拝啓、ノースポイントより

エースコンバットを自由研究するブログ

オーシアとベルカ諍い史 

 

こいつらいっつも戦ってんのな。

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「7」のストーリーをプレイして「またベルカかよ」と多くの人は思ったに違いない。

まあた悪のベルカ人が暴れてんのかよ、と。

思い返せば、「5」も「ZERO」も、ベルカ人が裏でひたすら暗躍していたものだった。

ストレンジリアルにおいて「ベルカと名のつくサムシングが絡むとロクな事が起きない」というのは、ベルカ戦争や環太平洋戦争から生き延びたパイロット達にとっては最早常識ですらある。

しかし、今作ではなんと「ベルカ人が黒幕!」なんてことは無く、彼らは風評被害に悩まされてるかわいそうな民族なんだよ、という話の流れであった。

エルジア人達はベルカ人やそれらの関係者を虐殺していたし、今作でのベルカ人のスタンスは常に被害者のソレであったようにも思える。

ジョルジュもシュローデルも、タブロイドもみんなみんな悩んでいたようなのだ。

 

だがしかし、騙されてはならない。

これは大いなる間違いである。

たしかに、ベルカ人の個人個人に目を向ければ、いい人だって居るだろう、マトモな人だって居るかもしれない。

しかし、彼らの行いでストレンジリアルに災いが起こるのは、やはり揺るぎのない事実であると思われる。

今作の最終ミッションでも、ベルカ人の「シュローデルくん」がやらんくてもいい事をやったが為に、最後どエライ事になってアレになった。

つまり、ベルカが絡むとロクな事がない。

 

エスコンの全ての物語は「オーシアとベルカの諍い」こそが全ての原因と、前回のエントリーで長々と語った。

ベルカ戦争、大陸紛争、環太平洋戦争・ベルカ事変と、オーシアとベルカがセットになると生ずる事件というのは、考えられるだけでも無数に存在する。

また、実はストレンジリアル2019年における灯台戦争も、見ようによっては、オーシアとベルカでの代理戦争と言えなくもない構図になっている。

とにかくオーシアとベルカは、大昔からいがみ合って、ロクでもない事ばかりをやらかしている。

彼らが何かをしでかした後には、無数の混乱と屍の山が築かれ、とにかくどエライ事になっている訳だが、例によって今回もそうなのだ。

つまりエースコンバット「ストレンジリアル」の歴史とは、オーシアとベルカから始まった様々な傍迷惑が多くの人々に降り注いでいき、そして皆が酷い目にあう、というその繰り返しなのである。

オーシアとベルカがストレンジリアルで、一体どれだけの悪行を働いてきたのかを、今一度おさらいしていきたいと思う。

 

 

目次

 

オーシア戦争 1905年

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実は、「ストレンジリアル」において、1905年の「オーシア戦争」がこの世界における航空兵器による戦いの起源となっている。

この誰と誰が争ったのかすらよくわからない謎多き戦争は、名称からして恐らくオーシアが関わった戦争、もしくはオーシア大陸を舞台にした戦争なのだと考えられる。

本戦争において、ベルカ空軍特務大臣「フランクリン・ゲルリニッツ」が、それまでは偵察くらいにしか用いられていなかったレシプロ航空機に、爆撃と言う新たなる可能性を見出す、という歴史的な偉業を成し遂げたことによって、本戦争は後世にまで影響を及ぼす意味を持つこととなる。

これ以降、ストレンジリアル世界では「戦争の道具」として航空機が大いに注目されて行くのであった。

つまり、ストレンジリアルにおいて散々繰り返されてきた、航空機による果てなき殺し合いの根っこには1人のベルカ人が突っ立っているのだ。

ちなみに、この1905〜1910年におけるオーシアは領土拡張にだいぶ熱心だったようで、オーシアと国境を接しているベルカはそれを恐れ、常に身の丈に合わない軍拡競争を張り合わなければならなかったらしい。

この軍拡競争は80年代まで尾を引くこととなり、やがてこれが、ベルカを破滅へと導くのであった。

 

 

ベルカ戦争 1995年

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ベルカに対して多くの国々が大立ち回りした戦争であるが、その根幹には、ベルカを嵌めようと画策したオーシアの策謀がある。

即ち、ここにもまた、オーシア対ベルカが戦争の根底にある。

 

ベルカ戦争について簡単に説明しよう。

上述した様に、1900年代初頭からオーシアは軍拡を繰り返していた。

当然、隣国ベルカもそれに張り合い、軍拡したりしていた訳だが、国力に差がありすぎるせいか、80年代に来てベルカの国庫は遂にそれに耐えきれなくなる*1

1900年代後半に至って、実はオーシアは領土拡張に対する積極的な意欲を失っていたわけなのだが、だからと言って隣国からすれば安心できるものでも無い*2軍備拡張の波から逃れたくても逃れられなかったのである。

ベルカは苦肉の策として、81〜91年にかけて、ゲベート、ウスティオをはじめとした自国領土を切り取って割譲、小国家とし独立させたり、五大湖周辺地域や北方諸島を憎っくきオーシアに売り払ったりした訳だが、それでも彼らの資金難は止まらなかったのであった。つまり焼け石に水である。

 

財政破綻を目の前に、進退極まり一人泣き叫ぶベルカ。

しかしこの時、自分たちをここまで追い詰めた諸悪の根源(まあ、無理して張り合ってたのはベルカだけど、張り合わなかったら何されるかわかんないし)が突如として救いの手を差しのべてきたのである!

 

オーシア「やぁベルカ。突然だけど銃を向け合い、軍拡し合い、競争する時代は終わったんだ。これからは平和と融和の時代が来る、そうは思わないかい?」

ベルカ「!?」

オーシア「この"資料"を見て欲しい。君と僕との国境にある五つの湖。そこの地下には沢山の資源が埋まっているとの調査結果が出た。これを協力して掘りまくれば、君の財政難はすぐに解決するだろう」

ベルカ「本当なのかオーシア!私の財政難を解決できるというのかね!?」

オーシア「本当さ。だから僕らは協力して"カネ"を出し合い、"五大湖資源開発公社"を打ち立てよう。公社は沢山の富と資源を君にもたらすだろう」

ベルカ「オーシア、ああ、ありがとう!今まで君たちに敵対関係を取っていたのが間違いだったんだ!これからは君たちとの協調路線を取るよ!共に開発を頑張ろう!ありがとうオーシア!本当にありがとう!!」

オーシア「礼はいらないさ。さあ、そうと決まったら、ドンドン出資してくれ!カネを払ってくれ!そうすれば資源出てくるから!さあこの口座にカネを振り込むんだ早く!」

 

このようにして、財政破綻寸前のベルカ、裕福なオーシアは共同出資で、怪しげな資料に基づいた五大湖開発に投資を行う。

ベルカにとっては藁にもすがる思いで掴んだ最後の可能性であった。

が、しかし、のちに衝撃の事実が発覚する。

 

ベルカ「話が違うぞオーシア!資源なんか全然出てこないじゃないか!あれだけカネを払ったというのに一体これはどうしてくれるんだ!」

オーシア「ああ。残念な事に、どうやら前に渡した例の資料、色々と手違いがあったらしいんだ。余り気にしないくれると嬉しい。ところで、今、君はとても貧乏なんだろう?いつになったら次の領地を割譲するんだい?早くしないと破綻して国全てが滅ぶだろう。そうならないようにさっさと行動に移すべきだ

ベルカ「」

この段階でベルカは気づく、オーシアはベルカの領土割譲を目的とした策謀の数々を繰り出してきたに過ぎない。その初めからベルカを救う気などは一切無かったのである*3。 

最初の五大湖開発の時点で、オーシア側は採算割れ隠蔽工作を施した資料をベルカに提出している。つまりベルカはまんまと騙されたわけだ。

これにより、ベルカ人のオーシアに対する感情は悪化の一途を辿り、各地で暴動が起こったり、過激派政党が台頭したりして国内はやたらと荒れはじめる。

しかし、ここで、国際情勢が一気に進展する出来事が発生してしまう。

ウスティオ「やべぇ!掘れば掘るほどめちゃくちゃ資源出てくるんだが!?マジ止まんねぇ!!」

なんとも間の悪いことに、ベルカから割譲された比較的裕福な小国ウスティオにて、大量の資源が埋まっていることが判明してしまうのだ。

そこに目を付けたベルカは、最後の希望を求めてウスティオに宣戦布告、侵略戦争を開始する。

ウスティオを奪い返し資金繰りを何とかするのだ。

ベルカとしては明日の生活が掛かっている。背に腹は変えられない。

ここからの詳しい戦争経緯は省くが、結論から言えばこの後ベルカは、ウスティオとオーシアを中心とした連合軍に追い詰められ、ベルカの侵略軍はベルカ本国へと撤退させられる羽目となる。

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その後、ベルカの領土は連合軍によって踏み荒らされまくり、追い詰められ過ぎて、遂に本気で気が狂ったベルカは国内で七つの核を起爆する。

「この線を超えてこれ以上北進しないでくれ」と自国領内の土地と民を生贄に、泣きながら放射能を撒き散らすベルカと、この所業にドン引きした連合軍との間とで停戦協定は結ばれ、オーシアの詐欺から生じた不毛な戦争はここで幕を閉じるのだった。

しかし、この裏では様々な怨念や呪いが世界中へと飛んでいくようなヤバイ出来事が始まるのだが、今回、これについては割愛させて頂く。

ていうか、オーシア、やることなす事が余りにも酷すぎなのではないだろうか。

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大陸紛争 1997(?)年

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3dsは正史じゃ無いっぽいが、一応「ACES at WAR」の年表にはクーデター騒ぎの記載があるので、何らかの形でストレンジリアル正史に設定は一部導入されている可能性がある。よって一応、解説する。

今まで散々、相互確証破壊云々やら弾道ミサイル開発云々やら冷戦云々やらで仲の悪かったユークトバニアとオーシアだったが、気付けば彼らは相思相愛の仲になっていた*4

これら二つの大国の不気味なラブラブっぷりに大いにビビりまくり慌てたのが、それらに地理的に挟まれたユージア大陸の、イマイチパッとしない小国家の面々である。

大国がいがみ合いを辞め、それぞれで国力増大、経済成長に集中すれば、ユージアの有象無象の小国群は国際社会での競争力は相対的に弱体化する。

彼らに残されたのはユージア大陸で纏まり(超国家主義的思想)、東と西の大国に精一杯対抗する道それだけだったのだ。

彼らはその第一段階と称して、ユージアの国軍を纏めて「ユージア同盟軍*5」を結成する。

しかし、そんな小癪な行いをオーシアが黙って見てる筈も無く「このクソッタレな仲良し倶楽部を何としてでも台無しにしてやる」と暗躍を開始した。

オーシアは"ユージア大陸南部の国家に限定"して「俺の友人になってくれ」と「スプリング海条約」なる軍事条約を提案する。

実は、ユージア大陸南部の国々は、資源にも恵まれ豊かな国が多かったが、対してユージア大陸北部の国々は資源も無いしみったれた土地ばかりである。

早い話ユージア同盟とは、大陸南部の資源やら経済状況やらに依存していた同盟であったのだが、オーシアはその重要箇所をピンポイントで突いたのだ。

大陸南部の国々は、西部の蛮族(=エルジア)や北部の貧乏人と友達になるよりかは、海の向こうの金を持ったハンサムと仲良しになる方がお得だと考えた。

こうして、ユージア南部国家とオーシアのスプリング条約が締結されることが決まったのだった。

しかし、それを黙って容認するユージア各国では無い。

上記の流れに対して、ブチ切れた大陸西部及び北部のユージア同盟軍の一部勢力が、調印式の日に各地で武装蜂起、クーデターを画策する。

クーデター*6そのものは「スカーフェイス 1」なる、謎の伝説的凄腕傭兵*7によって鎮圧されるのだが、このクーデターによって「スプリング条約」は白紙撤回となり、ついでに元あった「ユージア同盟」もこの過程で霧散してしまった。

また、この戦争の裏で「Z.O.E. 」なるAI兵器と「ADF-01」なる戦闘機がユージア同盟に通り魔よろしく遅いかかったとされるが、「ADF-01 FALKEN*8は「ノースオーシアグランダーI.G.(元南ベルカ国営兵器産業廠)」が本来開発していたものである。

クーデター軍がどのような経緯でこれらを大暴れさせていたのかは不明*9であるが、恐らくは「ノースオーシアグランダーI.G.=ベルカ」が回したものなのだろう。

また、今回ユージア同盟軍は「スプリング海条約に反発したクーデター」を鎮圧する為に出撃しており、(ユージアの仲間割れを画策していた本来相容れない筈の)オーシアに加担するような作戦に従事させられている。

つまり、この図式は「(見ようによっては)オーシアのパシリvsクーデター軍のZ.O.E.」という、極めて部分的ではあるが、「オーシアvsベルカの代理戦争」が成り立つのだ。

ちなみにオーシアにとって、ユージアの仲間割れの為の「スプリング条約」自体は別にオジャンになろうが、実害は全くないからどうって事は無い。

ベルカことノースオーシアグランダーも「Z.O.E.」を撃墜されたが、実働データを得られてホクホクなもんである。得しかない。壊れた機体はオーシアから流れてくる金を着服流用してまた作り直せば良い。

つまりは単純にユージア各国だけが、戦乱と混乱によって貧乏くじを引かされたカタチとなる。

以降は巨大隕石ユリシーズの衝突の危機や、エルジアとユージア各国の関係が悪化するのもあり、ユージア情勢はどんどん不安定なものとなっていくのだった。

ちなみに本紛争によって、表面上は失敗したとされる「スプリング条約」。

しかし、その裏では灯台戦争の2019年にはISEV*10の名の下に(名称自体は変わってはいるものの)、本条約は30年越しの実現をみたと解釈できなくもないカタチにはなっている。

なんて恐ろしい奴なんだオーシア。

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灯台戦争開戦直後のIUN勢力図。スプリング海条約締結を目指した当時の国家群と内訳が共通しているかは不明ではあるが、少なくともユージア南部国家群はIUNサイド(オーシア)に収まっているようにも見えなくもない。  

 

 

大陸戦争 2003年

1999年7月8日にユリシーズの衝突に端を発した戦争。

本戦争において、オーシアとベルカは直接的な関係は無いが、オーシアがシェルターを提供するなどしていたらしい。

また、戦後、第二第三のメガリスを未然に防ぐ為に、オーシアのアークバードが軌道上の清掃に活用された。

まるでオーシアが善玉のようであるが、しかし、それは錯覚だから気をつけるべきである。

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環太平洋戦争 2010年

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しょーもないオーシアvsベルカによる裏からの闘争の数々と、余りにもデカすぎる戦争の歴史は、既にこの段階で100年以上は続いている。

ベルカ人はこの段階に来て、遂にオーシアを直接屠る為のド派手な活動を始める。

ベルカ戦争から続く、オーシアとユークバニアのマヴダチ関係であるが、ベルカ人はそれを利用し、滅茶苦茶にして、共倒れを狙ったのだ。

まずはじめに、長い時(10〜20年くらい)を掛けて両国の様々な場所、役職、政治や軍のそこそこの位置に浸透、真面目に働きポジションを得る。

そこから両国の主戦派などを煽ったりして、少しずつオーシア対ユークトバニアの土壌を作っていく。

また「ノースオーシアグランダーI.G(元南ベルカ国営兵器産業廠)」として、オーシアから戦闘機調達を受注し、2機分の費用で3機の航空機を作るなど涙が出るようなセコい工夫の数々で予算を少しずつ着服し、ベルカの軍事費に充て戦力を補強する。

また、政治面では、ユークトバニアでは軍事クーデターを煽り軍事政権に移行させ、オーシアでは、後にハーリング大統領を拉致監禁し軍事政権に移行させようとするなどを行なった。

戦争の発端は、サンド島での国籍不明機によるオーシア軍機撃墜に始まり*11そこからのユークトバニア宣戦布告と同時攻撃にある。

ぶっちゃけ、環太平洋戦争に関しては、戦争理由がアホくさいと言うか「なんで俺ら戦争してんねん」と思える程に戦争理由が杜撰だったりする。

民意と政治が完全に分離しているし、ユーク側の宣戦布告からの戦争勝利の青写真が全くみえないという、よくわからない戦争になっているのだ。

ベルカが煽りまくったからとは言え、やはりなんだか変な話ではある。

以降、オーシア軍のフリをしてユーク民間人を虐殺したり、オーシアのエース部隊を謀殺しようとするなど、ベルカ人は戦争を長引かせる為に回りくどく、姑息な活動を度々行っている。

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しかし、悪いことは続かないもので、最終的にはオーシア大統領「ハーリング」とユークトバニア首相「ニカノール」とが「俺ら友達!悪いベルカ人が諸悪の根源!」という声明を発し、オーシアとユークトバニアは急遽、連合を組み始める。

以後、家宅捜査と称してノースオーシアグランダーI.G.がある、オーシア領スーデントール市に大量の軍隊が一斉に押し寄せ、そこに集まっていた「悪のベルカ人」はボコボコにされるのだった。

