三年間の暫定政府期間を経た後、急速な復興を目指すべく共和制を廃して王政復古を行うのだった。
敗戦国エルジア共和国は、エルジア王国として生まれ変わることを目指した。
彼らは身も心も、そして政治体制も切り替わって、輝かしい未来を掴むべく再び頑張ろうというのだ。
そんな訳で、エルジアが自国の復興に注力していた期間、つまり彼らが戦争を遂行する力を失っていた約15年近くに渡り、なんかエルジア残党軍が暴れ出したりする事件を除けば、ユージア大陸には概ね平和な日々が過ぎていったそうな。
ちなみに、この期間、平和なユージアを維持するべく活動していた"IUN(International United Nation)"と呼ばれる国際組織が存在する。
IUNは、戦後では主にエルジアが割譲した領土の信託統治などを行っていた。
それ以外にも、平和維持のためのエルジアに対する軍事力(抑止力)として、各国の軍隊を招集した下部組織、国際停戦監視軍"IUN-PKF(International UNion -Peace Keeping Forces)"を大陸各地に駐留させている。
IUN国際停戦監視軍の目的は治安維持であり、平和履行を監視することにある。つまり、エルジアがまたロクでも無い事をやらかさないかを見張るわけだ。
ところで、そんなIUN国際停戦監視軍(以外、IUN-PKF)を構成する軍事力の中に、一際大きな影響力と数をほこる勢力がいた。
その勢力、名をオーシア国防軍という。
ユージア大陸の西の海の向こうにある覇権国家、オーシア連邦共和国の有する最強の軍隊である。
環太平洋戦争*2以後、迷惑な事に「世界に平和を輸出するのが自らの使命」だと勘違いするようになったオーシア連邦共和国は、全くの善意から、世界各地に自らの軍を駐留させようと考えだす。さながら世界警察である。
そしてある日、オーシアはユージア大陸へと「平和を輸出する」には、IUN国際停戦監視軍を口実に使うのが最適である事に気付いてしまうのであった。
これにより、ユージア大陸の平和を護っていた様々な国家の寄り合い所帯=「ユージアにおけるIUN-PKF」は、いつのまにやらその大部分や、意志までもをオーシア人に侵食されていくことになる。
ユージア大陸各国にとって元々オーシア連邦は海の向こうの第三国、つまり部外者であったにも関わらず、気付けば2019年には、IUN国際停戦監視軍はオーシア国防軍がその大多数を占める事となり「平和維持活動を傘に着た」「実質的なオーシア連邦の海外遠征軍」へと様変わりしていたのだった。
そして、彼らは平和履行を監視すると同時に平和を維持する為の活動をせねばならない。
平和へのための抑止力たるには、その威容、そして実力を全世界に知らしめなければならないのだ。
そのため、駐留先のユージア大陸において、威圧的な軍事演習が行われる事となる。
それによって、超軍事大国の威容がユージア各国へと喧伝されていく。
そして当然"武装平和の仮想敵国"であるエルジアにとってもそれは例外では無かった。
武器を振り回され、威圧される「仮想敵国」の気持ちがいかほどのものか、考えるまでもないだろう。
当然エルジアは、この様なオーシアによる世界各地への駐屯に対し「オーシアによる支配の象徴」だとして猛烈に批判、反発したのだった。
ちなみに、実はこのオーシア軍によるユージア大陸各地への駐留や軍事演習というのは、中立国や友好国にとっても、あまり好ましいものではなかった面もあるらしい*3。
確かに、エルジアヘのカウンターとしてのオーシアという用心棒は、エルジアに脅かされてきた過去を持つ大陸各国にとっては頼もしいものではある。
が、他国の軍隊が自分達の近くで、我が物顔でのさばっているというのはやっぱり気持ち良いものでは無いだろうし、威圧的な軍事演習は恐ろしくもあったのかもしれない。
のちのち、エルジアはこのくすぶっていたユージア世論におけるオーシアに対する悪感情を焚きつけ、そして戦争に利用する事になる。
本項ではそれについては割愛する。
エルジアの不満、オーシアの軌道エレベータ開発計画と搾取体制
オーシアは、ユージア大陸における1999年の隕石災害や、その後に続く戦災に心を痛め、全くの善意から人々を助けてやりたいと考えていた。
はじめ、単に資金や物資を援助していたのだが、しかしそれではキリが無い事に気付く。
そこで、元オーシア大統領ビンセント・ハーリングが考えたのは、軌道エレベータ建設という国際的なビッグプロジェクトだったのだ。
初期投資自体はオーシアが行なったが、その後の投資や、労働力はユージアの人々によって賄われる。
軌道エレベータ建設によって、労働賃金や、得られた知見や技術ノウハウはユージア各国へと還元される。
そして、それらは将来に渡って彼らの故郷復興の役に立つと目されていた。
広大なアースポートの建設現場では各シフトに1万人ほどが従事している。ユージア各地から短期就労ビザで受け入れられた派遣労働者たちだ。彼らはここで2週間のVR教育を受け、2か月間働き、最先端の建築施工技術の知見と割の良い給料を受け取って本国に帰る。この施設だけで延べ100万人のユージア人が建設に携わることになり、彼らの経験はユージア各地での復興に反映されていく。
(参照:メードインユージア)
出展:OUR SCIENCE August 21,2018 特集 ユージア復興:軌道エレベータ完成間近
♯1 "OUR SCIENCE" Topic|COLUMN|エースコンバット7 スカイズ・アンノウン|バンダイナムコエンターテインメント
また、軌道エレベータは将来的には世界最大規模の太陽光発電所にもなる。
ISEVはユージア各国を支える、公平かつ恒久的なエネルギー源となると見込まれていたのだ。