その後に続く、べルカ人の核攻撃計画、その全てが阻止され、以降「オーシア憎し」で動いていたベルカの大々的な活動はここで鳴りを潜めたかのようにみえた。はずだった。

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灯台戦争 2019年

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灯台戦争も、先に述べたように極所的に観れば、オーシアvsベルカの代理戦争と言っても良い。

ベルカ人という民族は、本作においては大分肩身の狭い生き方をしてるようで、それの関係者を含めて、気が狂ったエルジア人に虐殺されたり、オーシアでも言い掛かりで政治犯としてとっ捕まったりと、様々な場所で酷い目にあっている描写が多々見られる。

それ以外にも、誹謗中傷や偏見の目でベルカ人は見られている様だ。自業自得かもしれないし、実際に可哀想なのかもしれない。

今作のクライマックスは、シュローデルとかいうベルカ人の兄ちゃんが引き起こしたウッカリを、全力でトリガーが何とかするという流れであった。

今回のベルカ人はただ職務に真面目なだけだった故のウッカリである。つまり悪意は無い。

まあ悪意が無い分、余計タチが悪いともいえるが。

今回の戦争によって、ベルカ人は、エルジアから逆恨みを買ってしまったようである。

おそらく、ベルカ人は今後ますます国際社会で生きづらくなってしまうのではないだろうか。

 

 

まとめ

オーシア対ベルカのしょーもない戦いの数々は、国際的な評判から見ても、ベルカ人の敗北として少しずつ収まりつつあるようだ。

オーシアの評判も酷いが、それ以上にベルカの扱われ方の方が酷い。ベルカ人は過去の悪業の数々から着実に、国際社会から追い詰められているようだ。

しかし、逃げ場も無く追い詰められた集団は、それに屈服して甘んじるか、もしくは武器を片手に立ち上がるとか、とにかくロクな道が残されていない。

2019年以降のベルカは、ADFシリーズ戦闘機や無人機をはじめとして、その類稀なる技術力から生み出された兵器の数々は、着実にその数を増やし実力をつけてきている。

つまり、もう一回彼らが"やらかす"余地はあるのだ。

個人的には、エスコンは「ベルカ&オーシアから始まり、ベルカ&オーシアで締めるのが美しい」と言うのが最近の持論だったりするんだが。

いったい今後はどうなっていくのか、次回作(あるのか?)が非常に楽しみである。

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いつか、手痛いしっぺ返しを食らいそう



 

*1:ちょうど60年代だか、70年代だかはユークやオーシアを中心に冷戦やらなんやらで、弾道ミサイルを中心に"非常に高くつくオモチャ"の見せ合いっこに傾倒していた時期でもある。80年代に来て、大国と張り合っていたベルカの体力不足が顕現しはじめたと言うことなのだろうか。

*2:実際、1900年代後半において、オーシアは軍事力にものを言わせた領土拡張への積極的な意欲を失ったとは言っても、それでもべルカ戦争開戦の主要因になった五大湖周辺の領土割譲や、戦後のノースオーシア=スーデントールの領土割譲など、ベルカ

*3:オーシア目線からすれば、国力も領土も二流のクセして、大昔からずっと張り合ってきたクソめんどくさい生意気国家の崩壊に立ち会えるわけだ。ちょっと優しくすれば、勘違いしてすぐに協調路線に入り騙されるなど、オーシアの政治家からすれば笑いが止まらないくらい愉快な出来事であった事だろう。あとは国を三つにも四つにも割ってやり、二度と張り合えなくなる程にバラバラにしてやればいい。

*4:ベルカ戦争戦前では、ユークトバニアはオーシアに対して「ベルカちゃんをあんまいじめんじゃねえ!」と批判しまくり、ベルカを擁護しようとしていた。が、ベルカが何やら怪しげな兵器の開発へと傾倒し、ベルカ戦争をおっぱじめた辺りから彼らは掌を返す。気づけば、連合軍にオブザーバーとしてちゃっかり参加していたのだった。以降は、オーシア、ユークで両国の軍縮をもってして融和関係へと進み、二人はマヴダチになる。

*5:ユージアを纏めて編成された物凄く巨大な軍隊。この輪の中にはエルジアも存在している。ちなみにそれらからエルジアを差っ引けば大体は後のISAFに近くなる。ちなみに1996年まで、IUN(オーシアが入っているかは不明)とエルジアは本気でバチバチに睨み合いを(戦闘は起きずに結局は撤退)している出来事などが有り、この同盟はそれほど硬い結束ではなかったのかもしれない。この同盟は恐らく、巨大隕石という未曾有の大危機に備える事、そして、それを脱した後の国際社会で勝者になるという、単純な利害の一致のみで辛うじて成立していたのだ。この構想を成立させた各国の政治家の苦労は並大抵のものじゃ無いとも考えられる。そしてそれを隕石襲来の直前(2年前)で反故にしようと邪魔したオーシアの尋常では無いロクでも無さにも気付けるであろう。早い話、クロスランブルが正史か正史じゃ無いかで、オーシアという国家の悪どさレベルがかなり左右されるのである。

*6:ちなみにこのクーデターに対する鎮圧作戦「ファイターズ・オナー」は、「04」のノースポイントから始まりエルジアのメガリスに終わるISAFの「大陸戦争」とは全くの逆になっている。エルジアのトゥインクル諸島の前線基地からクーデター鎮圧作戦は始まり、ノースポイントにてクーデターは終結するのだ。最終目標はイントレランスと呼ばれるICBM運用の為の要塞であるが、この要塞の建築様式と運用思想は、トゥインクル諸島の南に建設される、後の"メガリス"と殆ど共通するものである。

*7:エスコン2」と「クロスランブル」を混ぜ混ぜすると様々な疑惑が抱えた人物が「エスコン7」において浮上してくる。「7」においては「Su-30SM フランカーH」を乗り回す顔に傷のある凄腕オッサンが登場したが、「スカーフェイス」の搭乗機は「Su-35 スーパーフランカー」でこれらにはフランカー繋がりがある。またTACネームである「フェニックス」は聖なる鳥ベンヌとの太陽(SOL)繋がりがある。また、ファイターズオナーのスタート地点であるトゥインクル諸島はエルジア領である。件のオッサンは引退前&出戻り後はエルジア勢力だ。また、オッサンの「ワシは数々のエースを屠ってきたんじゃ」発言にも「スカーフェイス」が数多のエース部隊を屠ってきた経緯が符合する。また、スカーフェイスは、ゲームのシステム上、必殺マニューバを使う為に敵機の近くでウロウロしてマニューバゲージを貯める必要がある。オッサンも不自然なマニューバを多用したり敵のケツをフラフラ追いかけて舐めプをする癖があるが、これはマニューバゲージが溜まるのを待っているのに違いないと言っていい(ホントか?)。以上、スカーフェイス=例のオッサン説であるが、実は2019年において、オッサンは28年ぶりの空戦とシュローデルから言われている事から、ここに来てオッサン=フェニックス説は破綻するのであった。はい、残念。

*8:ADF-01 FALKENには派生機としてADF-01 Sperber(ハイタカ)という無人戦闘機が存在する。ベルカ戦争によって、ベルカは自慢であった優秀なパイロットを数多く失ったとされ、そして無人機「Z.O.E.」と「ハイタカ」はそれを将来的にはカバーするものだと目されている。戦闘により敵パイロットの動きを学んだ「Z.O.E.」は最終的には無人機として独立運用が可能となる予定であった。灯台戦争においても同様のシステムが搭載された「ADF-11」がオーシア軍と戦闘を度々行なっている。将来、人口が少ないベルカが戦争に挑むに当たって、出来るだけ兵士の犠牲を減らす自動化や無人化は必要最低条件であり「Z.O.E.」並びにADFシリーズ戦闘機は、そんなベルカの願いを叶える存在でもある。これらが形を変えて実現した2019年現在、ベルカ悲願成就の日はもしかしたら近いのかもしれない。

*9:同盟軍司令官ウルリッヒオルセンこと「キーノート」が「クーデター軍に新兵器開発能力はねぇ」と言っていたことからも、これら「Z.O.E」はノースオーシアグラインダーから渡ってきたものであると考えても良い。というか、1900年代にあんな化け物戦闘機を作れる技術をもった集団はそうはいないと思われる。たぶん。

*10:ユージア南部国家群の持つ豊富なる資源と、ISEVによる太陽光発電と、オーシアの莫大な資本が組み合わさり最早最強に見える。ISEVからの平等なエネルギー配分を謳っているものの、西部の蛮族ことエルジアはこれにブチ切れていた。もしかしたら平等とは詭弁なのかもしれない。このようにユージア大陸の西部、北部、南部における格差問題は昔から今まで、ずっと続いており、灯台戦争のクライマックスであるフギンムギンとの決戦後も各地での地域ナショナリズムの活発化は進んでいったようである。灯台戦争終結後は、これらを鎮めるべく、ユージア各国それぞれが正規軍をIUNへと提供し同組織を再編成を行い、ユージア各地へと派遣していく事となる。つまり、灯台戦争終結後も、ユージアは火の海なのである。なんと恐ろしい。

*11:サンド島の8機の航空機を撃墜した国籍不明機は、ベルカの回し者では無いかと考えられうる。そうではなくては、ユーク側の宣戦布告が余りにも筋が通っていない。これに対してオーシアは、ユークのSR-71偵察機をSAM攻撃によって撃墜してしまった。これらの両国の間の海上で行われたイザコザこそが開戦経緯に繋がったと考えれるが、環太平洋戦争の開戦については、実は結構有耶無耶だったりするからよくわからないのだ。

国境無き陰謀論

3月25日はベルカ戦争開戦日だから、これにあわせたかったんだけども間に合わなかったぜ。

 

 

はじめに

今からすんげーどーでも良い話をする。

今後の作品展開の如何にしては、以下の区分が無意味になる可能性があるが、今はとにかく気にせずテキトーに語っていきたい。

突然だが「エースコンバット7」が発売するまで、エースコンバットシリーズ、ストレンジリアル世界には、大きく分けて「二つの事件を軸とした構造(以下、事件軸と仮称する)」がそれぞれ存在していた。

いや、実際に存在していたかどうかは知らんけど、とにかく俺はそう捉えていた。

二つの事件軸の根底には、二つの大きな「ゼロ」が存在する。

まず、一つ目の事件軸が「エースコンバット04(ゼロフォー) シャッタードスカイ」から始まり「エースコンバット6 解放への戦火」で終わる「巨大隕石ユリシーズ」をテーマとした作品群である。

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隕石災害とそれから生まれた戦災、そしてこれらから生じた奇怪な人殺しの遺産の数々が辿った顛末を描いた作品群である。

一応、これらの一連の災いは、オーシアのアークバードによるユリシーズの破片に対する軌道上清掃と、最後の遺産たる「シャンデリア」の崩壊によって完全に解決したようだ。

 

そして二つ目が「エースコンバットゼロ ザ・ベルカン・ウォー」からはじまり「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」で終わる「ベルカの憎しみ」をテーマとした作品群だ。

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一応、ベルカ人の「愛国精神と国際社会(というか主にオーシア)への憎しみの物語」は、敗戦を経験した世代の過激派たち、つまり「灰色の男たち*1が死亡し、計画が失敗した時点で終了したようだ。

その証拠として、彼らに続く世代であるジョルジュやシュローデルといった人物たちは、今までの典型的なベルカ人とは異なり、「ベルカ万歳!」とか叫びなら暗躍する様な危険人物では決して無い。

ゲーム中では、彼らは極めて真面目に一生懸命働く個人として描かれて*2おり、後のシリーズにおいて、もっとヤバいベルカ人が明確な悪意の元に暴れ回らない限り、これらのベルカの憎しみの物語は終わったモノと捉えても良さそうではある。

これら二つの作品群は今まで、余り大きく関わりあうことなく、ゲーム中チラホラとそれっぽい要素や単語が出てくるくらいで、はっきり言って物語に深い繋がりなどはあってないようなものであった。

しかし、今回晴れてエースコンバット「7」が発売されたことで、これらの二つの作品群が遂に大きく繋がったわけなのだ。

これはどういう事なのかと説明していきたい。

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ストレンジリアルと国家観

まず、ストレンジリアルの歴史は、時系列的には、「エースコンバット・ゼロ」からはじまり「04」「5」「6」「7」と続き、最終的には「3」のゴールを目指す構成となっている。

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このストレンジリアルの歴史とは、端的に言い表すのであれば「国家主義的思想が廃れていくその過程」そのものの歴史でもある。

これは、「ZERO」に登場したカルト集団「国境無き世界」が願った世界そのままの出来事でもある*3

「時系列的には全てのゼロ*4」である「ゼロ」では、「国境無き世界」と呼ばれるカルト集団や、片羽の妖精こと「ピクシー」をはじめとして、どいつもこいつも「国境なんかいらん!」「国なんていらねぇ!」「国境が俺達に何をくれたよ!」などと、国を呪う様な発言を多数行なっている。

「7」でも「ミハイ・ア・シラージ」とか言うオッサンが「国とは何だ?君達は空から国境を見たことがあるのかね?」と似たような疑問を投げかけている。

どうやらエスコンシリーズというか、ストレンジリアルでは「国とはなにか?」と言う発言が重要なテーマとして語られているっぽいようなのだ。

ストレンジリアルのゴールである「3」においては、もはや国家がその意義やチカラを失いそうな時代に入っており、そこでは、国家が戦争を主導する事が出来なくなるくらいには、国という組織そのものが求心力を失ってしまってもいる。

「3」に最も近い「7」でも、大国同士の国家間戦争が描かれていたが、両国共に汚いやり方で戦争を無理やり遂行しようとしたり、両国の首脳部は国民を扇動するのに色々と苦労してるようなフシが見られた。

また、懲罰部隊が牢の中で母国の文句を言いづけたり、そのほかにも前線の兵達は国家と一体化して戦争に臨めている訳では無さそうな描写も見られた*5

軍事指導部と民では明らかに意識の剥離が見られたのだ。

つまりは、既に2019年段階で「国」の持つ最小限の役割であるはずの「軍事」と「司法*6」のうちの軍事には少しずつ揺らぎが生じ始めているのだ。

また、エスコンシリーズの正史では「6」という例外を除き、主人公が「御国の為に」を動機として最後まで戦った戦争は、実はかなり少なかったりする*7

これらから、エスコンシリーズが志向しているのは「国家なき世界」とか国境無き世界であるともいえよう。

歴代エスコンで危険思想に目覚めて暗躍した数々のパイロット達の意見を先取りするのあれば、「空」から地面を見ても国境なんか見えはしないし、空には国や民族を分け隔てるモノなんてのは無いというのが、ポエミーだがそれっぽい見解だと言える。

地上は、争いや虐殺など、醜い「ナニカ」で常にいっぱいなのだが、空中には(地上で何かが発生してそれが影響しない限りは)「それ」らが無い。

「それを見なくて良いから空は楽だぜ」とカウントも語っていた。

ピクシーが空の上で突如危険思想に目覚めたり、ミハイがあの歳になってまで"空の上に引き篭もろうとする"のもそこら辺に理由がありそうなのだが、果たしてどうなのだろうか。

 

 

国境無き世界はユージアに波及する

今作「7」において、世界に混乱をもたらす傍迷惑民族ベルカ人の影響力が、ユージア大陸に波及している事が判明した。

また、ベルカ人と毎回セットになって世界に戦火を振りまいている国家オーシアの手勢までもが、ユージア大陸に大量にやって来てしまった。

今作の灯台戦争は、「IUN」vs「エルジア」のISEV支配権を巡った戦争だと言うのが表向きの解釈ではあるし、いわば「巨大隕石ユリシーズ(「04」「6」)」における事件軸視点に立って見ればそれが全てとも言える。

しかし「ベルカの憎しみ(「5」「ZERO」)」をテーマとした事件軸視点に立って見れば、「灯台戦争」はまた別の側面を持った戦争として見えてくるだろう。

灯台戦争とは、「IUN」と「エルジアの無人機」すなわち、局所的に見ればユージア大陸で行われたオーシアとベルカによる一種の代理戦争とも言えるのだ。

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そもそも「ZERO」から始まるストレンジリアルの空戦の歴史は、1907年のオーシア戦争において、ベルカ人がレシプロ航空機による爆撃攻撃を考案した出来事こそが起点となって始まっている。

以後ストレンジリアルでは、航空機が戦争に重用される様になり、それが2040年まで続いている。

つまり、ストレンジリアルにおける近代戦闘の原点は、実はオーシアとベルカにこそあるのだ。

そこから、長きにわたってオーシアとベルカの両国民は争いは続いており、2010年で環太平洋戦争ベルカ事変として一つのピークを迎えた。

そしてそれは2019年、本灯台戦争持ってして遂にユージア大陸にまで波及する。

オーシア大陸のみで繰り広げられていた、この一連の諍いが、海の向こうの大陸を舞台とする結果となった。

つまり、2019年においてはユージア大陸までもが「ベルカとオーシアの長きに渡る因縁の戦い」という構造の1つのパーツとして組み込まれてしまったとも言えよう。

これは前項で述べた、オーシアとベルカが発端となった「国家主義的思想が廃れていくその過程」に、この先ユージア大陸もが蝕まれていく事を暗示しており、実際にそれは2019年には「成っている」。

「国境無き世界」なるカルト集団が打ち出した幾つかの信条や教義のうちの「国や国境を消し去る」は、45年という長い歳月を経て、オーシア大陸から時代も距離も遠く離れた2040年のユージアの地の上で結実したのだった。

 

 

彼らの理想は叶ったか

「国境無き世界」は、敗戦国の領土を切り分ける戦勝国たちの醜いパイの奪い合いや、国と国とが繰り広げる欲と欲のぶつかり合いに反発した。

彼らはそのため、国家を消し去るべく暗躍を開始、組織が1995年12月31日においてトドメを刺されるまで、世界に向けての勝負をしかけている。

彼らの野望や目論見は、核兵器「V2」の破壊によって一度は阻止されたものの、彼らの潰えたはずの意志やある種の呪いは、時間をかけて少しずつ国家を蝕んで消していったようだ*8

2030年代〜2040年代に移行するストレンジリアルにおいて、国家は戦争を主導できるほどの権力を持ち得なくなりつつあり、国家間同士の戦争はその数を大きく減らしていった。また、これに付随して国家数そのものも減っていった。

どうやら件の「次の世代」は、局所的に見れば、「国境無き世界」の望み通りに社会を進めているようであり「彼ら」は草葉の陰からさぞかし大喜びだったに違いない。

思想的には彼らと通ずるタブロイドの言葉を借りれば「クソみたいな戦争があるのは何故か。それは国があるせいだ。」という彼らの持論は、日々を通して証明されていたと言える。表面上では。

この時の人々は、国家が主導する戦争からは解放され、少しずつ平和に近づきつつあるような錯覚を憶えていたのだ。

しかし、2040年のユージア大陸を舞台とした「プロジェクトネモ」におけるシミュレーションによれば、フェイスパーク地方においてゼネラルリソースとUPEOによる武力衝突を発端として「企業間戦争」が開戦し、その戦火はユージア大陸ほぼ全土へと広がるとされている。

要は、国家に変わって権力を握った組織である「企業」によって、結局は戦争は行われていくのだ*9

彼らアナーキスト達の思想は、一応は国家に対しての局所的な勝利を得ただろう。

しかし、彼らがあれほどまでに憎んだ「醜いパイの奪い合い」と称される行為は、形を変えて今後も発生するだろうし、有史以来人々と在り続けた「欲と欲のぶつかり合い」は今後もずっと続いていく*10

彼らは真の望みを叶える事もなく、ただその憎しみの対象だけを喪い、思想そのものが成り立たなくなって最後には意志さえも意味もなく消え去るのだ。

以降、ストレンジリアルは「パイの奪い合い」や「欲のぶつかり合い」や「クソみたいな戦争」は、「別に国家があるから故に生じている訳では無い」という事を、その歴史を持って証明していく。

争いは、国や国境が引き起こすわけではない。

ヒトの存在こそが原因なのである。

 

余談

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「国境無き世界」の真の首謀者と目される「アントン・カプチェンコ」の遺体は、彼の元部下たちによってベルカ公国の公立墓地に埋葬がなされた。

彼の野望は1995年「国境無き男たち」が壊滅してしまった時点で挫かれ、その思想も2040年には敗北する事が決まっており、つまり、彼は物理的にも思想的にも時代に敗北してしまった人間とも言える。

しかし、彼の部下たちがその墓に刻んだ意味深な文章は、今でもストレンジリアルの将来に対して暗い影を落とし続けている。

新しい世界への門は開かれた 我が魂は風となり その門へといざなう

眠りし王の目覚めるとき 私の肉体も蘇るだろう 

これはある種の"呪い"である。

灯台戦争では、ベルカ人の技術による無人機、そこかしこで登場する「ノースオーシア・グランダーI.G.(元南ベルカ国営兵器産業廠)」の文字、EASAのノースオーシアグランダー社の開発機材、ADFシリーズ戦闘機における「Z.O.E.(ノースオーシアグランダーの戦闘A.I.)」などなど、ベルカの影がチラつく怪しげな箇所は幾つか存在する。

また、これはツイッターや5chなどで指摘されていた事柄だが、戦争序盤におけるオーシア元大統領ハーリングの抹殺についてもベルカの影があると言われる。

ハーリングは、灯台戦争の翌年、2020年の環太平洋戦争の全情報開示を宣言している。

もともと環太平洋戦争は、ベルカ人の巨大な陰謀によって巻き起こされた戦争であり、この事件は、紛れも無くベルカ人こそが諸悪の根源だったのだ。

この情報開示により、ただでさえ世界からの嫌われ者であるベルカ人が、更に国際社会から敬遠、もっと言えばますます迫害される可能性があった。

つまり、それを恐れたベルカ人が、それの口封じを目的として件のオーシア元大統領を殺害したという可能性があるという事である*11

以上から、灯台戦争におけるベルカ人の暗躍は、最早、陰謀論だ、気のせいだ、などと言える様なものでも無いように考えられる。

確信犯的に行われている可能性が、どうしても否めないのだ。

「眠りし王」が何を示しているか、現状ではハッキリ言ってサッパリ(思い付くアレコレはあるが、どれも決め手に欠けている気がする)ではあるが、しかし、ベルカ人が何がしかを企んでおり、それによって将来ロクな事が起こらないと言うのは想像に難くは無いだろう。

また、「ACES at WAR」曰く、ベルカがエルジアに散々撒き散らしてきた無人機群とは、元々は「敗戦したベルカ」が「国内の兵力不足を補う」と言う目的で研究を続けてきたものだった。

これを加味すると(今後のストレンジリアルの歴史の動向如何によっては)灯台戦争自体が無人機による一種の実地演習の場であった、という新たな一側面も見えてくるであろう。

実際に、無人機は多数のオーシア人を圧倒しているなど、同戦争は無人機を晴れて「使える」道具であると、その有用性を大いに証明するのに役立った。

その様な意味であれば、本戦争はその意義を大きく果たしたとも言えよう。

仮にそうだとした場合、過去の栄光をただひたすらに懐古し、世界への影響力を取り戻そうと無謀にも開戦し、その結果、敗戦して国を割ってバラバラになってしまった「エルジア」は正真正銘のピエロであるとも言えるけれど。

これらを用いて彼らベルカ人は一体何をしようと考えているか、そして何を成すのか、そもそも成す気があるのか、その一切が現段階では不明ではあるが、しかし今後においてベルカ人が国際社会、ひいてはオーシアに対して、もう一度戦いを臨む為の材料自体は揃いつつあると言える。

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ベルカによる復讐の日は近い。

*1:母国ベルカを破壊した戦勝国筆頭二大国を討ち滅ぼさんと暗躍したベルカ人のカルト集団。テロリスト。「5」はオーシアの影の兵士達と、世界を裏で操る灰色の男達との戦いを描いた作品でもある。一説によれば、後述される「国境無き世界」と呼ばれる組織は、本命たるこの「灰色の男たち」の活動を隠す為の陽動であったともされる。つまり「国境<灰色」という主従関係があったと大昔の2chにおいて指摘されていた。しかし、2040年の視点から見ると、愛国精神によって動いていた「灰色の男たち」は思想的には古いものになってしまっていて、無政府主義者である「国境無き世界」が最終的な思想的な勝者となった様にも捉えられる。時代の流れの中で、主従関係の逆転現象が起こったようだ。

*2:しかし、トリガーからするとコイツらベルカ人がやらかしてきたことはその全てが迷惑極まりなく、そのせいでゲーム全編を通してトリガーはロクな目に遭って来ては無い。

*3:正確に言うと、彼らは国家や国境破壊と共に、核攻撃による各国の文明レベルでの退化を企んでいた。しかしその根源にあるのは「醜いパイの奪い合い」を失くす事、その原因である「世界から国家を失くす事」にある。気付けば本来の手段であった「文明の退化」が目的の一つになってしまっているが、彼らの本来の望みは文明破壊がメインでは無い筈である。本エントリーでは「国境無き世界」の目的を「世界から国家国境を失くす」という原点に立ち返って論を展開していく。

*4:エースコンバット04」はエスコンシリーズの新しいスタートなんだよ!という意味でわざわざ「ゼロ・フォー」になっている。「ストレンジリアル」ワールドのプロトタイプは「2」だが、明確にストレンジリアルの呼称が用いられたのは「04」からである。しかし、近年、リリース順では「04」より古い、先に発売された「3」こそストレンジリアルの最終到達点つまり正史!と、明確にストレンジリアルに組み込まれる旨の発言が公式から成された。さらに時系列的な出発点として、もっと古い時代の物語「エースコンバットゼロ」がリリースされているので「エースコンバット04の0てなぁに?」という質問に対し、日増しに明確な回答を行うのが難しくなっていっているというのが正直な答えだったりする。これについて、昔々、"自称"エスコン研究者()として非常に苦悩していた時期があった。早い話、現状では「ゼロフォーのゼロは開発スタッフの決意表明のゼロ」という意味合いでは無いかと考えてはいるが、その真の答えとは河野氏曰く「なんとなくおさまりがいい」ただこれであった。

*5:またIUN-PKFに所属する(していた)ノッカーやハイローラーなどの職業軍人は、戦争行為そのものを時折「ビジネス」と表現している。これまでの時代における郷土や家族を守る英雄的献身的行為とは違う、戦争のドライな表現方法と言える。そもそもISEV争奪戦そのものは、彼ら職業軍人たちの本国や家族の生命や利益に繋がらないからそうなるのも仕方ないが、これについては現場は比較的冷めた目線で戦争へと臨んでいたとも取れる。

*6:実は2040年代においてはこの「司法」すらも、企業に敗北して力を失っている。「3」のデータスワロー内のニュースにて一部言及が成されていた。人々は国に対して「小さな政府」としての役割を遂行する事すらも望んでいやしないらしい。どうやら2040年代の人々にとって国家とは完全にいらない子状態になってしまった模様である。

*7:明確に主人公達が動機を語ってきた訳ではないが、まず「ゼロ」では傭兵として個人主義的なものだと考えられる。「04」では大陸の平和またはISAFの勝利という超国家主義的なものである。あるいは、途中からは「黄色の13を超える」という個人的なものかもしれない。少なくとも、サイファーもメビウスも御国の為に戦った訳では無いだろう。「5」や「7」においては、モブ兵士は、場所によっては「オーシア!オーシア!」てな感じで愛国心全開だが、ウォードッグもスペア隊も、常に国や軍隊への文句をブーたれ、絶妙に水を差してくるが為に、モブ兵士と比べると冷めた視点で戦争に望まざるを得ない。さらには話の都合上、主人公は最終的には絶対に国家間の枠組みを越えさせられてしまうという、超国家主義的な理由で最後の戦いに赴かざるを得なくなる。個人主義あるいは、超国家主義的思想に則って戦った上記の作品達に対して、最後まで「国や郷土愛」を動機として「国家主義的思想」で戦える「6」はとても珍しく貴重な作品でもあり、エスコンにおいてはマイノリティーとも言える。仮に次回作が出るのであれば、あと一回くらいは正史のストレンジリアル作品でも「国や郷土愛」を明確な動機として戦える作品が出て来てもおかしくは無いかもしれない。ただ、リミットの2040年まで殆ど時間が残されていない為、それがストレンジリアル最後の国家が主導した大規模戦争になる可能性がある。まあよくは知らんけど。ちなみに「x」もスタンスは同じだが、正史には組み込まれていないらしく、公式やACES at Warの年表からは明確に外されてしまっているために今回は勘定から外している。

*8:単純に国家が無くなって行くのが時代のトレンドだっただけ、とも言えるけれども。

*9:「3」で展開された出来事は、一応は電脳世界におけるシミュレーションであるために、「本当」のストレンジリアルで何が起こっていくのかは「現段階では」実は未知数でもあるのだが。

*10:実際、国家間の戦争が減っていた筈の2030年代においても、ゼネラルリソースとUPEOによる不毛な軍拡競争や目には見えない争いは際限なく続いていた。

*11:奇しくも実際にハーリングを殺害したのは、エルジア外国人部隊のベルカ人との事だった。ただし、彼自身はベルカ陰謀論に噛んでいる様な思想を持つ人間には見えない。

灯台戦争全史 4 終盤

 

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本項では灯台戦争の第一局面、即ちオーシア軍とエルジア軍の激突の結末、ファーバンティでの両軍の決戦に至るまでの流れとその顛末までを語りたいと考えている。

初見プレイ時では、一見意味不明理解不能灯台戦争の作戦の数々や上層部の企みも、一つ一つの作戦を結んで詳しく考えてみると、意外にも筋道は通っているし「お、存外面白いやんけ」と思わされる。

ただ灯台戦争は、政治的もしくは心理的なダメージを狙った、両陣営による姑息な手段の応酬かつ、その本質はただの利権争いだから「愛国ウッヒョー!祖国万歳!天使とダンスだ!」みたいなカタルシスは無いけれど。

どうやら、ストレンジリアルでは、国家主義の名のもとに、単純な国と国民とが一体となって、力と力がぶつかり合うような戦争の時代は過去のものとなったようである。

その代わりに、なんだか妙な形での戦争の時代がやって来てしまったようだ。

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開戦の経緯はこちら

戦争序盤の内容はこちら

 前回の内容はこちら

 

灯台戦争終盤解説

戦況のおさらい

2019年8月での、灯台戦争の現状についておさらいしたい。

エルジア軍が大陸東部から中央部に掛けての巨大な自動游撃システムを構築し、オーシア軍の西進を阻止し続けていた数ヶ月間、戦線は膠着状態であった。

我らがオーシアの視点で見てみると、航空機による散発的な作戦の他に打つ手などは無く*1、よって地上軍を展開させて支配地域を広げる事はできぬままであった。

地上軍を前進させたいができない。このままでは戦争目的であるISEVには辿り着けやしない。

ニッチもサッチも行かぬ「詰み」状態である。

無人機との戦闘が将来的にこのまま続いていけば、意味も無くただ兵の命を散らすだけだし、それにより士気も低下する一方となる。

この現場での士気低下に加えて、仮にもし本国での厭戦ムードが醸成されれば、それだけでオーシアは敗退する*2

つまり、現状の膠着状態が維持され、時間が経てば経つ程にオーシアは敗戦へと近づいていくのだ。

公式サイトによれば、灯台戦争開戦後"フォートグレイスはユージア大陸に残存している数少ない軍事施設"の一つとされているようで、あの規模の基地や戦力があと幾つか程度しかいないのであれば、オーシアの使える駒としての「IUN-PKFの総数」はエルジア軍に対して圧倒的優位な数を揃えられていた訳では無い可能性がある*3

これに加えて、オーシアは本土からの援軍が期待でき無い状況だ。

よってオーシアは、エルジアを圧倒的な兵力と国力で踏みつぶすという、その本来の強みを活かした戦争遂行が不可能となっていたのだった。

 

対してエルジア側も、游撃システムを拡大させたり、地上軍を東進させて制圧地域を拡大させる気などは無い。つまり、この膠着状態の戦線を動かす気などは全く無かった。

(無理したり、補給線を伸ばしたりして)動かそうと思えば動かせるが、動かす意味は無いから動かさなかったのだ。動かしたくとも動かせなかったオーシア側のそれとは意味合いが異なっている。

何故動かさないかと言えば、そもそもこの戦争の本質は、巨大利権ISEV(軌道エレベータ)の支配者争いにあるが為だからだ。それを開戦直後に占領してしまったエルジアは、勝利条件の一つを既に達成してしまったと言えよう。

つまりは支配権拡大或いは領土拡張などを、わざわざ無理してこれ以上行う必要などは無いのだ。

あとは、ユージア大陸東部で孤立したオーシア軍がそのまま何も出来ぬまま干上がって行くのを待つか、厭戦ムードが醸成されるよう誘導すれば良い。

つまりは、エルジアは現状の膠着状態を維持しているだけでこの戦争の勝利に近付いて行くのである。

この膠着状態においてのイニシアチブを握っていたのは間違いなくエルジアだったのだ。

その上で彼らは普通に通り敵の戦力を削るため、またあわよくば反撃作戦の頓挫がもたらす士気低下という副次的効果を狙って(いたかどうかは知らないけれど)、敵の前線基地へと度重なる爆撃*4という名の「ちょっかい」を繰り返している。

やがてエルジアは、戦争中期を過ぎた頃、オーシア軍に対する「最大級のゴージャスなちょっかい」を実行する為にユージア北東部にて空母機動艦隊を集結させ始める。

仮にもし「詰み」状態かつ、大陸東部に孤立し、士気が下がりつつあるオーシア将兵の頭上へと、爆弾やら巡航ミサイルゲリラ豪雨が降り注げば、それによる精神的打撃は甚大なものとなりうるだろう。