これら公共投資先として、膨大な労働者を受け止める雇用創出の場として、技術を伝える教育の場として、大陸の抱えるエネルギー問題を解決する手段として、隕石災害や戦災で疲弊したユージアにとって、オーシアのもたらした軌道エレベータはまさに夢と希望の宝箱以外のなにものでもなかった。
しかし、これらについてエルジアは「オーシアによる搾取の象徴である」として、このISEVによってユージア全体へと影響を及ぼす本体勢を批判している*4。
少なくとも、この軌道エレベータによって、エルジアが経済的に損害を被っている旨の発言が為されていた。
また、エルジアが軌道エレベータに反対するのはそれだけでは無かった。
ISEV防衛の為のIUN軍及び、それらが有する二機の化け物鳥とその子分達の存在である。
そもそも、起動エレベータは巨大かつ、その構造上攻撃に対しては酷く脆弱だ。
よって、IUNによってテロ対策を名目とした最新鋭の防衛システムが構築された。
この防衛システムこそが、IUN、オーシア主導の"リバティ"と"ジャスティス"なる二機の無人航空母機"アーセナルバード"の開発、そして運用である。
また、それらの補給基地として、IUNによって元々は航空宇宙基地だった"タイラー島"への大整備と拡張工事が成されている。
奇しくも以上のISEV防衛の為の施策、これら全ては、エルジアの首都"ファーバンティ"、その目と鼻の先で行われている。
得体のしれない新兵器に加えて、巨大なIUNの軍事基地が首都の目の前に現れるのだ。
これらによって、当然エルジアはエレベータ開発へとますます強く反対する様になっていく。オーシアとIUNに対する悪感情を増大させていくのであった。
エルジアの不満爆発、主戦派たる若手将校らの台頭
この様に、オーシアによるユージア大陸諸国への"善意による援助"、その全てがエルジアの目には、威圧または挑発的行動に映って見えた。
実際問題、首都の目の前におけるタイラー島の拡張工事だけに留まらず、アーセナルバードの周回航路にはエルジアの領空どころか領土の真上を通過する箇所も存在した。
停戦監視の名目でIUNの監視下にあるという理屈ですら気にくわないのに、これを利用して、巨大な火薬庫が自分達の真上を悠々と飛んで行くなど、エルジア国民からすれば冗談では無い。
また、共和国時代とを比較すると国土の四割を失い、国力も軍事力も低下し、"ユージア大陸での影響力"を大いに失いつつあったエルジアに反比例して、元々部外者だった筈のオーシアの"それ"は、元々オーシアそのものが軍事大国である事を加味しても、IUNを利用し余りにも他所様の大陸で行使する強権は余りにも大きいものがある。
これらによって当然、エルジアの不満は高まって行き、そしてそれは遂に弾ける事となる。
「オーシアの支配からの脱却」をスローガンとして、エルジア軍若手将校らは立ち上がる。エルジアは開戦へと至ったのだ。
エルジア憂国の志士達は、大陸からオーシアを追い出し、大陸覇権を握っていた頃の強くて偉大なる母国を取り戻す日が来る事を望んでいる。
叶わぬ願いではあるのだが。
開戦
宣戦布告
灯台戦争または第二次大陸戦争はエルジアによる宣戦布告、その直後の攻撃によってはじまった。
無人機をエルジア船籍商船用コンテナに隠し、オーシア連邦共和国本土の主要軍港や、ユージア大陸IUNの軍港を爆撃する。
主に空母がその標的となり、この一連の攻撃だけでも、空母アルバトロスが撃沈せしめられ、偽装途中だった新鋭空母アドミラル・アンダーセンがドック内で被弾着底した他、多数の海軍艦艇が損害を被ったとされる。
またこれと並行してエルジア軍は、ユージア大陸中央南部のガンター湾に聳え立つ軌道エレベータと、その守りであるアーセナルバード"リバティ"と"ジャスティス"、その支援基地のタイラー島を接収する。
これらの行動は、空海の両面においてオーシアの航空戦力をシャットアウトするのが狙いであり*5。
以後、オーシア軍は戦争中盤までは「本土から援軍を得られぬままにIUN-PKFの限られた戦力を、なんとかやり繰りして戦争を遂行する」羽目になる。
この間にも、エルジアの有人爆撃部隊によってIUN各基地に対しての攻撃が為されたほか、エルジア陸軍による東進が開始された。
これらエルジアの攻撃への報復として、オーシア軍は残存していた空母"ケストレルⅡ"を、すぐさまエルジア王国首都ファーバンティへの直接航空攻撃へと派遣するが、有効な打撃を与える事はなく作戦は失敗に終わった。
更に悪い事に、ケストレルⅡ航空隊の攻撃により、エルジア市民に多数の被害が発生。
これは後々、国際世論の反感を買うこととなる。
クリーンな戦争と宣伝戦
エルジアの無人機爆撃は、エルジア軍司令部の想定以上の戦果を挙げ、また民間人に被害が一切もでなかったという、予想以上の凄まじいものであった。
エルジアは、先の報復攻撃を受け、エルジアの無人機による"クリーンなピンポイント爆撃"と、オーシアの"民間人を巻き込んだ爆撃"とを比較し、繰り返し繰り返し世界に向けて発信しつづけた。
ここで、エルジアが宣伝戦に担ぎ出したのは、エルジア王国王女コゼットである。
彼女はいわば広告塔としてその役割を遂行する。
前述のオーシアによる、軌道エレベータ建設周りの搾取体制、各地駐屯軍における武力による恫喝的支配などを槍玉に挙げ、国際社会へと「オーシアの非道」を訴え、自分たちの戦争のクリーンさと対象し、自分達に理があると宣言する。
これにより、国際世論はエルジアに同調していく。
何しろ、中立国や友好国であっても、オーシア軍が行ってきた威圧的な軍事演習は怖かったし、嫌だと思うものも少なくなかったからだ。
実はオーシア軍は、ユージア大陸中からほんのり嫌われていた事実がここに来て表面化し始めている。
オーシア側の将兵は、これらを受けて「自分らの正義に非があるのでは」と士気が低下していく。
対して、エルジアの士気は旺盛となる。