また、こっちが当然「主」であると考えられるが、数少ないとされるユージア大陸の要地を抑えれば、それだけで物理的な戦争勝利も見えてくる。

エルジアは御自慢の機動艦隊「ニヨルド」を派遣し、警戒網から離れさせてまでユージア東部を攻撃させようとしたが、実はこれは、虎の子である艦隊を失う恐れもあるという実はかなりリスキーな判断でもあったりもする。

つまりそれを実行したという事は、それだけこの「ニョルド」と攻撃作戦に期待していたし、戦争における勝利を確信出来ていたのだろう。

既にエルジア軍部では、戦争勝利に向けての明確な青写真が描かれていたに違いない。

邪魔な大国オーシアを降伏させ、大陸から追い出し、大陸における覇権を再び獲得し、15年前に失ってしまった「強いエルジア」を取り戻す。

ISEVによるエネルギー供給によって経済的繁栄を享受し、国民は再び豊かになるのだ。

ああなんて素晴らしくて美しくて強いエルジア。

…しかし悲しいかな、結論から言うと、それら全ては絵空事に終わるのだけれども。

 

反撃のオーシアとLRSSG

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オーシアは上述した理由で、戦力でも優勢では無い、無人機群に航空優勢を取られ作戦行動は制限まみれ、プロパガンダ攻勢を喰らい士気は低減しつつあり、と、このように色々な面で追い詰められまくっていた。

加えて、戦争が長引けば長引く程に敗戦に近付くという、つまり時間をも敵に回してしまっている。

よって短期決戦を志向したのは、ある種必然の流れともいえよう。

エルジア側から見れば、幾つかの怪しげな抵抗はあったものの、数ヶ月間全く西進出来ずじまいだった息も絶え絶えなオーシア軍。

が、しかしこの期間、オーシアは何もしていなかったわけでは勿論ない。

懲罰部隊による瀬踏み任務によってエルジアの警戒網の抜け道はしっかり割られていたし、そこに展開する本命部隊である「ロングレンジ部隊」の編成と準備も完了していたのだった。

つまり、ここに来てようやく、反撃の為の作戦が実行へと移される事となる。

満を持して、8月10日、スナイダーズトップ周辺において「セイレーンの唄作戦(Operation:Siren's Song)」が決行される。

ロングレンジ部隊は、エルジアの洋上プラットホーム*5と、ユージア大陸東部への攻撃を企む主力機動艦隊「ニョルド」、その先遣隊と交戦し、そしてそれらを全て打ち倒す。

これにより、ニョルド艦隊はそのほぼ全てが海の藻屑となり、エルジアは海軍戦力を大きく喪失。

大陸東部オーシア軍駐屯地に対する攻撃方法を一つ失った形となる。

また、これをきっかけとしてオーシアによる各方面からの反撃作戦が次々に開始されていくのだった。

 

ストーンヘンジ防衛戦

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前大陸戦争に続き、またもやエルジア勢力圏になってしまった中立国"サンサルバシオン"の郊外*6のハティー砂漠には、隕石迎撃砲「ストーンヘンジ」が残されている。

オーシア軍は、巨大隕石すらも撃ち落とすというこの巨砲にかねてより目を付けており、特技兵や、ストーンヘンジ開発に従事した過去を持つ民間人*7を選抜し編成した部隊を派遣し、その内の残された一機を一ヶ月という短期間で極秘裏に修復したのだった。

これらは全て、オーシアの作戦行動を阻害し続けるアーセナルバードを破壊する為にこそある。

アーセナルバードの二機は、ISEVを中心として周回飛行する事でその警戒網を作っているが、仮にもしその内の一機が破壊されれば、回転半径は縮小し、警戒網の面積も大きく縮小すると考えられていた。

これを実現すべく、9月19日「ドラゴンブレス作戦(Operation:Dragon Breath)」が開始される。

オーシア陸軍に多数の民間人が動員され、更にこれにロングレンジ部隊を含んだ空軍戦力が参戦する。

エルジアもそれに対して、陸空合わせた大部隊を派遣する。大部隊と大部隊とがぶつかり合い、激戦となったのだった。

これらの激戦の結果として、ストーンヘンジによる狙撃により、アーセナルバード"リバティ"は撃墜される。

これにより、エルジア御自慢のアーセナルバードによる防空網は大きく縮小する事になり、無人機にその戦力を大きく頼っていたエルジアには、様々な綻びが発生していくのだった。

エルジア王国は、前大戦における敗戦を経験し「防衛の為の軍隊*8」のみの保持が認められる様になっていた。

つまり、無人機やアーセナルバードという「補助」を喪えば、それだけで(過去のそれと比較すると)貧弱なエルジア"王国"のヘッポコ軍隊という「本来の姿」に戻ってしまう。

彼らは元々、大国オーシアとがっぷり四つ組んで戦えるような組織では無かったのだ。

アーセナルバードの片割れを失ってしまった彼らは、その貧弱な本性を露呈していくことなり、以後、一方的にオーシアに押されるままになっていく。

アーセナルバード破壊作戦とは、戦争の主導権がオーシアからエルジアへと渡る分水嶺であり、そして本件がそのまま本戦争の勝敗を確定させてしまうのであった。

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エルジアの足掻きとその失敗

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9月19日から10月2日にかけて、航空優勢を得たオーシア地上軍は、ロスカナス、サンサルバシオンの過半を始めとする、多くの国家や地域をエルジアの支配から解放し、破竹の勢いで進撃する。

これに対して、形振り構わなくなってきたエルジアは、シエラプラタ近郊の弾道ミサイル基地を稼働、IRBM(中距離弾道ミサイル)によるオーシア軍への攻撃*9を実施しようとするのだった。

しかし、オーシアの爆撃部隊とロングレンジ部隊による、バンカーバスター攻撃によってミサイルサイロの幾つかは沈黙。

最後っ屁にと、隠していたサイロから放った最後のミサイルをも結局は撃ち落とされ、エルジアの足掻きは徒労と化すのだった。

この段階で、エルジア軍は状況を覆す為の策をほぼすべて失ってしまった。

オーシアの優勢は決定的なものとなり、最早この流れを止める事など、誰にも出来ない。

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オーシア、橋頭堡の確保

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ミサイル基地を破壊し、反撃の術を喪ったエルジア軍を更に追い詰めるべく、オーシア軍は次の一手を講じる。

ロングレンジ部隊の本懐である長距離侵攻、即ち、ロングレンジ部隊がかねてより構想していた、大陸北部からの敵首都への侵攻を実行する時が来たのだ。

敵首都侵攻への橋頭堡としては、大陸北西部のレイニー岬の空軍基地が選ばれた。ここの空軍基地を足掛かりとして、最終作戦の実施が予定されたのだ。

同空軍基地制圧のため、ロングレンジ部隊と海兵隊特殊部隊"バジリスク"が派遣される。

作戦内容は、敵が設置した航空監視網を回避する為に渓谷内を飛翔し、奇襲攻撃を仕掛けると言った危険かつ高難度なものであった。

しかし、彼らは難なくそれらを成し遂げ、当然エルジアの基地防衛隊による抵抗もあったが、それを踏み付け、空軍基地はバジリスクにより、完全に制圧される事となる。

以降、この基地には補給物資を満載した潜水艦がやって来るなどして、ファーバンティ攻略の前線基地としての運用がなされて行く事となった。

敵首都への侵攻の日は近い。

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ファーバンティ制圧作戦

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エルジアの歴史的な厄日である10月19日*10、オーシア軍による最終作戦「巨人の足跡作戦(Opera tion:Giant's Step)が展開される。

本来の戦争目的であるISEV奪還は、アーセナルバード健在である状況では困難であった。よって現状オーシアが取れる戦争勝利の最良の手段は、アーセナルバードとISEVを無視して、敵首都ファーバンティのエルジア軍の中枢の制圧、もしくは直接攻撃にあったのだ。

本作戦では、ファーバンティの占領が目標とされ、最終目標はファーバンティ南部埋め立て地区の敵HQの制圧となっている。

オーシアは、ユージアにおける陸海空の戦力を結集し、北部地上部隊(メイス)東部地上部隊(ワンド)がそれぞれ進撃、南西の海からは、ドック型輸送揚陸艦フェザント、ターミガンを中心とした遠征打撃群*11、そこから地上侵攻を狙う上陸部隊(ヘルム)と、それぞれがファーバンティを包囲する形で敵司令部を目指して侵攻する。

ロングレンジ部隊含めた多数の航空部隊が派遣され、ファーバンティでは大規模な航空戦、地上戦、海上戦とそれぞれの地域で、それぞれが大激戦が繰り広げられた。

先の「セイレーンの唄作戦」で主力艦隊ニョルドを失ったエルジア海軍は、巡洋戦艦を艦隊の中心とした水上戦闘群を編成、オーシアを食い止めようとするも、オーシアの航空攻撃と海軍艦艇の奮戦によりエルジア艦隊は壊滅。

残された海上戦力、砲艇ミサイル艇ミサイル駆逐艦を掻き集め、レイカークレイター周辺に結集して最後の抵抗に臨むものも、それすらも撃滅され、結局はオーシア軍の上陸を許してしまう。

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エルジア陸空軍も、ファーバンティ南部の埋立地にまで追い詰められ、イージス・アショアによって最後の抵抗に臨んだが、航空攻撃によって、ほぼ全ての戦力を撃滅されてしまう。

最終的には、南部埋め立て地に掛かる三つの橋全てを抑えたオーシア陸軍によって、エルジアHQは取り囲まれ、乗り込まれ、そして占領されてしまうのだった。

途中、戦況には何の意味を持たないにも関わらず、エルジアの実験部隊「SOL」がオーシア軍に「通り魔」よろしく襲い掛かり、多大なる損失を及ぼす出来事があったものの、それ以外では作戦は概ね順調に推移した。

これにより、エルジア軍幹部の数名の殺害が確認され、エルジア現国王(コゼットの父)も死亡する。

ファーバンティはオーシア軍の支配下に陥り、半年近くに渡って続いた、この不毛極まる灯台戦争は、オーシア軍の勝利として集結する。

そのはずだった。

 

 

ユージア大陸混乱期の始まり

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この混乱の引き金を引いたのはどちらかであるかは不明である。

オーシアとしては、エルジアにジャックされ利用されていた通信衛星や監視衛星を破壊する目的があり、エルジアとしては、通信衛星を利用して警戒網を回避し侵攻するLRSSGを食い止める為、通信と航法の手段を奪う目的があった。

奇しくも、この二つの陣営、二つの目的が果たされようしたのは同一のタイミングであったらしい。

両陣営はそれぞれ敵対する両陣営の軍事衛星を狙って、対衛星ミサイルを積んだ戦闘機によって衛星攻撃を実施し、目標の破壊を成し遂げる。

しかし、このせいで、予期せぬ大量のスペースデブリが発生し、関係の無い無数の通信衛星もがこれに巻き込まれ破壊されてしまうのだった。

結果として、大陸全土を巻き込んだ大規模通信障害が発生することとなる。

各陣営は混乱の極みに達する。

まず、オーシアは指揮系統の混乱*12から始まった同士討ちを繰り返してしまう。

そして、エルジアは併合されていた元小国勢力が独立を求めて武装蜂起しはじめる。

それぞれの陣営が、それぞれで内乱状態に陥るという顛末に至ってしまう。

戦争はオーシア対エルジアの典型的な国家同士による利権争いから、群雄が割拠し、様々な派閥や勢力が殴り合うという状況に様変わりしてしまう。

ユージアは、どエライカオス状態に陥ってしまったのだった。

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まとめ

エルジアから無人機を取り上げるとただの弱小軍隊だけが残ってしまうという話であった。

当然大国オーシアには勝てなかったよ、というオチで終わる。

オーシア軍、主人公勢はこれでこの戦争に勝利したと思っていたが、物語は戦争が終わるどころか斜め上の方向をひた走りはじめる。

初見プレイ時は、ファーバンティでの衛星破壊を「なんやメガリスか!?メガリスが再稼働したんか!?」と勘違いしていたものだ。

ユージアが再び(三たび?)降り注ぐ「ソラノカケラ」によって未曾有の大危機に陥り、またまたクレーターまみれになり、とんでもない状況に陥るもんだと、ヨダレを垂らしながら楽しみにしていたのだが、別にそんなことは無かったようである。

物語はここから「Skies Unknown」ぷりに拍車がかかって行き、「何が起こってるんやこれは」とプレイヤーを困惑させて行く事となる。

果たして、トリガーはこれから先、一体何を目指し、どこへと向かえば良いのであろうか。

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*1:しかしこれらは実は、オーシアによる反撃、つまりスペア隊による警戒網解析と、ロングレンジ部隊の展開の為の布石だった。

*2:エルジアはオーシア国内に対する厭戦ムード醸成の為の布石を打っている。王女コゼットを利用した、第三国含めた各国へ対するプロパガンダ戦である。オーシア国民に対して「この戦争は(オーシア国民にとっては)意味のないもの」「(国民には)得のないもの」だと知らしめ、駄目押しとして「戦争を続ければ世界からの評判は悪くなる」というイメージを植えつけ、政治と民意の剥離を促す。心理戦、政治戦でオーシアの戦争指導部や政権中枢に狙いを定め、武力では無い方法でトドメを刺す。物理的にエルジアはオーシア全軍を殲滅する事は不可能であるが為に、最終的には精神的な揺さ振り戦法になってしまったが、実はかなり合理的な手法であるような気がする。

*3:エルジア王国軍の保有戦力とIUN-PKF戦力は同じくらいなのかもしれない。エスコン歴代「4」「5」など、敵の数が優勢な場合はブリーフィングにおいて絶対にそれについて言及がなされていたが、今作ではエルジア側の戦力的優勢などという文言は一切無かった。よって、IUN-PKF戦力はエルジアとほぼ同じか、あるいはエルジアよりちょっと多いかくらいと考えているんやけど、実際んとこどうなのよ。はっきり教えてくれエイセス。

*4:ただし、爆撃を受けまくっていたのはご存知、我らがハリボテ基地こと"ザップランド航空基地"だ。意気揚々とエルジアは爆撃を繰り返すが、その戦果や心理効果は、オーシア正規軍には何の影響も及ばさない。このように当戦争では、両陣営共になにやら胡散臭い手法の応酬を繰り返していた。ちなみにこの過程で、何の意味も無くオーシア人懲罰兵が、吹っ飛ばされて死んでいくのだった。

*5:元はユージア大陸間諸国経済同盟が作った石油採掘と貿易の為のプラットホーム。ユージア北東海域は波が荒いことから、大型船舶への為の中継地として、寄港したり整備したりする設備が必要と考えられた為に大と中の二つのぷらっとホームが作られた。この内の大の方は巨大な飛行甲板を有しており、波浪で立ち往生したタンカー積載物資を、場合によっては海運から空輸に切り替える事も可能とされている。これに目を付けたエルジアは、開戦直後にプラットホームを接収し、大量の対空設備を設置し、軍艦を整備して要塞を作り上げた。エルジアはヒトが作ったモノを強奪して戦争するのが大好きというその好例である。

*6:本当にサンサルバシオンの郊外なのかは怪しいが。

*7:これについてもACES   at WARに記載されていた。ストーンヘンジ技術者は、ストーンヘンジ開発に関わってしまったばっかりに、飛行機の中で怖い思いをさせられたり、十数年ごしにまたもや偉い目に遭うと不幸な目にばかり遭っている。なんだか可哀想な気がする。またこの他にも何処ぞの大学関係者(教員なのか院生なのか、一般学生なのか)までもをこの作戦に投入していたりする。民間人が戦争をやっている、しかも他所の国の民間人までもがなど、これらは常識的に考えれば許される行為では無い。実際、作戦中にオーシアが動員した民間人がエルジアのエージェントによって殺害された事が仄めかされてもいる。間違いなくこの作戦も、後世、オーシアの歴史にとって汚点の一つとなるであろう。ただし、ストレンジリアルにおける陸戦条約が現実世界のそれと大きく違う可能性もあったりするため、ホントのところはどうだかは不明ではあるが。

*8:エルジア王国におけるエルジア軍とは、大陸戦争後にユリシーズ難民受け入れと支援を目的に組織された軍隊である。つまり沿革自体が難民周りの治安維持やら暴動鎮圧を主任務としたものであり、侵略軍として活用するのに有効だったかは正直かなり疑問だったりする。その証拠として、無人機を投入出来なかった任務においては、エルジアは本気出したオーシア軍にボコボコにされるままとなっている様子を拝む事が出来る。正直、エルジア単体でみるとそこまで強い軍隊では無いのかもしれない。

*9:エルジア軍には、戦争で追いつめられるとミサイル攻撃を実施し、敵将兵をまとめて吹っ飛ばそうとするというとんでもない悪癖があり、大陸戦争時でも彼らは同様にしてぶっ放している。ISAFの連合軍はこれに対し、オーロラ作戦を実施して、エルジアの繰り出す胡散臭い巡航ミサイルを撃ち落とし、エルジアの企みをなんとか阻止した。

*10:イケボな誰かさんの誕生日でもある。

*11:位置関係より、オーシア本土からやってきた援軍と考えるのが妥当だが本当にそうなのかは不明。しかし、後のロングレンジ部隊によるタイラー島進軍の際に「オーシアからの輸送路が確立されている可能性がある」と部隊員が希望的観測を述べている事から、逆説的にファーバンティ攻略戦時には「未だにオーシアからの輸送路が確立されていない」事が考えられる。つまり、この艦隊は元々開戦前からユージアに駐留していたIUN-PKFであり、オーシアはファーバンティ攻略戦時でさえも本国からの援軍は果たせなかった可能性が高いと考えられる。ちなみに、同艦隊はホーンビル、シュービル、イーグリット、クレーン、ストークのミサイル護衛艦とフェザント、ターミガンからなるドック型揚陸艦で構成されており、艦名はオーシア海軍の他の艦と同様に鳥の名に由来するものとなっている。

*12:ACEs at WARによれば、エルジア側の工作によるものとされている。

ロングレンジ部隊とは何ぞや2

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ロングレンジ部隊初出は、ミッション6のツーペア作戦である。

その時のロングレンジ部隊は、多くのメンバーの名称が不明であり、よって彼らがモブなんだが、後のランツァやスカルドと同一人物なのかは不明であった。

少なくとも戦闘中、確実に戦死者が出ていた事や、なんかランツァやフェンサーとかとは声が違う事からも、インシー渓谷でのロングレンジ部隊員の多くは作中にその後出ない、モブキャラだと思われる。

現状断言し得る、確定しているインシー渓谷からのロングレンジ部隊古参メンバーは、ワイズマン、イェーガー、フーシェンのみである。

後に戦死する事になるワイズマンを除き、これはそのまま灯台戦争の末期における「ストライダー隊」の編成へと繋がっていった。

セイレーンの歌作戦前に再編成されたロングレンジ部隊は、その誰もが有望な若者らしく、ロングキャスター曰く、灯台戦争を経験してその全員がエース級の実力を身につけたらしい。…ホンマか?

まあとにかく彼らはエリート集団なのである。

人種が国際色豊かっぽそうなのも特徴。

だがしかし、ぶっちゃけTACネームの命名規則やら、キャラクターの考察やらを行うのが難しい。それくらい情報量が足らん。

だからなんか情報のおかわりが欲しい。考察材料として。DLCとかで来ないっすかね。

 

 

 

部隊員紹介

 

WISEMAN

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出展:ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介より

サイクロプス隊をロングレンジ部隊全体を指揮する中隊長。凄腕パイロットオッサン。

カウントを自分の2番機とし、作戦中ずっとあーだこーだと何かと口うるさく絡んでおり、また、カウントも何だかんだでいつの間にやらこのオッサンには懐いていた。

灯台戦争中盤においては、トリガーと並ぶエースとして、アーセナルバード破壊作戦ことドラゴンブレス作戦(Operation:Dragon Breath)などでその勇猛を馳せはじめ、トリガーとセットで「オーシアの二つ頭」などという二つ名で呼ばれるようになるが、しかしそれが彼の全盛期であり、人生のピークであった。

ファーバンティ攻略戦の際「部下や新入りがなんか活躍してるみたいだが、オレの本気だって凄いぞ!(意訳)」などと急に張り切り始める。それがケチのつき始めとなった。

TACネームの由来は英語で賢者、魔法使いを意味するWise manから。

ちなみに、Wise manのmが大文字のMになるとキリスト教の「東方の三博士」を表す意になる。

 

COUNT

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出展:ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介より

懲罰部隊よりトリガーと共に抜擢され、懲罰部隊編入以後、灯台戦争終戦までのトリガーが投入される全ての作戦に列機として出撃した。

懲罰部隊のフランカーDより数週間でイーグルへと機種転換を成し遂げ実戦に赴いたという、現実で考えると実に化け物じみた能力の片鱗を覗かせている(元々正規軍時代、イーグルが搭乗機だった可能性もあるが)。

 TACネームはCountは、英語で数(撃墜数)を「数える」と貴族称号「伯爵(伯)」を掛けた言葉遊びによるもの。

ただし、SOL隊との戦闘中「騎士団を気取りやがって」「本物の貴族のつもりかよ」「よし、ならこっちはガンマンだ、堕としてやる!」などど嘯いているので、本当に「貴族ではなかった」ようだ。

また、「Count(伯)」の由来であるラテン語「Comes」は「君主の随行員」「共にいくもの」という意味を持つ。

しばしば、サイクロプス各員が後方配置中でも1人ストライダー隊へと駆り出されて戦闘へと参加し、劇中後半からのロングレンジ部隊の作戦にはトリガーと揃って出撃、皆勤している。

作中ワイズマンよりの「無人機からの防衛には戦える奴が必要だ(=お前は無人機とも互角に戦える実力の持ち主なんだ)」という、「他者からの承認」を得てからは性格が丸くなりはじめたが、しかし今度は私語が更に騒がしくなりはじめた。

一応、その後は見栄を張らなくなったし、撃墜数のサバも読まなくなった。

ワイズマン亡き後は、ストライダー2番機として活躍し、彼は灯台戦争を通してトリガーと最も長く"共に飛んだ"パイロットとなった。

余談だが、重要なとある疑惑がある(ない)。

 

FENCER

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出展:ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介より

サイクロプスの影の薄くて特徴が無い人。

ストーンヘンジ防衛戦で被撃墜。

ファーバンティでも被撃墜。

それら全てからベイルアウトし生還していると言う実はかなり凄い男。

TACネームの由来は、そのままフェンシング選手のフェンサー。

アーチャー、ソーズマンの流れをくむ、オーシア軍にありがちなTACネームを持っている。

実は結構な実力者らしく、ワイズマンには深く信頼されていたとかなんとか。

最終的にはサイクロプスを纏める一番機となっており、補充されてきたテイラーの面倒を見るなど、箇所箇所で頑張っていたりする。

 

 

HUXIAN

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出展:ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介より

ロングレンジ部隊の紅一点。

口が悪くて、手が出るのも早いらしい。

度々カウントと絡んだり、エレメントを組んだりしている。

ストーンヘンジ防衛戦で被弾し撤退するが、ファーバンティまでには帰ってくる。

当初はサイクロプス4だったが、ワイズマン亡き後は、ストライダー4としてストライダー隊に加わる。

実はイェーガーと並んで、インシー渓谷時代から戦争終結まで確実にロングレンジ隊員に在籍して戦っている古参メンバーである。

最後までストライダーにいた事からも、かなりの実力を持っているパイロットらしい。

また、スラム出身で努力でパイロットになったと泣ける過去を持つ他、仲間意識も強いらしい。

たしかに、インシー渓谷の戦闘中、ロングレンジ部隊中最も口うるさく味方の後方注意(ストライダー3!後ろつかれてんじゃねえ!)やらミサイル注意(サイクロプス1!後方!ミサイル!)やらを促すセリフを連発してる所からも、それが伺える。

戦闘中でも、よく周りが見えている模様である。

TACネームフーシェンは中国語で狐仙(仙狐)を意味する、日本で言うところの妖狐。

流石に人を女狐呼ばわりは余りにも酷すぎるから、恐らくは狐仙の持つ「占術」と「周りが見えている」と言うのを掛けてこの様なTACネームになったと考えられる。しかし、実際の所は正直不明。

 

TAYLOR

ワイズマンが死んだ後、数合わせとしてサイクロプスに投入されている。

彼が元からLRSSGの予備搭乗員だったのか、他の部隊から引き抜かれた身なのか、つまり彼の出自は色々と不明であったりする、

灯台戦争最終盤のカオスな戦場の中、エリート集団と一緒に激戦に投入されるという、とんでもない目にあっているとあう悲運な人。

顔写真は無いが、声から判断するに、年若いパイロットなのだと考えられる。

TACネームは、元々は「洋服の仕立てなどをする人」を表すtailorという言葉が変化したもの。

ドイツ語だったら近い意味で、「シュナイダー」となり更にカッチョ良くなったのに、惜しい気がするが、それだとまたベルカ系が増えてしまう。

 

TRIGGER

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何故か急遽ストライダー隊を預かる身となった、元懲罰部隊のパイロット。

ロングレンジ部隊最大の問題児でもある。

F-15Cによって統一された編成を乱し、輜重兵、整備士、作戦担当士官や参謀達を悩ませる。

さらに、実戦においても一番機の癖して僚機に指示を出さずに一人で勝手に暴れまわるという、最後の最後まで天上天下唯我独尊を地でいく傍迷惑な奴だった。

2019年現在、ミハイを打ち倒した彼は、事実上大陸 陸最強のパイロットとしてユージアの空に君臨している。

 

SKALD

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出展:ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介より

ストライダーにやってきたトリガーをいびって怖いにいちゃん一号。

ストーンヘンジ防衛戦で被撃墜したが脱出。

ファーバンティまでには帰ってくるのだが、それまでは暫くカウントがストライダー2となった。

TACネームは、現実世界の9世紀〜13世紀の北欧で詠まれていた韻文詩、スカルド詩に由来するのもの。

スカルド詩は、その時代の王や戦士を主題として取り上げた詩であり、それを詠む人は宮廷に仕えたり、仕えた王の活躍をよく詩にして詠んだという。

言葉の持つニュアンスは異なるが、カウントと同じ様にして、君主に仕える立場を暗示させられるキャラクターではある。

短い間だがトリガーの二番機を務める事を暗示するTACネームなのだと思われる。

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出展:ACECOMBAT 3 electrosphere 公式ホームページ CHARACTER PROFILE より

別に彼はキースでは無いし、挟まりもしない。

 

JAEGER

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出展:ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介より

何かあるたびに息子息子な子煩悩お父さんパイロット。劇中キャラの中で、唯一TACネーム=苗字疑惑があると同時に、やたらと作中意味もなく息子*1発言を繰り返し強調しまくっている事から、様々な疑惑を抱えているが、どうやらマジで息子はアヤツだったらしい。

4 Gamer.net

エースコンバット7」の“攻めた”要素はなぜ生まれたのか。河野一聡氏&下元 学氏に開発の裏側を聞いた 2019/03/16 

https://www.4gamer.net/games/369/G036985/20190304062/

部隊内ではワイズマンに並ぶベテランにして、実質部隊のナンバー2。

面倒見が良く、また部隊内の新人教育を担当する。

ワイズマン亡き後、身を寄せていた基地の司令官が使い物にならなくなった後は、ロングレンジ部隊全体をまとめ、ブリーフィングの進行をも担当する為に、ほとんど彼が部隊を纏めているような状況だった。

ここまでみるとマトモな人そうだが、劇中後半では、自己防衛の拡大解釈を建前として、物資強奪を目的とした非公式作戦("これは個人的な作戦だが"などと嘯いている)を企画立案そして扇動し、ロングレンジ部隊による、エルジア領某都市部への爆撃侵攻を実施させている。

依然戦時中であり、敵の国の一地域に過ぎないとは言え、民間人が多数の市街地への爆撃を独断で実施させたわけなのだから、戦後処理が地味に心配案件である(政治家あるいは軍内において、難癖を付けてくる人は居そう)。

それをことなげに行う手前、このオッサンも結構潜在的な問題児なのかもしれない。

TACネームのイェーガーは「猟師」「猟兵」を意味するドイツ語の名字や名詞が由来する。

ベルカ公国では、多くの固有名詞にドイツ語が用いられており、おそらく公用語であるベルカ語=現実世界のドイツ語であると考えられている。

これらを加味すると、イェーガーはベルカ系オーシア人であったという疑惑が浮上する。

彼のルーツや出自が、オーシア軍内での出世が遅れた(年齢の割に出世できてない)理由としては辻褄が合っているが果たしてどうか。

イェーガーが実際にそうかは不明だが、少なくとも、ベルカ戦争やらベルカ事変を経験したオーシアがベルカ人に対して、思うところは少なからずありそうではある。

もしかしたら苦労していたのかもしれない。

 

LANZA

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出展:ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介より

ストライダーでトリガーをいびって来る、怖い兄ちゃん二号。

口癖は「わーお」らしい。

TACネームはスペイン語由来で「槍」または人命で「高貴な」を意味するlanza。

彼もまた、アーチャー、ソーズマン、フェンサーの流れを汲んだTACネームだと考えられる。

しかしそのままのランサーだと「ユージア大陸紛争」での某部隊*2に被るので、このような変化球を投げてきたと思われる。

TACネームに従えば、サピン王国(ストレンジリアルで現実のスペインに相当)にルーツがあると思われるサピン系オーシア人なのかもしれない。

ある意味ではヒスパニックがモデルとも考えられる*3

オーシアには陸伝いで国境がサピン王国と隣接している。

2019年においては、オーシアには国境を超えてサピン人や、南のレサス人共が押し寄せたりして、国内では社会問題が生じてたり、大統領が壁を建設しようとしたりで、大変なことになっているのかもしれない。

当初ストライダー4だったが、ワイズマン亡き後はサイクロプスに異動している。

カウント、イェーガーに次ぎ、フーシェンとどっこいぐらいの長さでトリガーと一緒に戦っていた。

 

 

まとめ

結局多くの事柄が、謎のベールに包まれたロングレンジ部隊。

このエントリーに記載した事項の半数以上が、ゲーム内情報やら公式発言やら、それらから得られた規則性を基にした推測(もはや妄想でしかないものも多々)でしかない事を悔しく思う。

ゲームを終了してみると、ロングレンジ部隊は部隊替えの多いトリガーにとっての「孤独」感を増大させる要素であると共に、最終的にはカウントによって「救い」が用意されている部隊でもあった。

というか舞台装置としてはカウントを引き立たせるというか、カウントの為の部隊であったような気もしないまでも無い。

カウントの承認も成長もそしてその結果も、全てはこの部隊で成されていたのだ。

まさしく「7」はカウントの為の物語でもあったわけだ。

しかし仮にそうであった場合、一つの問題が浮上してくる。

PV時点から余りスポットの当てられなかったカウントが、ここまで作中持ち上げれる理由とは何だろう。

最後まで真の僚機に恵まれず「地に堕ち一人になってしまったミハイ」と、「カウントと言う理解者を得て空を飛び続けるトリガー」という対立構造を作る材料にしては、彼に対してのスポットの当てようが余りにも強すぎるような気がする。

 

 

何故、本来ただの脇役に過ぎないカウントに対して、ここまでスポットが当てられたのか。

 

 

一体カウントは何者だったのか。

 

もしや、カウントは今後のエスコンシリーズにおいて、大きな影響を与える存在に成長していくのだろうか。

 

まさかとは思うがカウント、お前まさかヒゲとかお前お前。

 

 

 

 

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出展:ACECOMBAT 3 electrosphere 公式ホームページ CHARACTER PROFILE より

 

 

 

思ったより似てなかった。

 

 

画像引用

出展一覧

ACECOMBAT 7 SKIES UNKNOWN 公式ホームページ COLUMN キャラクター紹介

https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php

ACECOMBAT 3 electrosphere 公式ホームページ CHARACTER PROFILE 

https://www.bandainamcoent.co.jp/cs/list/acecombat3/page03.html

 

*1:レナはフランカ―に乗れていいよなあ。f:id:standardsalvo:20190308230419j:image画像出展はACECOMBAT 3 electrosphere 公式ホームページ CHARACTER PROFILE より

*2:行くぞ!ランスチャージ!!