また、エルジア軍部の日和見主義者達は、タカ派である戦争推進派へと傾き、対して、ハト派である保守主義者達は黙るほかに無かった。
この過程で、エルジア軍部内において、急進派(ERU RADICAL)と呼ばれる若手将校からなる過激派が、急速に発言権を得るようになっていく。
世論を利用して、軍部内での政治をコントロールし、エルジア内部は完全な戦争態勢へと移行する。
エルジアにおいての戦争遂行の為の前戯は、ここに来てその全てが達成されたと言っていい。
対して、機先を制されてしまったオーシアそしてIUNは、それを行えないままでいる。
以降、約半年に渡って繰り広げれる事となる灯台戦争はこうして口火を切ったのだった。
まとめ・考察・妄想
灯台戦争とは何か
灯台戦争とは、エルジア王国が「オーシアからの支配搾取からの脱却」と言う、オーシア視点からみれば、言い掛かりにも等しい理由でおっ始めた戦争である。
エルジアの本音が「邪魔な大国の連中を大陸から追い出し、奪い取った軌道エレベータやアーセナルバードと言った宝の山々で、強い母国を取り戻す」であるのは余りにも明白だ。
よせばいいのに、またもや世界中に喧嘩を吹っかける事になるエルジアは、様々な工夫や努力、その他小賢しいアレコレによって、世界最強の海洋覇権国家オーシア相手に意外にも善戦する。
だがしかし、本項では割愛がするのだが、IFFの偽装や商船コンテナに火器満載の兵器を仕込むなど、やってる事はかなり汚い。と言うか戦争犯罪じゃねえのかコレ、後年問題にならんのかねコレ*6。
対して、オーシアはオーシアでもキナ臭い。
恒久的なエネルギー政策と評して、せっかく作り上げた軌道エレベーターを叩き折る計画を立てたり、自分らの兵士を捨石の如く使った懲罰部隊を編成したりと、その行いは段々となりふり構ってなさが見えてくる。
というか戦局やアーセナルバード周りの事情抜きにしても、軌道エレベータをエルジアに取られまいとする、その御執心っぷりはなんだか凄いものがあるように見えなくも無い。
まあ要はどっちの国もやってる事はとにかく汚いし、欲の皮の突っ張った戦争だと思う。
ナショナリズムを感じられない戦争
今作の戦争では、過去作の幾つかにおいて感じられた愛国心というか、俺救国の英雄やん?的なナショナリズムを感じられないという特徴がある。
今までは、架空国家や超国家組織(ISAFやらオーシア×ユークの新艦隊)のスーパーヒーローとなってヨイショされるのが、エスコンシリーズのお約束みたいなものだった。
少なくとも、自分の陣営に対しての一種の連帯感や帰属意識を感じたり、それによって気持ちよくなれる瞬間があった気がする。
しかし今作では、一応は最後までオーシア軍に与していたはずにも関わらず「御国のためにやったる」と、オーシアに対する愛を全く感じられなかった。
つまり「うおおおお帰ってきたぞグレースメリア!!天使とダンスだ!!!」と言った「御国のヒーローなんやぞ俺は」的なカタルシスが今作マジで全く無い。
「自分達の所属する組織である、オーシアやIUNへの帰属意識をまるで感じる事ができなかった」。
おそらくこれは意図的なもので(多分)、今作は前述の汚い戦法をはじめとして、国やお上に対して終始モヤモヤさせられるように作られているのだ。
まず、ゲーム中所属部隊が変わりまくるってのもあるし、作戦遂行計画その全容がトリガーの視点では全く見えないのもデカい。
メイジやら懲罰部隊やらにぶち込まれている間は、意味不明な作戦ばかりだし、作戦の真意は読めない。上の連中も信用できないし。
加えて、勢力図では最初の13個くらいの任務をこなしても、戦線が東にも西にも全く動いてくれない。体感的にはかなり不毛でもあるのだ。
オーシア軍の戦略目標が「軌道エレベータ取り返せば戦争終わりや」とほざいていたと思いきや、トリガーが正規軍に舞い戻った時には気付けば「敵首都ファーバンティこそが最終目標!攻め落とさねばならぬ!」になっていたりもする。
トリガーとしてはもう訳がわからない。
そもそも、ぶっちゃけた話、この戦争はオーシアの一国民(一兵士)からすれば正直勝とうが負けようが、軌道エレベータがエルジアに占領されようがされまいが、割とどうでもいい戦争だったりする。
何故ならこの戦争の本質は、他所の大陸他所の国で起きた「お上達による軌道エレベーターを巡る利権争い」に過ぎないからだ。
過去作の様に「地元の街に爆弾を落とされた許さねえ」とか、「首都に核兵器が降ってくるからヤベェ」とか「(相棒の)家族が待っとる首都を取り返す」とかとは訳が違う。
現場のトリガー一個人の利害と、戦争の勝敗が全くと言っていいほどにリンクしていない。
だから戦争で勝っても負けても兵には直接的には得がないから、何としてでもエルジアをやっつけたいと意気込む軍上層部と、それに振り回される現場では温度差が生じてしまう。
敵国の戦争理由にも多少は同情できないこともないし、前述の母国への不信感もあるから、自陣営との一体感を味わうとかができないのだ。
某懲罰部隊員に言わせれば「何故こんなクソな戦争があるのか。それは国なんてものがあるからだ」らしいが、たしかに灯台戦争それ自体は国と国との利権争いが原因、それらの欲のせいで生じており、彼の意見は正しくはある様な気がする*7。
これからのユージア
ここから始まる半年間の戦争、そしてその後に展開される事となる大陸全土を巻き込んで多発する小規模紛争など、これからのユージア大陸は混乱期へと突入する事になる。
それらのゴタゴタが解決した後、2040年を舞台としたエースコンバット3においても、代わりにユージアは別の悩みのタネを抱えているようだ。
そこでは企業という組織が幅を利かせるようになっており、国が肩身の狭い思いをしている。
2040年において、国家という組織は弱体化しはじめていたのであった。
エースコンバット7、2019年、灯台戦争はそれらエースコンバット3の前段階に当たる出来事である。
大陸には無政府主義者が台頭し、国家の落日が近づいている。
ストレンジリアルワールドはとんでもない時代へと片足を突っ込み始めている。
灯台戦争は国家という枠組みが消えていく、その兆候が見えはじめる、そんな戦争であったのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。
戦争序盤戦はこちら
*1:一応、エルジアも過去には、「ユージア大陸全域の軍隊を統合してめっちゃ強い軍隊を作ろう」とか言うトンデモ同盟には参加出来ていた。つまりはユージア大陸内でそこそこうまくやっていた時期もあったのである。たぶん。一応
*2:西の大国オーシアと東の軍事大国ユークトバニアによる、2010年に行われためっさ凄い規模のヤバい戦争。両大国は、弾道ミサイルを連射するなんかスゴい潜水艦、宇宙からレーザー攻撃してくる妙な飛行機を繰り出して殴り合い、無意味にも屍の山を築きあげていた。しかし、散々殺しあった彼らは突如として「この戦争を仕組んだのは、実はとある民族の陰謀なんだぜ!」と陰謀論に気づき出し、謎の意気投合をし始める。まあ実際その陰謀論は正しかった訳ではあるが。結局全ての黒幕である悪いベルカ人達はそれはもうボコボコにされて、何の意味があったんだかよくわからない戦争は終結するのであった。ちなみに本戦争後、オーシア人は、環太平洋戦争を終結へと導いた英雄的大統領ビンセントハーリングの行いに感化され、謎のヒーロー願望を夢想しはじめる。別に誰も頼んでいないのに世界平和と融和を希求し、それらを広める為に何やら世界中に軍隊を派遣して回る様になったのである。灯台戦争はそんなオーシア人民の思い上がりの果てに存在するような戦争らしいが、平和だとか何だとかは単に建前であるだけだと思うよ。
*3:そもそもオーシアは、1990年代にも「スプリング海条約」に端を発した「ユージア大陸紛争」の遠因を作っている。また、それによってユージア大陸民の悲願だった統一国家構想は瓦解させるなど、度々ユージア大陸に悪影響を及ぼしているのだ。軍の駐屯云々を抜きにしても、ユージアの人々のうちにオーシアを嫌うものが居てもおかしくは無く、この時点でオーシアが嫌われる下地自体は既に出来上がっていた。まあこれ3Dの話だから正史かどうかわかんないだけどね
*4:初期投資によって発生する将来にわたっての金利をさしているのだろうか。だとしても、今まではオーシア国民の多大なる血税のペイによって復興支援が為されていた訳で、ペイアウトを得られる仕組みを作ったとして、それを責めるのは筋違いだと思われるが、ここら辺は明確に描かれている訳では無いから妄想の域に過ぎず、詳しい事はわからない。
*5:尚、これらの攻撃によって、オーシア海軍も尋常では無いくらいの打撃を食らっている。そしてそれは見事に果たされた。
宣戦布告直後の攻撃により、IUN国際停戦監視軍の稼働空母は"空母ケストレルⅡ"、"空母ヴァルチャー"の二隻のみになってしまった。
また、オーシア大陸からユージア大陸東部へのIUN国際停戦監視軍に援軍を送ろうにも、そのルートは後述する、無人機警戒網によって閉じられてしまっている。
一応、開戦直後ではザップランド航空基地に向けて船舶に航空機(モスボール)を詰めての輸送など、航空戦力(機材)の輸送が出来た例もあったのだが、しかしそれはエルジア海軍が海運ルートを抑えれたとすれば不可能になってしまう((エルジアが実際に商船破壊やら輸送船団に対する攻撃を行っていたかどうかはぶっちゃけ不明であるが、セオリーとしてやった方が良い。ACES at WARによれば「オーシアは海を渡る術を失った」と明記されている事からも、オーシアは戦争中にどこかのタイミングで、海運による援軍を断念せざるを得ない状況へと追いやられたようなのだ。エルジアの空母機動部隊や多数の航空及び海軍戦力が襲い掛かったとすれば、空母や護衛機を持たないオーシア輸送船団は、大変なことになってしまうのが予想されうる。尚、戦争中盤の漁師作戦にて、オーシア艦隊がアリコーンとの殴り合いを演じている頃には、化物鳥の片割れはぶっ壊れており、加えてエルジア空母打撃群がボコボコにされているが為に、オーシア本国から数個小艦隊が海を渡ってきていた。
*6:ストレンジリアルと現実は違うので、エスコンワールドでは別に商船が空母化するのも問題ないかもしれないし、IFFを偽装しまくっても罪に問われないのかもしれない。でもそうすると敵味方IFF偽装合戦で偉いことになるような。勝てば官軍と言うしエルジアは戦争勝利しこれらの行為を有耶無耶にして終わらすつもりだったのかもしれない。
*7:ただし、ストレンジリアルワールドでは、国が無くなったとしても、他の枠組みによって戦争は続けられていく(企業間紛争)のだが。
ファーバンティは燃えているか
※関連書籍や公式サイトを調べる、または、実際にプレイして得た知見と、それに基づいた推論のみを書いたつもりですが、一部与太話に近い話もありますのでご注意をば。
海上には軍艦の残骸が漂い、空は戦闘機に埋め尽くされ、国道では戦車が燃え、橋は落ち、市街地には燃料気化爆弾や自己鍛造弾が豪雨の様に降ってくる、今日も燃えゆく街がある。
連合軍からすれば、 悪の軍事大国「エルジア共和国」「エルジア王国」の首都であり、踏み潰すべき諸悪の根源が集う、いわば社会の病巣である。
エルジア国民からすれば、ただ暮らしてるだけなのに、隕石が直撃してきたり、気付けば連合軍に包囲され、街中を戦車や装甲車が走り回り、撃墜された航空機が降ってくる。
そんな世も末な街がある。
街の名は「ファーバンティ」。
連合軍の侵攻の前に、なす術もなく燃え続ける、エルジア悲劇の都である。
・ゲームにおける、ファーバンティ
"ファーバンティ"とは、エースコンバットシリーズのいくつかの作品に登場する、街の名前、またはステージの名前だ。