*3:ヒスパニックは厳密にいえば、スペイン語話者であるメキシコ人やらキューバ人だけども

ロングレンジ部隊とは何ぞや

お前ら誰やねん。

そもそもナニがロングレンジなのか。

というか、懲罰部隊はどうなったんだ。

なんでカウントだけはここにいるんだ。

こんな事PVでも聞いてねえぞ。

頼む、頼むから俺を帰してくれ。

懲罰部隊に帰らせてくれ。

 

ロングレンジ部隊とは、エスコン「7」の中盤にいきなり現れ、その後のストーリーの流れと相まって、多くのプレイヤーを困惑させた衝撃の部隊である。

劇中では、初登場時、UAVやオッサンにイジメられながら登場し、ミッション中部隊員が殉職するという散々なスタートダッシュから始まる。

そして、中盤に何の前触れも無く再び登場し、"トリガー"と"カウントを欠員補充と称して部隊に取り込んだ。

以後、終盤からクライマックスに掛けてはこの部隊がトリガー=プレイヤーの居場所となるのだが、この突然の展開には少々面食らう。

部隊員の半分くらいはTACネームを憶えられる事もなく、正直、誰が誰だかわからないまま終戦を迎えたトリガーも居たという。

個人的には、懲罰部隊には物凄い居心地の良さを感じていたがために、この異動は初見プレイ時においては残念な気持ちが強かった。

てっきり、ワイアポロから不死鳥の如くフルバンドが甦ったり、タブロイドが覚醒をして真のエース部隊になるのでは、などと今後の展開を妄想していたりしたのだ。

そうじゃなくとも、スペア隊の名無しモブ達も少しずつ団結し始めていて「俺たちでやってやろうぜ」的な良い感じになっていたのだ。

「Faithless Solider」のカッコいいテーマが流れていたあの頃は、トリガー、タブロイド、カウント、フルバンドのバカ4人で最強のエース部隊としてユージアに名を馳せるものだと、硬く信じていた。

なのにフルバンド、タブロイド、なぜ。どうして。

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LRSSGとは

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"Long Range Strategic Strike Group(LRSSG)長距離戦略打撃群"通称ロングレンジ部隊とは、"サイクロプス"、"ストライダー"なる二つの小隊によって構成される、オーシア空軍の特殊作戦チームである。

名前の通り、長距離を移動することから「渡り鳥部隊」の通称で呼ばれ、敵軍の重要地点へ電撃的に奇襲または打撃を与える事を目的とする。

ちなみに、これらは早期での灯台戦争終結を目指すためのものである。

「ACEs at WAR」によれば、部隊創設は灯台戦争開戦後、ハーリングの救出に失敗し、戦線が停滞しはじめた「オーシアが短期決戦を志向しはじめた時期」に考案された、という記述があるっぽいので、実は出来立てホヤホヤの新部隊だったりするっぽい。

ちなみに、ロングレンジ部隊のテールコードは「WW」。

WWは恐らく、ワイルドウィーゼル*1を意味し、敵防空網制圧任務(SEAD)を課せられた部隊を指す。

つまり、敵の防空網に突っ込み、それを構築する対空レーダー及び対空ミサイルを潰すことが目的の部隊である訳だが、今回のエルジアが構築した防空網は、対空ミサイルと対空レーダーから構成されるような、従来考えられていた様な「それ」ではない。

つまりは、今回エルジアが用意したのは、無人機と対空レーダーによって形作られている警戒網な訳で、それに対するワイルドウィーゼルには、対空戦闘能力が大きく求められるのだ。

この「ワイルドウィーゼルにF-15C」という一見不可解な組み合わせは「対エルジア用ワイルドウィーゼル」には理に適っていると言えなくも無い。

果たしてそれはワイルドウィーゼルなのだろうかという疑問が浮上してくるのだが、まあ広義の上では「SEAD任務」に分類されるし問題はないのだろう。知らんけど。

 

ところで、ロングレンジ部隊のワッペンのマークは、雷をモチーフとしたものである。

これは"電撃戦(Blitzkrieg)"を意識したものではないかと考えられる。

根拠としては、ロングレンジ部隊を構成する二つの部隊は、電撃(雷の精)や機動(闊歩する)を意識した部隊名や部隊マークになっている、と言う点が挙げられよう。

 

とにかく纏めると、ロングレンジ部隊とは、ワイルドウィーゼルと電撃戦という、二つの役割を遂行する事を期待されている、とんでも無くハードかつ多様な要求をされるスパルタな部隊なのだ。

"灯台戦争"においてロングレンジ部隊は、エルジアに対して劣勢を強いられたオーシア軍(元IUN-PKF)の窮地を救うべく、その反攻作戦の先陣を担っている。

エルジアが大陸中央から西にかけて構築した自動邀撃システムの隙間を縫うようにして、数多の作戦を成功させ、アーセナルバードの破壊に大きく貢献しているのだ。

最終的には、敵首都への進撃ルートを構築し、ファーバンティ攻略でも活躍する。

その後の混乱期でも多くの作戦を成功させ、灯台戦争終結のきっかけを作った立役者なのだ。

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オーシア国防空軍第122戦術戦闘飛行隊"サイクロプス"

122nd TACTICAL FIGHTER SQ "CYCLOPS"

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国籍 オーシア
軍籍 空軍
任務 対空
テールコード WW
作戦機 F-15C
主な戦歴 灯台戦争

ワイズマンが率いる、ワッペンや部隊区分ではスコードロン(中隊)となっている部隊。

しかし、ワイズマン曰く、現場での扱いは小隊となっており、実際でも現場に派遣されるのはエレメントが二つのフライト(小隊)ほどの規模である。

黄色中隊だって要員自体は山ほどいたみたいだが、毎回の出撃時には5人を選定して空に上げていた。

サイクロプスストライダーも同様にして四機ずつを現場に上げているが、そもそも後方に詰めている人員がいるのか、もしくはリザーブ要員がテイラー以外にもいるのかは不明である。

とにかくここら辺についてはよくわからない。

部隊名"サイクロプスの由来は、ギリシア神話に登場する一つ目の巨人"キュクロープス"の英語読み。

キュクロープスは、天空神ウーラノスと大地母神ガイアの子供で、"雷"の精、"雷"に関する神であったと考えられている。

電撃戦の語源である「Blitzkrieg」に通じたものかもしれない。

 

オーシア国防空軍第124戦術戦闘飛行隊"ストライダー"

124th TACTICAL FIGHTER SQ "STRIDER"

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国籍 オーシア
軍籍 空軍
任務 対空
テールコード WW
作戦機 F-15C
主な戦歴 灯台戦争

サイクロプスと同じく、2機エレメント×2の計4機でスコードロンを編成。

こちらもスコードロンだが、現場での扱いは小隊(フライト)。

トリガーが一番機をつとめる部隊であり、部隊マークは槍を構えて突撃する騎兵。

ツーペア作戦時、当初サイクロプス併せてロングレンジ部隊の機数が7機だった、スペア隊との合流前に予期せぬ戦闘が発生している、ストライダー1が無線会話に一度も参加していない事などから、前任の「ストライダー 1」は強行偵察中に戦死もしくは撃墜されていた可能性があるが、その真偽の程は不明。

部隊名の由来Striderは動詞Strideに「-er(〜する人)」がくっ付いた「大股で歩くもの」「闊歩するもの」などの意味。

トールキンの"指輪物語"にも登場した某キャラクターがこの名で呼ばれており、「レンジャー(徘徊するもの、野伏)」とほぼ同義として用いられる。

要は、敵に向かって"闊歩"するだとか、"獲物を求めて徘徊"するだとか、言葉から得られるイメージは"敵に対しての機動"を行うという要素であり、これは電撃戦の肝となる機動戦に通じる名前なのかもしれない。

灯台戦争のクライマックスである"ハッシュ作戦"に出撃したのもこの部隊だった。

 

LRSSGとF-15C

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ロングレンジ部隊は、F-15C「イーグル」で統一編成された部隊だが、ゲーム中では、何故この機になったのかについての詳しい理由や経緯は語られてはいない。よってこれの選定理由は不明である。

LRSSGはF-15Cが備える長い航続能力を駆使し、そこに空中給油の補助を付け足して、敵地深くまで浸透していく戦法をとっているようだ。

制空戦闘機に、爆撃も対艦も何でもかんでもやらすのは結構無茶だと思うが、おそらくオーシア国防空軍のF-15Cはかなりの近代改修を受けていて「マルチロール化してるから対地対艦もイケるんじゃね」ってトコなのだろうか*2

オーシア軍にとって、イーグルはどんな扱いを受けているのかは不明ではある。

取り敢えず、現実世界においてもF-15Cはその設計段階からして対地戦闘を考慮して作られているフシがあるらしく、戦闘爆撃機F-15Eへの改造開発費も、同じく戦爆のF-16→F-16XLより安く達成できた(らしい(とはいえ、F-15Eを製造するにあたって、F-15から機体構造の約60%以上を再設計していたりと、その中身は結構別物になっていたりはしている。))。

一応、理由はそれだけじゃないのだが、よって米軍はF-16XLをスルーしてF-15Eを正式採用したとか言う経緯があったりする。

また、イスラエル軍F-15は、その機体ポテンシャルを買われ、しばしば爆撃任務に投入されてい?。

例えば、F-15Cの前期型かつイスラエル版のF-15A/B"バズ"による1985年10月1日の「木の脚作戦」チュニス空爆では、飛行機距離4,000km超える距離を空中給油を使って飛行し、目標を爆撃し、その上で作戦機全機が任務を達成、無事帰還している。

他にも日本のF-15Jも、旧式化を受け、近代化改修を施す、または対地任務や偵察任務に割り当てるなどが提案されていたりする。

とにかく、正確な理由こそ不明ではあるが、超スーパー万能機であるF-15Cは、前述の「対空要素強めなSEAD任務」含めて、ハードかつ多様な要求をされまくるこの部隊に正式採用されている。

また、片羽をもがれても生きて帰ってくるとか、(実戦の)空戦では未だ負けなしだとか、とにかく数々の逸話を持つF-15Cは、生存性が高くて、信頼性もスゴい戦闘機でもある。

ロングレンジ部隊がイーグルを選んだ事について、理には叶っている選択だとも言える。

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余談

余談だが、ストレンジリアルにおける1995年の「ベルカ戦争」において大活躍した飛行隊が二機のF-15Cで構成されていたことは、その界隈では余りにも有名な話である。

また、ユージア大陸における2003年「大陸戦争」の序盤、ISAF(連合軍)がエルジアにボコボコにされまくっていた時期があった。

この戦況を打開する為、ISAFはエルジアの要である、超兵器ストーンヘンジを破壊する作戦を思いつき、爆撃担当のF-15E×12、制空担当のF-15C×12という計24機にもなるイーグルの大群を投入するという、すばらしい大作戦を実行している*3

要は、ストレンジリアル世界において「イーグル」は、重要な局面や作戦に抜擢されるほどに信頼されていたり、重要視されている偉大な戦闘機なのだ。

 

LRRSGとその編成

ロングレンジ部隊はしょっちゅう再編成を繰り返している。

中隊長ことサイクロプス1"ワイズマン"の意向によるものだが、結局、この編成が何を根拠になされているものかを語られる事は無かった。

この編成替えや、部隊が変わることがプレイヤーからすると、ロングレンジ部隊員の名前とキャラづけを記憶するのに苦労させられる、という原因にもなってしまっている。

また、なぜかカウントは両部隊を行ったり来たりして、全作戦を皆勤させられている。

結果として、彼の実戦における飛行時間は他キャラと比べて相対的に伸びる。

トリガーにとっては、カウントが味方となって飛んでいる時間が他のキャラより多い為に、彼の"僚機"としてのイメージが大きくなる。

つまり、ロングレンジ部隊とは「トリガーに最後までついて来たカウント」を印象付ける為の、一種の舞台装置でもあるわけなのだ。

飛行時間が長ければその分実力も伸びるので、灯台戦争クライマックスのいわゆる「カウントンネルからの生還」や、彼の成長、実力についての説得力に繋がるのかもしれないのだ。

彼のスペア隊からの配置換えや再編成は、もしかしたらこの為にあったのかもしれない。

いや、別にそうじゃないかもしれない。

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 ロングレンジ部隊人員紹介

 ロングレンジ部隊員紹介はこちら。

 

部隊編成その変化

前述の通り、サイクロプスストライダーはしょっちゅう再編成を繰り返す。

編成の理由含めて、大雑把にまとめてみた。

8月10日、8月19日の編成
サイクロプス   ストライダ  
Cyclopus 1  Wiseman Strider 1  Trigger
Cyclopus 2  Count Strider 2  Skald
Cyclopus 3  Fencer Strider 3  Jeager
Cyclopus 4  Huxian Strider 4  Lanza

ロングレンジ部隊が「セイレーンソング作戦(Operation:Siren's Song)」「ドラゴンブレス作戦(Operation:Dragon Breath)」に従事した際の編成。

ドラゴンブレス作戦は成功したものの、スカルドやフェンサーは撃墜、フーシェンは被弾する。

これにより、機材と人材(負傷)の損害を受けて、部隊の再編成が行われる事になる。

 

9月2日、9月16日の編制
ストライダ  
Strider 1  Trigger
Strider 2  Count
Strider 3  jeager
Strider 4  Lanza

「魔法の槍作戦(Operation:Magic Spear)」「狼男作戦(Operation:Werewolf)」の際のロングレンジ部隊。

上記の損害を受けたため、ストライダーのみで幾つかの作戦を遂行する。

トリガーとカウント、イェーガーが作戦にガンガン抜擢されているが、作戦と作戦の間にはキッチリ休憩期間が設けられているので、過労死する心配は無い。

 

9月19日の編制
サイクロプス   ストライダ  
Cyclopus 1  Wiseman Strider 1  Trigger
Cyclopus 2  Count Strider 2  Skald
Cyclopus 3  Fencer Strider 3  Jaeger
Cyclopus 4  Huxian Strider 4  Lanza

戦争の大詰め、敵国首都ファーバンティでの最期の作戦が開始される。

ジャイアントステップ作戦(Operation:Giant's Step)」では機材や人員が回復したために、サイクロプスストライダー共に再びのフル出撃となった。

作戦中にワイズマンが戦死したため、短い間ではあったが、繰り上がりでカウントがサイクロプスの指揮を執っている。

 

ユージア混乱期以降の編成
ストライダ   サイクロプス  
Strider 1  Trigger Cyclopus 1  Fencer
Strider 2  Count Cyclopus 2  Skald
Strider 3  Jaeger Cyclopus 3  Tailor
Strider 4  Huxian Cyclopus 4  Lanza

ファーバンティでの激戦の後、ユージア大陸全域での通信断絶によって発生した混乱期におけるロングレンジ部隊の編制がこちら。

ワイズマンを喪ったサイクロプスは、フェンサーを繰り上げ隊長機とし、リザーブ要員のテイラーを加えて体裁を整えてある。

10月1日「Operation:Gorgon」や、10月24日「Operation: Beehive」、11月1日の最終作戦「Operation: Hush」などの極めて重要な作戦ではストライダーのみの出撃。

10月10日「Operation: Reflux」や10月31日「Operation: Daredevil 」の戦力として頭数が必要な作戦では、ストライダー、サイクロプスのフル出撃となっている。

 

 

まとめ

とにかく設立の過程から、部隊員の選抜基準など、何から何まで謎のベールにつつまれた部隊であり、結局その謎が最後まで明らかになることはなかった部隊である。

周回プレイを重ねていけば、それなりに居心地の良い部隊であると感じられるようにはなるのだが、1周目だと、どうにもなんとなく馴染めきれずにキャンペーンが終わってしまうような気がする。

今作はとにかく部隊替えが多いが、部隊再編を除けば一番長い時間をロングレンジ部隊の2つの小隊に囲まれて過ごすことになる。

のだが、しかしPV時点から余りにも懲罰部隊が目立ちすぎたのと衝撃的過ぎたので、そのせいでロングレンジは色々と割りを食っている印象がある。

最初からロングレンジ部隊にスポットを当てて広報すれば良かったのにと考えたが、そういえば、懲罰部隊自体がPV時点では今作のウリの一つではあったなと思い出す。

そうなると、尚更、なぜウリであるはずの懲罰部隊で作品を貫かなかったのかと言う疑問に戻ってきてしまうのだ。

制作側はこのような部隊替えの濫用、プレイヤーが所属する部隊への愛着や帰属意識(?)をわざわざ削るような行為に何故及ぶのか、どんな意図があってそんなことをしたのか。

どうやら制作者側には、何かしらの意図があるようではあるのだが。

しかし、その詳細は不明である。

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*1:例えば、三沢基地所属の米軍「35th Fighter Wing」隷下の「13th Fighter Squadron」「14th Fighter Squadron」はワイルドウィーゼル部隊。ワイルドウィーゼルの例にもれず、彼らのF-16のテールコードは所属基地をあらわすアルファベット二文字ではなく「WW」となっている。

*2:とはいえ、ストレンジリアルワールドのサイドワインダー(?)は、対地だろうが対艦だろうか、対空だろうが、それらを尽く吹き飛ばすという恐怖の万能ミサイルなので、航空機の攻撃機やら制空戦闘機やらと言った区分が、そもそも無意味なのかもしれない。

*3:ちなみに、残念ながらこの時の作戦は失敗に終わっている。ストーンヘンジ防衛の任についていた一個飛行隊の手によってそのイーグルは一機残らず撃墜され、ストーンヘンジに傷一つ付ける事は叶わなかったのだ。ISAFストーンヘンジを破壊するのは、そこから1年くらい後の話である。

灯台戦争全史 3 中盤

トリガーが戦争中盤期に所属させられる羽目になる「スペア隊」では、作戦内容が不明瞭なうえに様々な事態が怒涛の勢いで発生する。

軍上層部やらマッキンゼイやらは何かを企んでいそうなのだが、しかし、彼らやバンドッグはトリガーには何も教えてくれない。

これらのせいで、スペア隊は何の為に任務をこなすのか、また、ユージア大陸では何が起きているのか、戦争はどうなっているのかがよくわからなくなってしまう。

何の目的があるんだかよくわからない事をさせられるって、結構モヤモヤするんだなあという話であった。

タブロイドがワイアポロ山脈で「俺たちは何をやらされてるんだ!」とか叫んでいたが、それとまったく同じ気分だったトリガーも少なくないだろう。

早い話、やっていたことは、エルジアを追い詰めるべく布石を打っていく行為である。

しかし、何をやってんだか、どんな成果をあげられるのか今一つ目に見えた成果としてはわからない。

「偵察部隊救出と石油備蓄施設と通信施設破壊て何と何とで繋がるんだろう」と作戦の関連性を見出せなくて、懲罰部隊にいるうちはずっーと悶々とさせられるのだ。

後からロングレンジ部隊でのブリーフィングにて、「実はこうだったのさ」みたいな感じで全容をなんとなくぼんやりと理解させてくれる説明はあったから、そこら辺で一応フォローはされているのか。