「04」においても、「7」においても、「エルジア正規軍との戦争の決着」がつく、世紀の決戦の地、物語のクライマックスや転換点に相当する場所だった。
ちなみに、主人公達はどちらの戦争でも、この街に侵攻する立ち位置にある。
ここでのミッションは、その作品のメインテーマやメインフレーズが多用された、ノリノリの音楽をバリバリ流しながら進行していき、必死の形相(顔は見えんけど多分そう)のエルジア軍と、勇猛果敢に攻めまくって進撃する味方軍らによる無線で、戦いはエキサイトする。
そもそも、シチュエーションが戦争終結を決定づけるという首都包囲攻略戦なので、否応無しにでもテンションは上がるのだ。
それを更に盛り上げるべく、エルジア側のなり振り構って無さを表す、妙な戦法も面白い。
例えば戦艦を湾内にわざと自沈着底させて、不沈砲台として運用するとか。
例えば、劣勢にある制海権をなんとかしようと、水没都市に潜水艦やらピケットやらを隠してコソコソと砲撃させるとか。
また、両戦争どちらでも、敵側の将校達は往生際悪くも、総司令部に敵軍がなだれ込んで来むその最後の瞬間まで、白旗を揚げずに奮戦し続けようとする。
正直、ボコボコにされ続けている現場の兵士からすると、迷惑この上ない話だけど。
とにかく探してみると、これらのような細かな作り込みがあったりして、かなり興味深かったりする。
ってなわけで、プレイヤーは今日もノリノリの音楽とシチュエーションの中で、エキサイティングしながら爆弾を市街地に投下するのだ。
今日も、ファーバンティは燃えている。
・ストレンジリアルにおけるファーバンティ
・歴史
この街の歴史について語られる情報は驚くほどに少ない。
とはいえ、そんなことで嘆いていても仕方がないので、この項では知っている情報と、推測できる情報(妄想)を書いていく事とする。
ファーバンティはユージア大陸最西端に位置する港湾都市であり、軍事大国”エルジア共和国”または、”エルジア王国”の首都である。
この立地は、そこから西の海の向こうに存在するオーシア大陸各国と貿易したり、東の地続きであるユージア大陸各国との間で、貿易の橋渡しをする上で有利であると考えられる。
つまりこの街は、ユージアへの玄関口としての役割を持ち、二つの大陸の間で、海運、陸運の両方を駆使し、歴史的に栄えてきたのだろうと想像できる。
その証拠として、広大な港湾施設やコンテナヤードが存在したり、街中をハイウェイが縦横無尽に走り回り、また埋め立て地からは鉄道路線が引かれてるなど、物流に力を入れていると思われる事柄がいくつもうかがえる。
歴史的にみても、エルジアの外貨獲得や、経済成長を牽引するという役割を果たしてきた重要な都市なのだと想像できる。
そんな、繁栄を謳歌してきたファーバンティに影をさす出来事が生じる。
小惑星”1994XF04 ユリシーズ”が、1997年7月3日にロシュ限界を突破し、同7月8日には千以上の核と無数の塵に分裂して地表に落下、そのうちの一つは首都南西の市街地を直撃。
これにより、数万のファーバンティ市民は命を失った。
また二次災害として、海岸線の一部が海中に没し、市街地の中には水没し放棄を余儀なくされる地区まで発生する。
人的経済的損害を受けてもなお、エルジアは遷都することなくこの街を首都としつづけ、被災し敗戦を乗り越えた2019年時でも、依然としてファーバンティは首都のままである。
ちなみに、この時出来上がったクレーターは、後にレイカークレイターと名付けられた。
このような被害を受けたにも関わらず、国際社会は、隕石落下によって発生したユージア各国の難民をエルジアに一方的に押し付けた。
エルジア国境の難民キャンプには約20万人以上の受け入れが既に為されていたが、各国NGOは人道的空輸計画などと嘯きながら、無計画な難民輸送を継続した。
結果、これに反発したエルジアは、2003年の夏、突如、隣国サンサルバシオンへと侵攻、隕石迎撃砲"ストーンヘンジ"を接収する。
第一次第大陸戦争が開戦した。
また、2019年には、オーシア連邦共和国によって、IUN-PKFよるユージア大陸各地への駐屯、国際軌道エレベーター”ISEV”建設という巨大利権が主導されていふ。
この二つの柱によって、別の大陸の第三国であったはずのオーシア連邦共和国による、ユージア大陸への影響力が拡大してしまう。
それに対して不満が蓄積爆発したエルジアは、2019年5月15日、宣戦布告と同時攻撃し、第二次大陸戦争、通称”灯台戦争”が開戦された。
これらの両戦争は、この街の総司令部から指導決定され、西から東へとエルジア軍はその手を広げていく。
しかし、最後には、ISAF"連合軍"または"オーシア国防軍やらIUN-PKFらによって、東から西へ、最後にはこの街へと逆侵攻される形で戦争は終結する。
この街から戦争が始まり、この街で戦争が終わる。
この街から大陸全土へと火の粉が振りまかれ、最後にはこの街が火の海となる運命なのだ。
※1 2005年9月19日、ISAF連合軍"オータム・サンダー作戦(Operation:Autumn Thunder)"。ISAF(独立国家連合軍)陸海空軍によって、 ファーバンティ包囲のち陥落。同日エルジア政府はISAFによる降伏勧告を受諾。第一次大陸戦争終結。
※2 2019年9月19日”ジャイアント(ツ)・ステップ作戦(Operation:Giant’s Step)”。
オーシア国防軍並びにIUN-PKFによるファーバンティ包囲侵攻。同日、エルジア総司令部及び市街制圧。エルジア軍幹部数名が殺害される。
本作戦と並行して、オーシア国防軍、エルジア王国軍、それぞれの敵国の通信衛星に対する衛星破壊作戦が発動。ユージア大陸全土で通信ネットワークが断絶。
その後も、IUN-PKFによって終戦まで制圧されていたと考えられるが、詳細は不明。
・気候(?)