本項では、それら懲罰部隊部隊でのいくつかの作戦についての理解を深める為に、2019年7月1日から7月27日までの戦争期間についての諸作戦について、ザックリと考えてみたい。

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前回の内容はこちら

灯台戦争開始までの経緯はこちら

 

灯台戦争中盤解説

ザップランド航空基地の役割

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ユージア大陸の東の辺境の沿岸に、錆びれきった薄汚い基地が存在する。

ここザップランド航空基地は、オーシア国防軍において、不規律、脱柵、不服従、ありとあらゆる非模範的行為に及んできた兵士へと用意された牢獄である。

ユージア大陸のIUN国際停戦監視軍に留まらず、オーシア本土からの兵士も受け付けており、さながらこの場所は流刑地と化していた。

そんなザップランドだったが、灯台戦争その後の戦況悪化を受け、その立地をオーシア軍上層部に注目され、妙な形で戦略的評価が上昇する。

即ち、ザップランドの周辺地域や、ここより東のフォートグレイスなどを含めた、ユージア大陸に残されたありとあらゆるIUN-PKFの残存戦力を護るため、囮としての役割を果たす事が期待されたのだ。

集められた懲罰兵や看守達の手によって、ザップランド航空基地は見かけだけでは膨大な戦力を揃えた、巨大な基地へと変貌する。

しかし、その実態は巨大な二本の滑走路はただの絵に過ぎないし、ズラりと並ぶ航空機の大編隊は全て飛ぶ事すら出来ないという、ハリボテに過ぎないのであるが。

しかし、そんな実態の無いハリボテまみれの基地であっても、事情がわからない敵国エルジアから見れば話は変わる。

なんと、いつの間にかユージア辺境の地に、目を疑う様な数の戦闘機や戦略爆撃機が並ぶ、IUNの大反抗作戦の起点が出来上がってるではないか。

規模だけで言えば数百の制空戦闘機と数十の戦略爆撃機な訳で、これは間違いなく大変な脅威だ*1

すぐさまエルジアは対抗措置を講じた。

爆撃隊を組織しザップランドを爆撃するのだ。

基地の航空機整備に回された罪人、エイブリル曰く「毎日、毎日、毎日の空襲だ」とされており、エルジアはかなりの労力を注いでこの基地を攻撃し続けたとされている。

しかし、エルジアの爆弾で吹っ飛ぶのは、ハリボテや員数外の懲罰兵に過ぎず、オーシアやIUN停戦監視軍本隊には如何ほどのダメージも及ばない。

ザップランドは弾除けとしての機能を如何なく発揮し、IUN-PKF兵力は後方で温存され、守られ続けるのだった。

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懲罰部隊と瀬踏み任務

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連日の爆撃を浴び続けるザップランド航空基地だったが、流石にこれだけの規模の部隊が反撃もせず、ただ爆撃されるのみであるのは不自然だ。

よって、体裁を取り繕う必要性が出てきた。

基地では、スクラップやモスボール機を材料とし、数多くのハリボテが作成されてきたが、実は共喰い整備などで幾つか「飛べる」機体も存在した。

しかも、おあつらえ向きに懲罰兵にはかなりの数の熟練搭乗員が存在した。

やがてこれらを組み合わせた中隊規模の航空隊が組織され、見せかけの反撃、例えば7月1日のハイカード作戦(Operation:High card)などの欺瞞遊撃が開始されるようになる。

これが、オーシア国防軍第444航空基地飛行隊「スペア」発生の沿革と、彼らの本来の目的だ。

やがて、この懲罰兵によって編成された部隊を有効活用すべく、スペア隊には様々な作戦が与えられる様になる。

これらの作戦は、スペア隊員側に対しては、「エルジア支配地域の敵要点に対する攻撃」とブリーフィングでは説明されていた。

が、オーシア軍上層部内の胸の内にあった、それら諸作戦の真の目的は「エルジア無人機游撃システムの解析」にこそあった。

その周辺地域の目の上のたんこぶとなっていた課題の解決と同時に、敵警戒網の情報も集めようという魂胆だったのだ。

これらの瀬踏み任務に赴くスペア隊を、運が良ければ敵要点での戦闘のみ、運が悪ければそれに加えて無人機との戦闘が待っていたのだった。

結局の所、7月4から7月27日で、邀撃システム絡みの四つの作戦が立案決行されたが、その全てにおいて、スペア隊は無人機との戦闘を余儀なくされ、それによって数多くの戦死者が発生している。

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ワンペア作戦

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まず7月4日、ロカロハ砂漠にてワンペア作戦(Operation:One pair)。

当初は、基地司令官の構想では、敵大規模駐留基地に攻撃と爆撃を行う事で敵からの反撃を誘発させ、敵を消耗させる事が目的であった。

しかし、結果としてスペア隊は司令部の予想以上の成果を見せ、ロカロハ駐留基地は壊滅。

スペア隊には多数の戦死者が発生するが、作戦目標はスペア隊によって達成されたために、正規部隊員がわざわざ攻撃すると言う手間は減り、結果正規軍への被害は抑えられることとなった。

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ツーペア作戦

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次に7月12日、インシー渓谷にて、ツーペア作戦(Operation:Two pair)。敵地強行偵察を行なっていた「LRSSG(長距離戦略打撃群)」が邀撃システムに接触した為、これの帰還支援のために渓谷内の対空レーダー及び対空施設への攻撃を行う。

途中、エルジアの無人機部隊に加えて、実験部隊SOLとの戦闘が展開されるも、「LRSSG」幾人かの損耗はあったものの、数機は生還し、彼らの目標であったとされる「ストーンヘンジ」への偵察は達成されている。

しかしその引き換えとして、スペア隊には多数の戦死者が発生している。

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スリーオブカインド作戦

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三つ目は、7月22日、アルティーリョ港にてのスリーオブカインド作戦(Operation:Three of kind)。

エルジア軍へと燃料を供給するプラントへの爆撃。

作戦途中、燃料を満載したタンクローリーや、特殊兵器ヘリオスを積んだ車両が逃走を図ったり、部隊員の内の一名が邀撃システムと接触無人機との戦闘が展開されるなどのトラブルが発生するも、当初の作戦目的は達成されている。

ちなみに前二つ含めての一連の作戦成功によって、軍上層部内でのスペア隊の評価は上昇していた模様。

尚、この戦闘においても当然ながら、損失機及び戦死者が発生している。

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フラッシュ作戦

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四つ目、7月27日、ワイアポロ山脈*2フラッシュ作戦(Operation:Flush)。

無人機の弱体化を狙った、無人機関連のエルジアの重要な通信施設への攻撃及び破壊が目的とされていた。

途中、IFF偽装したエルジアの無人機化されたF/A-18Fによる航空部隊との接触、そして戦闘が展開されるも、スペア隊はこれを全機撃ち落としている。

当初の作戦目的である施設破壊に成功するも、この作戦の過程で、スペア隊は作戦に投入されたかなりの数の搭乗員を喪失してしまっている。

 

以上、四つの瀬踏み任務が展開され、そして全てが成功したわけだが、しかし、444の実働航空部隊の兵員や航空機の損害は甚大であった。

ただ、それと引き換えにして邀撃システムの解析はほぼ完了し、これにより、本命である「長距離戦略打撃群」による反撃が始まろうとしていた。

オーシアによる本物たる大反抗作戦開始の日は近かった。

 

懲罰部隊その顛末

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スペア隊は、これまでの作戦が評価され、部隊員全てに恩赦が許される。

しかし、正規軍へと組み込まれた彼らが派遣されるのは、灯台戦争屈指の地上戦が展開されたユージア南西部の「タイラー島」であった。

この激戦区で彼らに与えられた任務とは、敵格納庫から航空機やそれに関する機材を鹵獲し、整備し、元懲罰兵パイロットを乗せて飛ばすこと。

それによってタイラー島制圧を目指す陸軍への、支援を実施するのだ。

このあんまりにあんまりな作戦は、当然上手く行く筈も無く、スペア隊が島に到着した時ですらも格納庫は敵の手の内にあり、結局彼らが航空攻撃を成す事は叶わなかった。

看守、元懲罰兵問わず、一体どれだけがこの島から生還したかは不明だが、多くのオーシア人がこの島の地上戦で命を落としたとされ、彼らスペア隊もその例外では無かったと考えられる。

結局恩赦と言っても、多くの看守、整備兵やパイロットなどの元懲罰兵ら、つまり「オーシアの暗部の塊であるスペア隊」に関わった人間たちは、その殆どが(軍上層部にそのような意図はあったかは不明だが)自動的に「処理」される運命にあった*3

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まとめ

オーシア軍は灯台戦争中に、この部隊以外にも数多くの懲罰部隊を組織したと噂される。

これが戦争末期には、オーシア軍内部での反乱し、同士討ちを誘発する原因となったとゲーム中では語られているが、その真偽のほどは不明である。

ただ一つ、ハッキリしているのは

これオーシア、戦後処理絶対ヤバいでしょ。

これである。

間違い無くこれらの問題が明るみに出た時、マスコミやら、スペア隊の遺族(いるのか?)やらがめちゃくちゃ騒ぐんじゃなかろうか。

少なくとも、オーシア軍やオーシアという国家そのものに対して国民からの求心率が下がりそうな気がする。

しかし、軍上層部もよくこんなもんに許可出したもんだとも思う。

それくらいエルジアに追い詰められていたという事なのかもしれないが。

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*1:しかし、明らかにこの光景は異様で不自然ではある。

*2:ワイアポロ山脈は、後に2040年代までにはニューコムが基地を作っており、ゼネラルリソースの航空路に対する電波妨害行為を行なっていたりするという曰く付きの土地だったりする。

*3:余談だが、司令であり、懲罰部隊の活用法を提案し運用したマッキンゼイ司令も、最後には別の激戦区である最前線に送られてしまっている。

スペア隊とは何ぞや

懲罰部隊は発売前のPV時代から結構フォーカスを当てられて広報が成されていた。

この部隊と共に戦う事について、かなり楽しみであった事を憶えている。

ミッション4において、ハーリングが死亡しトリガーに罪が擦りつけられるシーンがあったのだが「これでようやくスペア隊に加入できるのか」と心踊らせていたものである。

そして、待望のスペア隊では、連日連夜、AWACS「バンドッグ」を筆頭として、醜く汚い男たちが、お互いにお互いを貶し合い、煽り合いながら馬鹿騒ぎを繰り返しているのであった。

 

彼ら懲罰部隊は、ゲーム中盤の数ミッションで使い潰すにはすごく勿体ない、良い部隊だったと思う。

だから、この部隊のあの顛末にも納得が行かないのだけれども。

 

本エントリーでは、そんなどうしようもないけれど愛すべき愚か者たち、灯台戦争中盤をトリガーと共に駆け抜けた「スペア隊」について語って行きたい。

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目次

 

ザップランドとは

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ザップランド航空基地はスペア隊を擁する、ユージア大陸の辺境、東部海岸に存在するオーシア空軍の航空基地である。

元々はオーシア軍内における不規律、不祥事など、不名誉な行いを犯した者をかき集め、懲罰、矯正させる事を目的とした場所であり、よって本国から収監された人間も多数収監されているらしい。

当基地は、灯台戦争開戦直後においてのIUN-PKF並びにオーシア軍が劣勢にある時期では、航空機のスクラップやらダミーやらを並べて、エルジアからの攻撃を吸引する標的としての役割を遂行していた。

しかし、見た目上膨大な航空機を抱える航空基地が、なすがままサンドバッグにされているだけであれば、エルジア側からすればそれは不自然な話だ。

よって、懲罰兵からパイロット有資格者を選定し、見せかけの反撃、欺瞞遊撃を行う事で体裁を取り繕うとしたのだった。

これこそが、ザップランド航空基地の実働航空部隊発生の沿革である。

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オーシア国防空軍 第444航空基地飛行隊「スペア」

Osean Air Defence Force Air Base 444th Squadron "Spare"*1

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国籍 オーシア
軍籍 空軍
任務 元々は基地防衛 対空、対地などその他多数
テールコード 多様(機体や搭乗者は様々な出自な為)
作戦機 F/A-18Fを中心として多種多様
主な戦歴 灯台戦争

第444航空基地隊"スペア"とは、オーシア空軍が組織した懲罰部隊である。

彼らの当初の任務目的は、ザップランド基地を守る為の欺瞞遊撃だったのだが、灯台戦争の戦況の悪化に伴って、次第に別の任務が課せられるようになっていく。

当部隊は、ユージア大陸内に残存するIUN国際停戦監視軍の貴重な戦力を温存する為に、本来では正規軍が担当する筈であった、ユージア大陸東部戦線における数々の危険任務へと充てられるようになる。

これらの作戦に従事している懲罰兵には伏せられていたのだが、これら一連の攻撃任務はただのエルジアに対する攻撃とかではなく、いずれもその裏には隠されし真の目的が存在していた。

早い話、その目的とは、エルジアによる無人航空機と対空レーダーによって形作られた警戒網解析の為の"瀬踏み"行為である。

オーシアの進撃を阻害し続けるエルジア警戒網の抜け穴を、エルジアが東部戦線に築き上げた要地に対しての攻撃ついでに、探し出そうと言うのだ。

当然、これらの作戦をどれもが危険であり、尚且つ警戒網の"瀬踏み"によって下手をすれば沈んでしまう事もあった。

結果として、彼らスペア隊員達のうちの数多くがこれらの一連の作戦で戦死することとなる。

 

また、彼らは犯罪者でありながらも、上述した作戦に従事する為に、航空機などという余りにも危険極まりないオモチャを与えられている。

普通、犯罪者で組織された戦闘集団なんてものは、成り立たないと考えるのが自然だし、ましてや戦闘機などという危険なシロモノをそいつらに渡すなんて、本来では到底あり得ない話だ。

例えば、彼らが結託して反乱すれば、懲罰部隊を直接に使役している基地司令部や、その他要員などはひとたまりもないだろう。

しかし、ザップランド基地司令部並びにスペア隊を管制するAWACSは、FCSを利用したテクノロジーや、各々が各々に対する不信感などを利用した様々な心理効果によって、この犯罪者たちを易々と使役している。

また、これらは仮説でしかないが、部隊内での各々に対する不信感とゲーム理論に基づいた相互依存同調圧力*2、罪線という犯罪者内に割り振られた階層構造*3なども、部隊の維持に一役かっていた可能性がある。

かくして彼ら懲罰兵パイロット達は、基地司令部の指揮の元に(消極的ながらも)成立し、数多の戦死者を出しながらも、数々の作戦を成功させて、IUNやオーシアに大きく貢献を行ったのだった。

ただ、彼らはオーシアに多大なる貢献を行ったにもかかわらず、その生き残りも、最終的には"特赦"と称して西部戦線最大の激戦区タイラー島へと叩き込まれ過酷な任務を押し付けられることとなる。

これには、懲罰兵の整備士などの基地要員並びに、それを見張っていた看守の兵士達、ザップランド基地関係者達も含まれている。

尚、件のタイラー島の戦闘であるが、オーシア側は多数の陸海戦力を派遣して上陸作戦を敢行したものの、戦況の劣勢を覆す事は出来なかった様だ。

そして、戦争集結間際におよんでも、エルジアから島奪還を成し遂げる事は叶わなかったらしく、最終的に彼ら正規軍は、多数の犠牲者を出すだけで戦果をあげる事なく、島から敗走している。

そんな厳しい戦場において、ろくな装備も支給されていない上に「敵から基地を奪い、航空機を鹵獲し、そして制空権を確保せよ」などと、無茶苦茶な作戦を押し付けられたザップランド基地関係者達が無事でいられる筈も無いだろう。

彼らにも多くの死傷者が生じたと思われる。

また、懲罰部隊を指揮した「マッキンゼイ司令」もタイラー島に送られなかったものの、別の激戦区へと送られてしまったようだ。

つまり結局特赦と言っても、懲罰部隊などと言う軍の鼻つまみ者たちは、その殆ど全員*4が、それ相応の扱いを最後まで受け続けるしかなかったのである。

これらの経緯と顛末を鑑みるに、オーシア軍にとって、スペア隊と言うのは、本戦争における最大の暗部かつ汚点として捉えられていたのかもしれない。

 

ところで、命を落としていったスペア隊パイロット各員には、それぞれ何やら意味深なTACネームが付けられている。

実はその由来は「その罪状を表す皮肉」またはそれを揶揄するものであり、また、その最期をも暗示する意味合いすらもあったりする。

つまり、スペア隊においてのTACネームとは、その隊員が背負った「業」そのものをも意味しているとも言える。

以下はスペア隊各員の紹介である。

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Spera 2 Count

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出展:https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php