気候は地球上の位置関係から推測する。
04で語られるブリーフィングでは、北緯42.0 東経?西経?102.5で、これは現実世界におけるモンゴル(北緯42.0 東経103.3)と殆ど同じである(?)。
北緯42.0と言えば、日本の北海道や、アメリカ合衆国など、要は、冬は結構寒い気温になる、いわゆる亜寒帯湿潤気候である。また、42度には(エルジアのモデル国という説が強い)イタリアやフランスなども含まれており、ファーバンティの寒々とした雰囲気にピッタリなのである。つまり、ファーバンティの冬は寒いのだ。
しかし、7で語られるブリーフィングでは、驚くべきことに、北緯18.02 西経76.34という奇怪な数値の羅列が並んでいる。
これは、現実世界におけるジャマイカ(南アメリカ)な訳で、先の北緯42度云々とは気候そのものが違う。冬の平均最低気温は23度である。亜熱帯気候で、冬はそこまでは寒くない。
ようは、2005年のファーバンティと2019年のファーバンティでは、緯度経度(そして多分気候も)が大きく変化しているという恐ろしい事実がある。
恐らく、軌道エレベータ(赤道付近に建てておく必要がある)を”ガンサー港湾”に建設するべく、14年という歳月の中で、ユージア大陸そのものが赤道を目指して南下したのち、東奔あるいは西走した可能性が考えられる。
理屈や原理は不明だが、ユージア大陸はその気になれば、プレートごと大移動ができてしまうとてもスゴイ大陸なのかもしれない。
まとめると、ファーバンティは北緯18.02 西経76.34に位置し、恐らくは亜熱帯気候であると考えられる。
イメージ的には、現実世界における、メキシコやフィリピンがわかりやすいだろうか。
沖縄よりも南に位置し、赤道にとても近い、暖かな都市であると考えられる。
ファーバンティはめちゃくちゃ暖かいのだ。
大人の事情とか緯度経度とか、そんなもん俺は知らんので、これ以上の深入りはせんぞ。
・地理
とても 広大な市街地を有しており、また南部の埋立地の港湾施設を中心として、まず四つの地区に区分される。
①埋め立て地区
②東部市街地区
③北部市街地区
④西部高層ビル街と水没地区
上記の四つは、第一次大陸戦争における主要な戦区である。
そこに、灯台戦争では、上記の四つに加えて戦闘が発生する場所が拡大した。
⑤南部スプリング海沖
最後の一つは、両戦争どちらも戦区とはならなかった地区である。
⑥北西市街地区
大まかな区分ではあるが、以上の六地区にわけて、ファーバンティの街を紹介する。
①埋め立て地区
「こちらタンゴ4、埋め立て地南部へと上陸。司令部の制圧に向かう」FREND.G Ace combat 04より
この地区は軍事、行政の両面で最も重要な立ち位置を持つ、エルジアの中心地である。
地区全域に渡って、コンテナヤードや港湾施設が広がっており、商業面でも重要な地区でもある。
まず、行政面では、南の埋め立て地にエルジアの頭脳たる国会議事堂が建っている。
また、国会議事堂を中心として、まるで商店街の様に各種行政施設が並んでいるのが伺える。
そして、軍事面ではその地下には、軍を指導する総司令部"HQ"が存在する。
このHQのある埋め立て地から東西北に向かって三本の橋が伸びており、当地域へのアクセスは殆どそれらからのみによって行われる。
両戦争通して、最終的にエルジアはこの埋め立て地まで押し込まれる運命にある。
第一次大陸戦争では、エルジアは、埋め立て地区への道である、三つの橋のうちの二本の側に戦艦や巡洋艦を配置させ、橋を渡ろうとする敵軍を狙い撃つなどして最後の抵抗を行った。
灯台戦争においては、"イージス・アシュア"が設置され、大量の対空車両と戦車がここに集い最後の抵抗を行った。
エルジア軍の往生際の悪さが最も輝く場所でもあるが、奮戦虚しく対空設備は大体全部燃えるという結末に終わる。
②東部市街地区
「シルバーブリッジは方位030(北東)、すぐそこ」
AWACS SKYEYE Ace combat 04 より
連合軍、オーシア軍両地上軍がエルジア侵攻のルートとして大いに活用した場所である。
市街には、埋め立て用の土砂を運び出したと思わしき巨大な掘削跡が点在しており、そこに塹壕よろしく対空車両が隠されている。
第一次大陸戦争では、"シルバーブリッジ"付近が激戦区となる。
エルジア軍が、 ここに防衛陣地を構築したり、戦艦を自沈させ不沈砲台として運用して抵抗したためである。
灯台戦争においては、オーシア軍ワンド隊らによる進撃に対して、エルジア軍は大量の制空戦闘機とA-10Cやハリアーを投入したがために、ここの市街全域で激戦が展開された。
恐らく、流れ弾などで、ファーバンティの中で最もよく燃え盛った市街地域であると考えられる。
③北部市街地区
「ジョンソン記念橋は方位320(北西)すぐそこ」
AWACS SKYEYE Ace combat 04 より
市街地のほか、ハイウェイの集結地点になっており、それらはまとまって最後には埋め立て地方向へと伸びている。
ここは、第一次戦争においては、エルジア軍戦車部隊が包囲されつつあるHQを救うべく急行した道だった。
しかし、"メビウス1"やISAF工兵らによって、埋め立て地とを結ぶ"ジョンソン記念橋"は叩き壊され、遂にそれが叶う事はなかった。
戦後、壊されてしまった "ジョンソン記念橋"の代わりとして、鉄道用と車両用の二つの昇開橋が完成している。
2020年には"復興記念公園"が出来上がっている。
この公園は、 隕石による巨災、第一次大陸戦争による戦災から立ち直った事を讃える為の公園であったのかもしれない。
しかし、 第二次大陸戦争においては、戦車部隊が配置され、それに対してオーシア側はメイス隊を展開し、この公園も戦闘区域となる。
何とも皮肉なものである。
しかもこの一帯は、第一次とは逆にオーシア軍戦車部隊が包囲しつつあるHQにトドメを刺すべく急行した道となった。
昇開橋は、オーシアを阻むどころか、その進軍を大いに助ける結果となった。
重ね重ね、皮肉なものである。
④西部高層ビル街と水没地区
「市街地水没地区は方位280(西)すぐそこ」
-AWACS SKYEYE Ace combat 04 より
実は、個人的にファーバンティはミッションの盛り上がるBGM抜きだと、かなり辛気臭い雰囲気を放っている街だと思っている。
そしてこの地域こそが、辛気臭い雰囲気の最大の原因だと思わしき地域。
北から見ると、広大な市街地と相まって、なるほど大変素晴らしい近代ビル群が広がっている光景を拝むことが出来る。
しかし、南から近づいていくと、巨大隕石の破片によってできたレイカークレイターと、腐食し、劣化した高層ビルがふにゃふにゃと並ぶ、見るも無惨な水没地区の光景が目に飛びこんでくるだろう。
このピカピカなビル群は2019年時には存在するが、大陸戦争の時には無かったものだ。
高層ビル街と水没した高層ビル群の間は工事現場が広がっており、新しいビルの建設が急がれている。
ピカピカな高層ビル群はさながら、他の市街地や住宅街から水没地区を覆い隠す見たくないものを見ないが為の"壁"としての役割を果たそうとしているようにも見える。
そもそも第一次大陸戦争は巨大隕石ユリシーズが落着することによって発生した膨大な難民を、ユージア各国がエルジアに一方的に押し付ける事によって勃発した戦争だ。
即ち、クレイターはエルジアの開戦とそこから繋がる敗戦と没落の象徴なのだ。
更には、首都に隕石の破片が衝突し、膨大な損失を被ったにも関わらず、それでもなおエルジアに手を差し伸べず負担を押し付け続けてきた国際社会への不信の象徴でもあるのだ。
ここ一帯の地域は、エルジアの海軍戦力が防衛を担当する。
水没したビルとビルの間に、数少ない残存戦力(潜水艦やピケット)を掻き集め隠す事で、奇襲を企図、または障害物を利用し沖の敵艦隊を狙い撃つなどして、戦力の数的不利を覆そうとした。
彼らは、連合軍の上陸部隊を喰い止めるべく、決死の抵抗を行うも、しかし両戦争を通してそれが実を結ぶ事は一度として無かった。
特に第一次では、彼らの抵抗虚しく連合軍は、高層ビル街の間を通る「第二都市高速」を用いて上陸を行っている。
第二次大陸戦争において、オーシア軍のヘルム隊が上陸艇から司令部に向けて進撃している。
余談だが、ここの高層ビル街は(水没地区はともかくとして)なぜか、両軍共になるべく戦闘区域にならない様に配慮し戦力の配置を避ける傾向にある。
一応、対空設備やAPCを数台構えたりしてはいるもののそれは小規模なものに過ぎない。
恐らくは、エルジアの国際的な金融セクター(ウォール街やシティ等、日本で言えば丸ノ内?)なのだろうと推測される。
もし仮に、ストレンジリアルでもグローバル金融社会が広がっていた場合、ここを無闇に破壊すると大陸中に影響が波及し、後々面倒なのである。
①が軍事行政の中心地ならば、この地区は経済の中心地なのかもしれない。
少なくともビジネス街ではあると思われる。
また、一時期ではあるがコゼット嬢含めエルジア王族が、王宮替わりとしてこれらの高層ビルの幾つかのフロアを使っていたという。
その後「さすがにビルん中に王宮あんのって風情が無いしマズくね」と考えたエルジア政府筋によって、大昔のエルジアを想起させるような歴史ある作りの王宮を郊外に設置し、王族もそちらに転居したらしい。
因みにその王宮「オーシアによくあるテーマパークとあんま変わらん(意訳)」と、エルジア市民に揶揄されていたりするようだ。
・レイカークレイターと水没地区
「こちらタンゴ7、レイカークレイターを通過」
FREND.G Ace combat 04より
水没地区は、元々高層ビル街だったが、1999年7月8日、巨大隕石"ユリシーズ"の破片の衝撃によって甚大な被害を受ける。
元々弱かったこの地域の地盤一帯は地殻変動を引き起こされ、その海岸線は大きく水没した。
レイカークレイターは海の中に出来たクレイターなので、侵食激しく、いずれは跡形も無く消え去るであろうと言われている。
04 では作中、幾度と無く様々な場所(山、森、砂漠など)にクレイターを見る事ができるが劇中で人口密集地に激突し多くの命を奪ったであろうと想像し得るクレイターは数少ない。
数少ない例として、主人公=メビウス1が属する国家、ノースポイント、ニューフィールドの"アンダーソンクレーター"が挙げられる。
要は、エルジアのレイカークレイターは主人公のアンダーソンクレーターに対応した立ち位置のクレーターなのかもしれない。
二つの争い合う勢力は元々はどちらも同じく被災者だったのだ。
ちなみに余談だが、ここのクレーターの脇の水没地区のビル群には世をを棄てたヒッピーのような連中が不法入居しまくっている。
オーシアの侵攻を控えたエルジア軍は、ヘリ部隊を派遣して戦闘前に彼らを避難させていたという背景が存在する。
エルジア軍もなんとも難儀なものである。
⑤南部スプリング海沖
灯台戦争でのみ、舞台となったファーバンティの南に広がる海である。
第一次大陸戦争では、エルジア海軍の主力たる"エイギル艦隊"は、連合軍の"ラフ・シーズ作戦"によって一隻残らず撃沈されてしまった。
よって、エルジアは連合軍の艦隊に抵抗する術を殆ど持っていなかった。
その為に、連合軍が完全に制海権を確保し、ここら一帯は連合軍艦艇が悠々と漂っているだけの場所であったのだ。
灯台戦争でもエルジア軍は、首都攻防戦に至る前にオーシア軍による"セイレーンの歌"作戦で艦隊戦力を大きく損耗している。
しかし、二隻の巡洋戦艦を中心とした艦隊を最後まで温存する事に成功。
よって水上戦闘群を編成し、オーシア海軍を相手取って最後の海戦を展開することができた。
が、最終的にはその艦隊すらも一隻残らざず叩き沈められ、海の藻屑となる。
⑥北西部市街地区
高層ビル街の北西に広がる広大な市街地。
高層ビル街の、ベッドタウン的な役割も兼ねているのかもしれない。
何の変哲も無い住宅街なので語るべきことがない。
・オレとファーバンティ
ファーバンティは、物語のクライマックスを司る、めちゃくちゃ盛り上がる場所であるのは、先も語ったと思う。
それ以上に重要なのは、ただの憎き侵略者だと思っていたエルジアが、大きな闇(彼らもまた被災者だった)を抱えていたことを垣間見る事が出来るという点である。
これによって、彼らの境遇に「初めて気付く」までは行かないまでも"確かな違和感を覚えさせられる"のだ。