搭乗機体はSu-33「フランカーD」。

スペア隊の二番機こと「カウント」伯爵。

撃墜数を自己申告で水増ししてやたら多いのと、また地味に腕は立つことなどから、基地司令部からの憶えは比較的良いらしい。

罪状は詐欺。己の生まれや育ちを騙った何かしらの詐欺(どんな詐欺だ)を働いたのかもしれない。しかし、罪状についての詳しい詳細は不明である。

カウントはバンドッグから「何が伯爵だ」などと言われていた事や、そもそもスペア隊でのTACネームはその犯罪を揶揄するか皮肉るかするものなので、カウントは本物の「伯爵」や貴族なんかでは無く、普通の平民なのだと思われる。

彼のTACネームCountの由来は、英語で数(撃墜数)を「数える(count)」と貴族称号「伯爵(count)」を掛けた言葉遊びによるもの*5

エイブリルには「空戦の腕は立つんだが手癖の悪いヤツ」とも評されている。

人の撃墜数を横取りする悪癖はあるのだが、しかし腕自体は決して悪いわけではなく、そのままエリート部隊に渡り鳥しても通用するものを持っているようだ。

その証拠にロカロハ砂漠での無人機との空戦でも他のスペア隊部隊員とは違って、多数の無人機を葬り去っている様である。

スコアは、トリガー5機撃墜時点では、カウントはバンドッグによれば少なくとも2機(自己申告6機)は撃墜しているようで、このペースだと戦闘機エース(=5機撃墜)は易々と達成してはいそう。

そういう訳なのか、カウントは当初、自分の空戦の腕に対して非常に強い自信や、自己愛の強い自尊を持っており、スペア隊でお山の大将を気取っていた。

しかし、自分以上の実力者たるトリガーの参入によって、彼と対照され続ける事により、自分の本当の実力や在り方と直面するという精神的荒療治に晒され続ける事となる。

本人にとってはかなりの屈辱だったものの、ただこれによって、空で「何か」を学んだらしく、自らが背負った「業」から逃れる事が出来たようだ。

人の戦果を強奪したり、「生まれが違う」などという文言をしょっちゅう口にしていたが、次の部隊に移ってからはそれらをおこなわなくなっているのが、それを表す証拠なのかもしれない。

ちなみに、「Count(伯)」の由来である「Comes」という単語には「君主の随行員」「共にいくもの」という、スペア隊を去ったカウントが、今後トリガーの元で果たしていくであろう役割を暗示している。

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イケると思えば他人が撃墜されるような状況ででも踏みとどまるが、ヤバいと思ったらすぐに撤退する。つまり姑息な訳だが、これはそのまま「戦況が読める」という裏返しでもある。

「俺はファイターパイロットだぜ(=対空戦闘がやりたいぜ。対地戦闘はあんま好きじゃないぜ)」などと、歪んではいるがその他諸々の言動の数々には、戦闘機乗りとしての矜持が滲み出ており「プライドに生きている面もある。

その上で、トリガーと共に飛ぶ事で「強さを求めざるを得ない状況に陥っていった。

何やら彼にも素質はありそうなのだが、果たして。

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851 Spare 2 Count Su-33 Flanker-D

 

 

Spare 6 Full band 

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出展:https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php

罪状は不明だが、TACネームからは情報関連の罪だと推測される。罪線は1本。

秘匿情報に勝手にアクセスしたとかばら撒いたとかつまりはそこら辺なのだろうか。

他の名無しモブ隊員と同様にして、F/A-18Fスーパーホーネットに搭乗している。「気分爽快だな!」が口癖なのか事あるごとによく使う。

TACネームの由来は無線の全周波帯「フルバンド」。

これは情報の正否問わずをむやみやたらと無差別に垂れ流している事からか。

「情報を握ってないと死ぬぜ」と連呼していたが、最終的にはそれを喧伝していたが故に謀殺されてしまうという皮肉な末路を迎えた。

彼を謀殺したバンドッグの言い分としては「別に握っててもいいけど、お前秘匿情報外部に漏らすし、何度も何度も止めたけど喋り続けたじゃん」だろうか。

仮にもし、スペア隊の真の目的にフルバンドが辿り着き、彼の悪癖から「それ」が垂れ流されて、何かの拍子でエルジアまで辿りついた場合、オーシアの戦争勝利への道は完全に絶たれてしまうだろう。

エルジアが警戒網の穴を塞いだり、大陸東部に残存するIUNに対して何がしかの作戦を実行したりも考えられる。

つまり、彼が殺害された理由について、無情ではあるが、一応それなりに筋が通っているものとも言えなくも無いのだ。

彼は喋らなければ、生き残っていた可能性もある。

彼もまた、自らの業から逃れられずに、散って行ったスペア隊員の一人であると言えるだろう。

また、フルバンドは僚機が死ぬ度に、それを茶化すという悪癖を持っていたのだが、結局は自らはその僚機に撃墜されて戦死した。

何か嫌な形での因果応報を感じさせられてしまうのだが、これは気のせいなのだろうか。

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204 Spare 6 Full band F/A-18F Super Hornet

 

 

Spare 7 High Roller

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出展:https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php

罪状は不明だが、恐らく賭博絡み。罪線は1本線。

搭乗機はF-16Cファイティングファルコン。

TACネームのハイローラーは、カジノのプレイヤーの中でも、多額のバンクロール(カジノ資金)を持っており常に大金を掛けるような客を指す。

定義上、カジノ側よりVIPや上客と認められた人間がハイローラーとなる*6

エイブリル曰く「ギャンブルしか頭にないバカ」。

懲罰部隊にて、次の任務における「隊員の生き死に」という悪趣味なギャンブルを開催しているその胴元で、それ以外にも、次の任務の作戦内容など、とにかくなんでもかんでもをギャンブルにしようとする。

ハイローラーが開催していたギャンブルには、バンドッグも度々参加していたようで、懲罰部隊全体がさながら賭博場と化していた。

ツワモノ揃いのスペア隊の中で、どうやら腕はそんなでも無かった方なようで、ロカロハ砂漠の無人機との空戦で呆気なく戦死している。

以降、ギャンブルの胴元を喪った懲罰部隊では一切の賭博が開かれなくなった。

自分の生存に張っていたらしいのだが、その賭けに対する「敗け」の「支払い」は、高くつく結果となった。

彼もまた、自分の「業」から抜け出すことなく戦死したスペア隊員なのである。

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216 Spare 7 F-16C Fighting Falcon

 

Spare 8 Champ

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出展:https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php

スペア8、チャンプ。

罪状は恐らくではあるが暴行罪で、罪線は2本線。

搭乗機体はMig-29A ファルクラム。

TACネームのチャンプは、暴行喧嘩から連想して格闘技のチャピオンだと思われる。

また、自動詞「champ」には"to do"と組み合わせて「イライラする」「(なにかをしたくて)うずうずする」という意味にもなり「戦闘がしたくてうずうずする」「喧嘩や暴力がしたくてイライラする」となる他、懲罰部隊内では、「chump(マヌケ)」の蔑称で呼ばれていたりもするらしいと、彼のTACネームには、多くの言葉遊びが隠されているようだ。

「誰でもいいから殴りたい」とイライラしながら喋っており、普段から暴力衝動を持つとにかく危ない人で、カウント曰く「病気だぜ」とのこと。

空戦や喧嘩が大好きらしく「血が滾るぜ!」「丁度いいハンデだ!」などと自信に溢れる言動を繰り出してくるが、その割には作戦から逃げ出してばかりいる。喧嘩や戦闘は好きらしいのだが「得意なのは弱い者いじめだ」とわざわざアピールしてる辺り、どうやら純粋な戦闘民族でも無いっぽいらしい。

彼もまたそのTACネーム、つまりは「業」から逃れられなかったようで、ツーペア作戦(Operation:Two Pair)の際にその様子がみられた。

エルジアの実験部隊のパイロット=ミハイにカモにされたことに逆上、暴走し、ミハイに対して御自慢のマニューバを披露して格闘戦を挑むものも、逆にそれ以上の腕を見せられて、撃墜されてしまうという噛ませ犬っぷりを披露する。

トリガーの僚機では、ブラウニーに次いで彼もまたミハイの犠牲となった事になるのだが、この時点でチャンプに対しての愛着があるかどうかは正直微妙なので「ミハイ許さねえ!仲間たちの仇!」となるかどうかは、はっきり言って疑問だったりする。

余談だが、PV時点では彼の機体もまたスーパーホーネットであった。

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143 Spare 8 Champ MiG-29A Fulcrum

 

Spare 10 

インシー渓谷で死んだとされるモブ。

乗機はスーパーホーネット。詳細及び番号は不明。

 

Spare 11 Tabroid

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出展:https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php

罪線は1本線で、罪状は政治犯

搭乗機体は、ミラージュ2000の次世代派生型、ミラージュ2000-5。

TACネームはタブロイド新聞が由来とされる。

タブロイド新聞とは、判型は285×400mm、通常の新聞より小さめのサイズの新聞のことである。

例えば、有名人のゴシップ、スポーツ、ギャンブルなど*7の取っつきやすい内容や、政治的には反社会的、反体制的なセンセーショナルな内容もモノによってはあるようだ。恐らく由来はそれである。

「国家なんかいらん!クソみたいな戦争があるのは国があるせいだ(意訳)!」とブー垂れながら石を投げていたら、突如拘束されて政治犯として懲罰部隊に突っ込まれたという悲運な人。

いわゆるベルカ系オーシア人で、恐らく、捕まったのはこの人種と、その言動の組み合わせのせいであると思われる。

ベルカはオーシアにとって、国境を接し、しかも長きに渡って因縁のある国でもある。

尚且つ直近では、環太平洋戦争ベルカ事変においてベルカやベルカ人から、多大なる迷惑を掛けられた経験をも持っている。

よって、オーシア人がベルカ人やベルカ系移民に対して何かしら思うことがあったとしても、それはある種、仕方がない事と言えるだろう。

温厚な性格でいつでもニコニコしており、エイブリル曰く罪状と人となりが合ってないらしいが、タブロイドが実際に罪を犯した訳ではないんだから、これは当然な事でもある。

劇中では、トリガーの腕の良さをいち早く見抜き、後に着いて行く事で生き残ろうとした。

また、トリガーに付き合わされ、殿軍を担当しても無事に生還したり、ゲーム中、トリガーをつけ狙う敵を狙って撃ち落とす姿を拝むことが出来る。

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ただ「政治犯野郎は大した腕はない」が隊内評価であるようで、加えてバンドッグからも「役立たず」などと罵られているなどから、彼のパイロットとしての腕そのものはどうやら微妙なものらしい。

とは言え、数多の戦死者を叩きだした劣悪な環境から最後まで生き残っているのも確かな事実なわけで、スペア隊として数多の死線を潜り抜け、トリガーと共に飛ぶ事で、彼のパイロットとしての力量に多少の変化があった可能性があるかもしれない。

ただ、スペア隊が正規部隊に組み込まれた後は、数少ない他のスペア隊の生存者やエイブリルたちと共に激戦区のタイラー島へと送られ、また、この過程でトリガーとは離れ離れになってしまう。

その後、タブロイドがトリガーたちと共、に空を飛ぶ日が来ることは二度と無かった。

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306 Spare 11 Tabloid Dassault Mirge 2000-5

 

Spare 15 Trigger

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マッケンゼイ異動の護衛作戦のブリーフィングの際に、司令相手にふてぶてしい態度を取り続ける(恐らく)坊主頭の青年=トリガーを拝む事ができる。

罪状は、元大統領殺害容疑(冤罪)。

重罪(冤罪)である。

余りにも余りな容疑によって、罪線はスペア隊の中でも前代未聞の本数である三本線となっている。

TACネームの由来は、元大統領に向けて引金(トリガー)を引き、"その人"を撃墜(冤罪)し、殺害した事に由来している。

登場機体は自由で、プレイヤー次第であるが、一応PVに則るなら、下積み時代は他のスペア隊にあわせてF/A-18Fに乗り、Faithless SolidersまでにはF-15Cに乗りかえるのがよろしいか。

他のスペア隊員の追随を許さないほどの空戦の腕をもち、数々の無理難題を殆ど一人で次々に達成していく。

気付けばスペア隊には、タブロイドが作り上げた「トリガーについて行けば生き残れる」という、フルバンド曰く「まじない」が罷り通り始める。

この「おまじない」を律儀にも守り、最後までトリガーに着いていったのは、最初それを馬鹿にしていた「カウント」その人だった。

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015 Spare 15 Trigger F/A-18F Super Hornet



まとめ

スペア隊は正直、とにかく無線が面白く心地がよくて、エース史上最も居心地の良いナイスな部隊だったと言える。

特に中盤の最大の山場、「Faithless Solider」のミッションの、懲罰部隊がトリガーを中心に纏まって行き「さぁ反撃だ」というあの瞬間こそがこのゲームの最も素晴らしく、心踊る瞬間だったと思う。

あの戦闘の中では、味方モブスペアやカウントやタブロイド、フルバンドの全員がお互いに連携しあっていた。あの戦闘中には、たしかに懲罰部隊にら連帯感が生まれ始めていたのだ。

ここに来てようやく、部隊として成立し始めた様に見えた。

しかしその後のフルバンド死亡だの、懲罰部隊異同だのと、怒涛の勢いで発生する斜め上な展開の数々には非常に驚かされる事になる。

てっきりこの部隊で敵首都へと殴り込みやら、アーセナルバードと殴り合いを行うと思っていたのに、その後の展開やロングレンジ部隊内でのアレソレは「これ同じシリーズの別タイトルか」と思う程に空気感がガラリと変わってしまった様に感じられた。

願わくば、スペア隊のままでファーバンティを攻め墜とし、アーセナルバードとも戦う様な、IFストーリーとかも見てみたかったと思う。

結局スペア隊とは一体何だったのか、トリガーは何を目指すべきなのか、次の展開では何が起きるのかが全くわけがわからないまま、ここから物語は急展開を迎えていき、初見プレイ時には大分泡を食ってしまう(一応、この辺についてはロングレンジ部隊でフォローされる)。

とにかくひとつ言えるのは、トリガー、カウント、タブロイド、フルバンドの4人で灯台戦争を戦い抜いたり、彼らに指示を出して戦えたらよかったなーという話である。

とにかく、Faithless Soliderは「7」の中でも屈指の名戦闘だと思う。曲も最高にアツいし。

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余談

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初見プレイ時は、この猫を被るようなキャラ付けや、トリガーに何かと張り合う場面をみながら、噛ませ犬臭を感じさせてくるカウント。

「あ、コイツ死ぬわ」とぼんやり考えていた。

また、タブロイドはPV時代からフォーカスを当てられていたことなどから「最後までトリガーのウイングマンとして生き残るんだろうな」とも考えていた。

実際には、彼らの役割は逆だったのだが。

 

 

一部画像はエースコンバット 7 公式ホームページ COLUM #3 キャラクター紹介 出展https://ace7.acecombat.jp/clm/column03.php

 

参考文献

ACEs at WAR

 

*1:ちなみに、エスコン7付録ACEs at Warは、校正が不十分な状態で発行されたようで、Osea軍のOseanではなく、海洋のOceanと混同されまくって実にエライことになっている。サンド島分遣隊はキチンとOseanなのと用法上Oceanは意味不明なので、本ブログ内ではOsean defence Force 108th Tactical Fighter Squadron Wardogにならった命名法則で統一した記述を行うものとする。

*2:AWACSバンドッグによるFCS書き換えや、部隊員が逃走を図ろうとするとスペア隊各機に対して撃墜が下令されることから、これらを組み合わせてゲーム理論が成り立つと推測される。しかし、これは餌として待遇保障や罪の軽減効果が成されていればの話ではあるから、本当のところはわからない。

*3:このような階層構造を利用した例としては、アウシュビッツ強制収容所内での人種階層構造などの様々な例が挙げられる。捕らわれている人々の待遇に、人種や職務に応じた階層構造を課すことで、収監されていた人たちが一致団結、反乱するのを防ぐ効果が期待されていた。罪線がゲーム中しきりに強調されていたり、カウントが罪線数でしきりにトリガーにマウントを取っていたが、ただのランク付けではなく懲罰隊内における生活ランクに対しても紐付けが成されているのであれば、この仮説も成り立つと言えるのかもしれない。言えないかもしれない。

*4:一応、カウントやトリガーいった例外も存在する。彼ら二人はひょんなことから、その実力を注目され、他部隊へと引き抜かれる事となった。

*5:同じ由来を持つキャラクターとして、セサミストリートより「カウント伯爵(COUNT VON COUNT)」などがある。

*6:例えば、ラスベガスのカジノでハイローラーと称されるには、日本円換算で1000万円〜1億円以上のバンクロールを持ち、毎回の賭金は最低でも10万円以上が目安とされるらしい。

*7:要は、日本のスポーツ新聞とか週刊誌とかに近い。