しかも、劇中のブリーフィングや上司などが、それらについての詳しい経緯を語る事はない。
要は「それ知ったら気持ちよく敵殴れないじゃん」「知らない方がいいこともあるよ」「あっちが戦争仕掛けて来た理由なんてどうでもいい、お前はただ敵を堕とせばいい」って訳なのだ。
公式サイトを読んだり裏設定を掻き集めることで違和感の正体を知り、今までボコボコにしてきた敵国の開戦の理由を知り「あっちもあっちの事情で必死こいて戦ってきてたのか」と衝撃を受ける事になる。
ここには、「悪の枢軸、打倒エルジア」というプロパガンダに乗っかる「それ以外には何も知らないし、知る気もない」一人のISAF兵士を疑似体験する仕組みが確かに存在する。
そして、ゲームをプレイし終え裏設定を読み込むという「戦後」に至って初めて真実へと辿り着くのだ。
この仕組みの衝撃を文章で伝えるのはかなり難しいのだけども、とにかく、当時小学生だった自分にとってこれすげぇ革命的だったんすよ。
・ファーバンティとそれから
衝撃を受けたからと言って、やる事に変わりは無い。
今日もスコアを稼いで気持ちよくなる為に、PS2やPS4を起動して、F-15activeやF-15Eもしくはロングレンジ部隊のF-15Cに乗って、ファーバンティへと飛んでいく。
抱えていくのは勿論、燃料気化爆弾もしくは自己鍛造弾。
今日もファーバンティは火の海と化しエルジア兵は必死の形相で埋め立て地に立て籠もる。
ファーバンティは燃えているのだ。
参考文献
・AC04Web World「AC04の世界」
・キュービスト編 エースコンバット04 シャッタードスカイ パーフェクトガイド 2001年10月8日初版
・ACES at war
拝啓、ノースポイントより
本項は、当ブログの説明と目次的なエントリーでございます。
「拝啓、ノースポイントより」とは
このブログはエスコン「7」を中心にして、エスコンワールド「ストレンジリアル」についてを、独断と偏見に基づき自由研究するブログです。
尚、当ブログ全体はかなり雑な作りとなっている為、定期的な校正と情報の更新が行われる可能性を常に全てのエントリーが持っており、これによって内容が書き直される事も度々ありうる。っていうかしょっちゅうである。
現に此間、読み返し、余りの文章力のクソさに発狂して書き換えたエントリーがあり、またこの校正作業は終了する気配がない。
また、書いている内容はゲーム内容(航空機番号とか部隊編成とか部隊が使ってる航空機とかその他諸々)と設定資料や文献になるべく忠実に書こうと努力はしているし、実際のゲーム画像を交えて行うつもりだ。
がしかし、「考察」部分においては、かなりの「推理・推測」という名を借りた「妄想」というか与太話に片足突っ込んだような内容ばっかりなために、上述した書き直しの可能性と併せて
当ブログには資料的価値なんぞは一切無いと言っても過言では無い。
という感じで免責しておく。
なお、断っておくが、本ブログは一切のアフィリエイトなどの商業的要素を構えるつもりは今後一切無いし、実際に構えてはいない、純粋に趣味的なものである。
また、バンナム側から「てめえコラ、何スクショ使ってブログ書いてんじゃオラ畳めコラ」というお叱りを受けた場合、即座に本ブログを畳む用意はあるし、スクショなどの権利は全てバンナム側にあるという事実をここにまず明記しておきたい*1。
願わくば、このブログが、エスコンファンの考察や妄想の助けになる事があればこれ以上の喜びは無い(なるのか?)。
なお、本ブログは以下のエースコンバット7公式年表と、「7」付属冊子「ACESatWAR」を現状での最大の情報量を誇る設定資料、即ち"聖典(誤植だらけだけど)"と位置づけ、この二つを軸としてストレンジリアルについて語っていこうと思う。
つまりは「ZERO」「04」「5」「6」「7」そして「3」に関しては、当然、公式から正史として確実に名言されている為に、参考資料として大いに活用させていただきたいと思っている。
問題は公式年表に記載されていない、「1」「2」とこれらを纏めた「3dsクロスランブル」と「X」並びに「Xi」である。
これらの作品群は、後のストレンジリアルを作り上げる上で数々の影響を与えており、幾つかの要素は現行のストレンジリアル作品に継承されている。
まず、後者の舞台とされるオーレリア×レサス戦争についての記述は、公式サイト年表にも「ACES at WAR」にも無いことから、恐らくは同戦争は正史として組み込まれて居ない可能性がある。
しかし、前者の「1」「2」並びに「クロスランブル(以下、これらを纏めてクロスランブルとする)」で展開されたクーデター騒ぎは、「ACES at War」の歴史年表には若干の混乱を孕んでいるものの一応の記載はされており、同作品の出来事、事件について全く「ストレンジリアル」に組み込まれていない訳では無いらしい。
ぶっちゃけ、最大の問題はどの要素がどれだけ、正史として通用するのかと言う話であるが、ハッキリ言って考えるのがめんどくさいのと、単純に俺が「1」「2」についても語りたいと言うしょーもない理由で勝手に設定補完して、ストレンジリアルに突っ込ませていく体で、本ブログは進行していく。
エントリー紹介
灯台戦争全史
「7」の灯台戦争はマジで複雑すぎて何が起こっているかわかりにくい為に、それをなんとかするための解説的なアレ。
ほぼネタバレの塊のようなものだが、主要キャラの物語まわりはぼかしまくって書くことを心掛けているが色々とアレ。
トリガーと愉快な仲間たち
ゲーム中、次から次に現れては次々に殉職していく愉快な仲間たちについての部隊説明と部隊員の説明、その他考察。
ユージア百景
ユージアの様々な名所や、そこにまつわる負の歴史の数々をかたるシリーズ。正直ネタが無い。
適当な思いつきから繰り出される与太話の数々
その他。
ちなみにこのブログは、仕事に行くor学校に行くために、電車に揺られている状況下で読む人を特に対象として書いております。
もし「家に帰ってエスコンをプレイしたいなー」とか「早くエスコンしたいから電車つかねえかなー」とか思ってくれたなら、これ程嬉しい事はない。